弊社が支援しているクライアントでの検証結果についてご紹介します。今回は、1年以上かけて住宅メーカーにてコンテンツマーケティングを実施しました。施策の立案から検証結果まで一連のプロセスをご紹介します。注意:以下の事例は私たちの状況に基づくもので、全てのケースに当てはまるわけではありません。エリアに特化したコンテンツマーケティングをおこなった事例本記事では、エリアに特化したビジネスを展開するクライアントの集客課題において、弊社がご提案して実施した施策の経緯をまとめています。前提と課題クライアントの業種は、新築建売住宅、注文住宅を提供しているハウスメーカーです。全国展開しているわけではなく、地域に根ざした企業であり商圏も限られています。ご相談いただいた際の課題は”Web広告やポータルサイトに依存しない集客方法を確立したい”という内容でした。わずかにブログ記事を更新しているものの集客には繋がらず、Web広告やポータルサイトの集客に頼らざるを得ない状況。競合や大手住宅メーカーの広告次第で、自社の売上が大きく上下してしまう状況でした。商圏が限られているなかで、広告に依存させず、安定した集客ができるように、マーケティング施策を考える必要がありました。今回はこれらの課題に対する仮説から実施施策、検証結果までご紹介します。業種住宅メーカーコンバージョン地点資料請求・お問い合わせ対象とする施策ブログコンテンツ(主な流入経路:自然検索)課題集客方法が、Web広告やポータルサイトに依存している。施策をおこなうにあたっての要素施策を考えるにあたって市場、競合、自社の強みなどあらゆる要素を分析しました。その中で以下の点が浮かび上がり、施策に落とし込むポイントとなりました。1. スタッフが競合他社よりも明らかに”その土地”に詳しい住宅購入において”どこに住むか”という点は、非常に重要な情報です。その土地の歴史(地歴)や施設、治安、学区、自治体の制度などは、住宅購入の判断を大きく左右します。クライアント企業は、地域に特化した住宅メーカーでなおかつスタッフの方も地元出身であることが多かったこともあり、その土地における情報力がとても豊富でした。この点はマーティングにおいて、とても強力なUSP(※)になると考えました。※USP...Unique Selling Propositionの略称で、商品やサービスが持っている独自の強み、を意味します。2. Instagramでの集客はレッドオーシャン化しており費用対効果が悪そう住宅メーカーの場合、Instagramに力を入れる企業が多いですよね。住宅を決める際には、デザイン性がかなり重視されるため、デザインにUSPを持つ住宅メーカーと画像をきっかけにコミュニケーションが生まれるInstagramは、非常に相性が良いです。しかし、住宅メーカーによるInstagramでの情報発信は当たり前のように行われており、競合他社もこぞって参入していたため、デザインにUSPを持たない我々が(素敵なデザインだが、デザイン会社には負ける可能性が高い、と言う意味)、後発で入り込むのはナンセンスであると考えました。3. インターネット上に商圏内の地域に関する情報があまり存在していないさきほど申し上げたように、住宅購入において地域に関する情報はとても重要です。しかし商圏となる地域に関する情報をインターネットで検索しても、あまり参考にならない情報ばかりで、住宅購入の意思決定に影響を与えるようなコンテンツはありませんでした。大手ポータルサイトなどが、地域に関する情報を公開している場合がありますが、ユーザーの記載したレビューや過去の定量データなどを元にしているため、情報が古かったり間違っていたりと、顧客にとって有益な情報とは言い難いものでした。要素を踏まえておこなった施策上記で解説した要素をもとに、以下ポイントをおさえて施策を行いました。その土地に関するお役立ち情報をブログ記事として公開その土地に関する役立つ情報をブログ記事として公開しました。各エリアの施設紹介(スーパー、図書館、病院、学校、娯楽施設など)、自治体の制度、その地域の知られざる名店、子育てに嬉しい公園やレジャー施設、治安、学区など、あらゆる情報を記載しました。また「県、市、区、町村」などに分けて、商圏内における地域のほとんどの記事を公開しました。大手ポータルサイトなどが公開している地域に特化した記事は、ポータルサイト上でのレビュー件数が多い土地には多く情報が記載されていますが、マイナーなエリアには情報がほとんどありません。