私たちは企業のコンテンツマーケティングを支援するサービスを提供しています。ご相談のきっかけはさまざまですが、その中のひとつに「ブログの成果を出す以前に、企業ブログが続かなくて困っている」というご相談があります。「ブログを始める企業」は多いですが、「ブログが続いている企業」というのは非常に少ないです。企業ブログで成果を出すための壁のひとつが「継続すること」です。あくまで私の感覚ですが、ブログを始めた企業のうち継続している企業は10%もいないように感じます。そして継続したうえで「ブログで成果を出している企業」というのは、さらに少なくなります。そんな最初の壁を突破するために、継続できない理由の洗い出しと、継続するための仕組みづくりについてまとめます。この記事をきっかけに、”まずは”企業ブログが続いてくれたら嬉しいです。それでは参ります。企業ブログが続かない理由企業ブログが続かない理由は、ほとんど以下の理由に集約されるはずです。これらの理由を考慮しながらブログを更新していく体制を整えていけば、余程の理由がない限り企業ブログは継続していくでしょう。目的と目標が曖昧短期間で売上につながることを期待してしまう編集長がいない執筆ルールがないブログを書く時間がない評価されない企業ブログを続けるために、事前に取り組みたい5ステップ弊社が支援しているクライアントの多くは、ブログ担当者が1〜5名ほどの企業です。私たちのような外部のパートナーが、コンテンツマーケティングに加わることでブログが継続するきっかけにもなりますが、本記事ではあくまで自社内でブログ更新を継続するステップをまとめます。弊社へご相談いただいた際にお伝えしているステップは、以下の5つです。目的と目標を決める編集長を決める執筆ルールを決めるブログを書く時間をどう確保するか決める評価方法を決める1. 目的と目標を決める企業ブログの継続には目的が必要です。目的がなければ、どのような記事を書けば良いのか、どんな評価をすべきなのかが曖昧になります。まずは目的を決めましょう。また、目的を具体的に計画に落とし込むためにも、合わせて目標(=数値目標)も用意しましょう。「目的」を決める企業ブログの目的として据えられるのは、ほぼ以下の3つに集約されるでしょう。集客採用社員の育成企業ブログから「集客」または「採用」につなげようと思うとそれなりに時間がかかります。業種や競合、記事の更新頻度にもよりますが、成果が出るまでに早くても半年、長いと2年以上かかることもあります。ブログから「集客」や「採用」につなげようと思うとそれなりに時間がかかる、ということを認識した上で始めましょう。もし数ヶ月で「集客」を増やしたい状況であれば、リスティング広告などの即効性のあるマーケティング施策を行うべきです。ブログで最終的に集客へつなげたい場合、開始の半年間は「社員の育成」を目的として記事を更新し、半年経過以降は「社員の育成」と「集客」を目的とするのをおすすめしています。本来であればすぐに「集客」につなげたいのですが、最初からすぐに効果が出ることは稀です。そのため最初の半年間は別の目的を持ってブログを運用するといいでしょう。ブログは商品やサービスに関連する情報やノウハウをまとめることが多いため、「社員の育成」に貢献する取り組みです。商品や業界の知識が豊富なメンバーや、特定のメンバーしか持っていないノウハウをブログにし、社員の育成につなげましょう。ブログを開始して半年経過してくると、公開された記事数もある程度の数になり、上手くいけばサイトへの流入数も少しずつ増えてきます。そうなってきたら「集客」も目的に加え、ブログ経由でどれだけサイト流入を生み出せばいいのか?どれだけリード獲得ができればいいのか?を考えはじめましょう。「目標」を決める企業ブログの目標設定についてはこちらの記事が参考になります。この記事をもとに具体的な数値目標を設定してみましょう。【自社でブログ運営している方向け!】記事公開が目的になってしまわないための目標設定・成果計測方法についてまた定量的な目標を設定し、ブログの担当者全員でその進捗を確認することで、「どんな記事がよかったのか?」「なぜ思った以上にサイト訪問者数が伸びないのか?」「ブログ下部のお問い合わせバナーを変えたら、お問い合わせ数が増えたのは何故か?」など、分析する機会が生まれます。その機会がブログをより良いものにし、読者の増加や、集客力の強化につながるため、進捗の確認や分析の機会は、必ず定期的に設けるようにしましょう。2. 編集長を決める企業ブログを始める際は「編集長」を決めましょう。弊社では「編集長とは、以下の仕事と責任を負う人」と定義しています。企業によって編集長の仕事は異なりますが、ほぼ以下のような仕事内容となるはずです。目的と目標を達成する記事の品質向上に努める予定通りの更新頻度を維持する担当者が気持ちよく執筆できる環境を整えるブログを担当するメンバーは、日々の業務に"追加して"ブログ執筆を行うことになるので、メインの業務が忙しい時期にはどうしてもブログの品質が下がったり、更新頻度が落ちる可能性があります。品質が落ちてしまうとせっかく読んでくださる方々に対して「役に立たない情報」や「面白くない情報」「誤った情報」を公開してしまい、読者の期待に応えられない可能性が出てきますので、品質を管理する編集長を据える必要があります。また更新頻度についても、やはり編集長が責任を持ってブログの担当者たちとスケジュールを調整し、記事更新が滞らないようにしましょう。記事更新の頻度が下がると、成果が出るのも後ろ倒しになるため、当初の計画通りに成果が出ない可能性が出てきます。そうならないためにも編集長が責任を持って段取りするとよいでしょう。3. 執筆ルールを決める編集長が決まったら、編集長とブログを担当するメンバーで執筆のルールを決めましょう。すでにステップ1で目的と目標を決めているので、ステップ3では「具体的にどのような記事を書くのか」「細かいルールはどうするのか」を決めていきます。