先日、クライアントや弊社の協力会社などから相次いで「抽象的なサービスを売りたいんだけどどうすればいいと思う?」という質問をいただきました。本記事はそんな相談に関して、社内外で話していたことを記事としてまとめたものです。まず「抽象的なサービス」ですが、「何を解決してくれるのか分からないサービス」「ふわっとしたサービス」「よく分からないサービス」と言われるようなサービスのことで、「結局、あなたは何屋さんなの?」という質問をされがちなサービスのこと。弊社も御多分に洩れずそのようなサービスではあるのですが、本記事では、そのようなサービスで集客するにはどうすれば良いのか?マーケティング活動では何をすれば良いのか?を解説します。なぜ「抽象的なサービス」は売れないのか?抽象的なサービスは「売りにくい」「集客しにくい」と言われます。その理由は、顧客が”課題が解決されるイメージを持てないから”に尽きます。敢えてこのように書きましたが、正しくは”事業主が顧客に対して、課題が解決できるイメージを持たせることができてない”ことが原因でしょう。サービスページを読んでもお問い合わせする気になれない営業トークを聞いても何をしてくれるのか分からない見込み顧客からこのようなコメントをいただいていたとしたら、それは”顧客が、課題が解決されるイメージを持てていない”状態です。逆に顧客が、このサービスを利用することで、課題が解決されるイメージを持てるようになれば、抽象的なサービスでも売れるようになります。そのために必要なのが、顧客がその状態(課題が解決されるイメージを持てる状態)になるまで、事業主と顧客がコミュニケーションを取り続けなければならない、ということです。ここが、こういったサービスの集客難易度を上げているひとつのポイントになります。相性が悪いマーケティング施策抽象的なサービスは以下のようなマーケティング施策とは相性が悪く、もしやるのであれば、もっとコストパフォーマンスの良い他の施策を行うべきです。(効果がないとは言ってない)テレアポ営業フォーム営業飛び込み営業営業代行会社の利用なぜか?上記のようなアウトバウンド型の営業手法は、多くの場合、営業にかけれる時間(初回の接触からリード獲得までの時間)が短く、その時間で顧客を”課題が解決されるイメージを持てる状態”までにするには難易度が高いからです。ここに、ふたつ補足があります。1つ目。アウトバウンド型の営業手法で顧客にアプローチする場合、顧客が課題を自覚していない場合があります。能動的に課題解決に向けたアクションを行なっていない状態で、よく分からない抽象的なサービスの営業を受けたとしても、すんなり話を聞いてくれるとは思えません。よほど優秀な営業マンであればその限りではないでしょうが、属人性が高い施策となってしまうためオススメできません。2つ目。人は一度に大量の情報を処理できません。営業の間のわずかな時間で、サービスの説明、そのメリット、リスク、事例、進め方、手法、契約内容などを説明して、正しく理解し納得してもらうのは難しいです。捲し立てるように説明しても、後々、認識の齟齬が発生したり、「もっとこうやってくれるものだと思った!」と言ったトラブルに発展しかねません。これらの理由から「抽象的なサービス」は、アウトバウンド型の営業手法で顧客にアプローチするのは不向きだと考えます。そのため事業主は、時間をかけて顧客とコミュニケーションを取り、顧客が”課題が解決されるイメージを持てる状態”になるまでをサポートしなければいけません。具体的に何をすればいいのか?こういったサービスでやるべきは「コンテンツマーケティング」です。正直、これ一択です。「抽象的なサービス」を具体的にイメージしてもらえるように、具体的な行動、解決策、アイデアなどをコンテンツとして発信するのがおすすめです。よく誤解されるのですが、コンテンツマーケティング=ブログを書くだけではありません。コンテンツ(情報の中身)はさまざまな表現の選択肢と、それを掲載できる場所(≒顧客に伝える手段)があります。表現方法と掲載箇所をどう組み合わせると、最も効率よく顧客が”課題が解決されるイメージを持てる状態”になるのかを考えて、正しく組み合わせなければいけません。下の表はコンテンツの表現方法と掲載箇所を、わかりやすいものだけいくつかピックアップしたものです。表現方法の例掲載箇所の例長文テキスト本・ブログ短文テキストブログ・メルマガ・Twitter図解画像Instagram・Pinterestイラスト画像Instagram・Pinterest動画映画・Youtube・TikTok・Instagram音声Podcast・ラジオコンサルティング会社の支援事例弊社で支援したコンサルティング会社(記事用に業種を変更しています)の支援事例を紹介します。その会社のサービスはたしかに抽象的で、何を使って何を解決してくれるか分からないサービスでした。そんなクライアントとの取り組みを公開できるものだけ、少しぼかしながら公開します。顧客インタビューの掲載事前相談会の実施コンサルティングの資料や手法をブログで発信メルマガで代表の考え方と人柄が伝わるコラムを配信1. 顧客インタビューの掲載コンサルティングを受けた顧客の声が、HP上に掲載されていませんでした。顧客満足度は高く、リピーターも多いため、良いサービスを提供していることは間違いない。