市区町村の人気/不人気に関わらず、それぞれのエリアの魅力や利便性など事細かに情報を記載し、引っ越しを検討している顧客にとって有益な情報を目指しました。ポイント1.「エリア名×課題」のキーワードで検索上位を狙うただ単に地域に関するお役立ち情報を公開しても集客には繋がりません。「ターゲットとしているユーザーに情報が届くこと」も踏まえた上で施策に落とし込みます。今回の施策では「エリア名×課題」をテーマに記事を書くこととしました。各エリアに関する情報が検索結果上には少ないこと、エリアに関する詳しい情報の検索需要があることを確認し、狙うキーワードを決めました。また、これらの情報を求めているユーザーに届くよう検索順位でも上位表示が狙える構成にしています。ポイント2. ブログを通してユーザーからの信頼を得ることブログをユーザーへ届けることは今回のゴールではありません。そこから「ブログを通してユーザーからの信頼を得ること」が大切です。商圏が限られている住宅建築ビジネスでは、その地域に関するプロフェッショナルであるという認知は強力な武器になります。これらを叶えるためにはブログ内に「ユーザーの課題を解決できるだけの情報量」と「情報の独自性」が必要です。地域に関する情報を並べるだけではなく、独自の視点による評価や、地元の人しか知らないようなニッチな情報など、独自性を出しながら課題解決できるよう記事を作りました。施策から得られたデータ結果的に「エリア名×課題解決」をもとにしたキーワードでの検索順位は、7割以上のブログで上位表示されるようになりました。また検索需要も想定以上にあり多くのユーザーがホームページに訪れ、結果的にコンバージョン獲得(アシストコンバージョンも含む)につながっています。Web広告とポータルサイト合わせて80%近くシェアしていたお問い合わせ経路は、施策を経て、Web広告経由が45%、ブログ経由が33%、ポータルサイトが10%と、綺麗にお問い合わせ経路を分散することができました。またこの施策をきっかけに、お問い合わせの総数も増加しています。得られたデータを基にした考察あくまで今回のケースでの結果のため、すべてのケースに当てはまるわけではないですが、このような結果となりました。この結果をもとに、以下のように考察しました。1. Instagramじゃなくても住宅メーカーは集客することができる住宅メーカーのマーケティング施策では、画像中心の施策(チラシや画像広告、Instagramなど)が採用されることが多いです。これは企業側の強みを活かそうとした場合、デザイン性や機能性の訴求が主となり、画像で表現しやすいからだと考えます。そのためInstagram上に住宅メーカーアカウントが激増した結果、後発かつデザインにUSPを持たない住宅メーカーが勝ち抜くには、難易度が高くなっていたのです。しかし、クライアントのUSPは「土地情報に詳しい」ことであったため、それを活かすにはInstagramではなくブログであると考えました。また事前調査からも、顧客の多くは事前に土地情報を検索している、と確信が持てていたのもブログ施策に力を入れれた要因です。結果この施策が上手くいき、住宅メーカーのマーケティング施策で定石とされているInstagramで勝負しなくても、十分お問い合わせを獲得することが可能であると分かりました。2. 顧客は詳しい情報も求めている検討期間が長い商品の場合、顧客も慎重になるためじっくりとさまざまな情報を探します。上述の通り、その土地の環境や歴史、治安、施設など。そして建物に関しては、耐震性、構造、間取り、30年後のメンテナンス性などです。一生に一度の大きな買い物ですから、表面的な情報だけでなく、気になったことは一つ一つじっくりと納得できるまで調べます。そのため、画像(InstagramやPinterest)や短文(TwitterやFacebook)だけでは情報を深ぼれず、丁寧に解説され情報が網羅されたブログ記事を探している方も多いことが、今回の施策をきっかけにわかりました。さいごに今回の施策は、クライアントの状況を鑑みてブログによる集客という選択をしました。もちろんWeb広告やInstagramなどにおける集客も効果的ですが、”どのようにして競合がいない場所で戦うか”という読みも重要です。今回の事例を通して、エリアビジネスを行っている事業主様の参考になれば幸いです。注意:以下の事例は私たちの状況に基づくもので、全てのケースに当てはまるわけではありません