どのような記事を書いていくのか検索流入を期待した記事を書く場合は、キーワード調査を行う必要があります。闇雲に記事を書いていくと、まったく検索されないキーワードに対して記事を書いてしまうことがあるため、半日ほど確保して「ターゲットとなる方々は、どのようなキーワードを使って疑問や不安を解消しているのか?」「どのキーワードに対して記事を書けばいいのか?」がある程度明確になるよう調査をしましょう。キーワードの調査方法については、以下の記事にまとまっています。キーワードの選び方とは?検索流入を目指した記事を書く際に意識したい5ステップしかし、検索されない(または検索キーワードが見当たらない)内容だとしても、ターゲットとなる方々に役立つ記事であれば執筆するべきです。そのような記事の場合も以下の記事を参考に洗い出し、ひとつずつ記事にしていきましょう。どういった内容で記事を書くのか、「良いアイデアが思いつかないな...」という方は、ぜひこちらの記事を参考にしてみてください。【ブログの記事更新ネタが無い!とお悩みの担当者向け】ブログのネタ探しのポイントとは?細かいルールを決める記事の執筆に関する細かいルールを決めましょう。どこまで細かく定義するかは、会社それぞれですが、ブログ開始時は勝手がわからないこともあるので、まずはざっくりとルールを定義し、運用していく中で気付いたことを細かくルール化していくのがいいと思います。弊社のブログ執筆時のルールはこちらです。(本記事公開時点)ブログ担当者は執筆時にルールを都度確認し、公開前には編集長含めてルールを守れているかチェックしていきましょう。4. ブログを書く時間をどう確保するか決める内容や執筆者のライティングスキルにもよりますが、ブログを書くのはそれなりの時間がかかります。弊社がサポートしているクライアントの多くは、1日30分~1時間×週5日=2.5~5時間で1記事を書き上げることが多いです。1ヶ月に4記事を2名の担当者で更新したい場合は、おおよそ1日30分ほどブログ執筆に時間を充てています。しかし、日々の業務を行いながら30分から1時間のブログ執筆時間を確保しようと思うと、業務の整理や棚卸しが必要です。どうしてもブログ執筆の時間を確保できない場合は、外部ライターに依頼する方法もありますが、自社しか持っていないノウハウをブログにするには社内メンバーで書くしかありません。編集長やマネジメントに関わるメンバーが、ブログの担当者の執筆時間を確保できるよう、業務の配分を変えたり、棚卸しをする形で時間を確保するようにしましょう。また次の項で説明するような制度も、効率よくブログを執筆するために効果的です。まとまった時間でブログ執筆できるようにするまた毎日30分の時間を確保するよりも、集中して連続2.5~5時間ほどかけてブログを書いた方が捗ることがあります。弊社でも以前「もくもくタイム」という集中してブログを書く時間を設けていたことがあります。弊社の場合、クライアントからの連絡があるとどうしても返信を優先したいので、この制度は廃止しましたが、企業によってはこういった時間を設けて一気にブログを書く方が効率は上がるかもしれません。ブログ執筆に集中できる環境を作る弊社では現在「ブログ集中テーブル」というものがあります。これは「この席に座っている人はブログを集中して書きたい人なので、緊急の要件以外、周りが話しかけるのはNG」というルールとなっていて、集中してブログを書きたい時に使うスペースです。業務中に雑談が発生したり、悪気なく周りから話しかけられたりすると、どうしても集中が途切れてしまうので、ブログ執筆に集中したい時はこの席を使うようにしています。このような配慮が少しあるだけでも、ブログの執筆は一気に捗ります。編集長はこういった制度も含めた、ブログ担当者が気持ちよく執筆できるよう環境づくりを行っていきましょう。5. 評価方法を決める社内での評価方法は非常に大事です。通常業務の中に組み込むのか(必ず書いてもらうようにノルマとする)、それとも書いた人にだけインセンティブを渡すのかなど、会社の方針によって大きく変わります。本記事で想定しているブログ担当者が1~5名規模の企業では、通常業務の中に組み込み、必ず書いてもらうようにノルマとするのをおすすめしています。なぜなら、「ブログを書いた人にはインセンティブを渡す」という制度にすると、インセンティブを積極的に受け取らなくてもいいメンバーはブログを書かない可能性があるからです。ブログが更新されなければコンテンツマーケティングは成功しないため、「インセンティブ制度」ではなく「ノルマ制度」を適用するのが良いでしょう。しかし、ブログ担当者となったメンバーは業務が増えてしまうことになるので、先述の通り業務の棚卸しなどで、業務量を調整する必要があるでしょう。社外からの評価について社外からの評価については、情報の誤りや、誤字脱字に関する指摘をいただいた場合は当然受け入れるべきと考えますが、SNSでのポジティブな拡散や高評価は「喜びはするけれど、それを社内の評価に反映することはしない」とするのが良いと考えます。なぜなら、SNSでの拡散や高評価を気にしすぎてしまうと、SNS映えやバズを狙いすぎた記事となってしまい、本来伝えたい内容が薄まってしまう可能性があるからです。大人数に評価された記事が書けたら嬉しいですが、「本気で悩んでいる方」に心から喜んでもらえる記事を書くことを意識しましょう。まとめブログ担当者が1〜5名ほどの企業が、ブログを継続するためには以下の5ステップを辿るのがおすすめです。目的と目標を決める編集長を決める執筆ルールを決めるブログを書く時間をどう確保するか決める評価方法を決めるブログの成果を出そうにも、継続して記事が公開されないことには成果につながることもないので、これらのステップをひとつひとつクリアし、ブログが続く体制を整えていきましょう。関連記事:顧客目線のブログとSEO対策で、7.7倍のリードを獲得できるまで伸びた医療ブログの改善事例