しかしそれが見込み顧客に伝わっておらず、一部の勇気ある方々からしかリードを獲得できていませんでした。サービスページに顔写真付きの顧客の声(顧客了承済み)を掲載し、顧客インタビューをYoutube動画にして公開(それらをHPにも掲載)しました。関連記事:「ニッチ商品でも、知恵を絞ればマーケティングで成果を出せる」予想外の提案から始まり、売上が2倍以上に伸びた取り組み2. 事前相談会の実施このサービスはHP上に、具体的なコンサルティングの内容が書かれていませんでした。最終的に”顧客がこの状態になるのを目指す”という目標はわかるものの、どんな手段を使うのか、どんなプロセスを経てそうなるのか、が明記されていませんでした。しかしサービスの性質上、具体的かつ網羅的に書けない(テキストにすると膨大になる)こともあり、また公開できない情報も多かったので、HPにサービスの詳細を記載するのは不向きでした。そこで事前相談会を実施してクローズドな場で、見せれる範囲の資料や事例を交えながら説明・相談する場を設けました。3. コンサルティングの資料や手法をブログで発信クライアントは、コンサルティングで使われる資料やワークシートが非常に充実してしました。私はそれらを実際に見ることで、サービスの内容を具体的にイメージできましたが、見込み顧客はそれらを見てないので具体的にサービスをイメージできないのは当然です。これらの資料やワークシート、支援の手法をブログでまとめてもらいHPに公開しました。また資料が分かりやすくTwitterとも相性が良さそうだったので(Twitterユーザーにターゲットとなる方も多い)、定期的にツイートされるように運用体制を整えました。4. メルマガで代表の考え方と人柄が伝わるコラムを配信このコンサルティングサービスと類似するサービスは世の中にいくつもあるのですが、顧客達が他社を選ばずこの会社に依頼する理由は「代表の方の考え方や人柄」でした。そこで惹きつけられた方々が契約してくださることが多かったのですが、そうではない方々からのリードは失注率も高かったのです。「顧客の課題」と「商品」の相性が悪いと失注率は高くなってしまうので、事前に「代表の考え方や人柄」がわかるコンテンツを出しておけば失注率の改善ができるだろう、と考えました。関連記事:「リードの質」ってなんだろう?分解すると見えてくる、改善のポイント。そこで、お問い合わせされる方の大半が事前に登録しているメルマガで、代表の考え方や人柄が伝わるコラムを配信するようにしました。これらを行なったことで、お問い合わせをしてくださった方々からこんな声が届くようになりました。「サービスが具体的にイメージできるようになった」「私(顧客)にピッタリの商品だと思った」「何をしてくれるのか事前に分かってよかった」「資料や手法をSNSで公開していたので安心できた」このコンサルティングサービスの料金は決して安くない金額です。ターゲットとなる方々からすると比較的高価な買い物で、「失敗したくない」という気持ちが強いはずです。そんな顧客の不安を解消するために、事業主側が主導して、上記のようなコミュニケーションを取ったことが大切でした。結果、顧客が課題が解決されるイメージを持てるようになり、お問い合わせの数も質も改善しました。まとめ私は「サービスは常に具体的にすべき」とは思いません。上記のクライアントのように「抽象的なサービス」でも、やり方次第で効率の良い集客が可能だからです。また「抽象的なサービス」は「売りにくいサービス」でもあるため、競合の参入も簡単ではありません。そういったサービスで継続的に集客が成功すれば、大きなビジネスチャンスになるでしょう。この記事を読んでくださった方には以下のお客さまの事例も参考になるはずです。ぜひ併せてご覧ください。事例. TBL Advisory株式会社様(投資コンサルティング)TBL Advisory株式会社様は、投資に必要な知識やノウハウが学べる「TBL投資アカデミー」を運営されている、投資コンサルティング会社です。投資関連本として有名な「世界一やさしい 株の教科書 1年生」も代表のジョン・シュウギョウさまが執筆されています。ご相談をいただく前から、「書籍」「セミナー」「合宿」「ブログ」「メールマガジン」「オンラインコミュニティ」を通じて、顧客(や見込み顧客)に向けてコンテンツを発信し、投資の素晴らしさを伝える活動を行っていました。しかし大きな課題が2つありました。ひとつが各チャネルに合わせたコンテンツ制作に、時間を取られすぎていること。もうひとつが、収益につながるコンテンツやサービスを持っているものの、顧客を上手く誘導できいなかったこと。弊社にて、制作するコンテンツの精査・一部代行を行い、有料サービスへの動線設計を改善しました。元々のコンテンツが素晴らしかったこと、すでに見込み顧客との信頼関係が構築されていたこともあり、ご支援後は有料サービスを契約される方が大きく増えました。すでに行っているコンテンツマーケティングも、インバウンドマーケティングの考え方も踏まえて活用すると、このように大きく成果につながることがあります。ぜひこちらの事例も読んでいただけますと幸いです。お客さまインタビュー:会社全体を俯瞰的に捉えてマーケティングの課題整理・実行代行をしてくれる、社内メンバーのようなパートナー