リスティング広告(別名、検索連動型広告)は店舗ビジネスの集客においても非常に有効な手段の一つです。当社でも様々な業界の店舗集客を支援していますが、「リスティング広告に取り組み始めて来店数が増えた」「目標としている単価以下の金額でお問い合わせを獲得できている」など効果を実感いただいた声を多数いただいております。ただしターゲットの設定やキーワードの登録など、それぞれの店舗の特徴に合った適切な配信設定を行わないと、全く効果のない広告配信になってしまう恐れもあります。そこで今回は広告予算が月額10万円~200万円(店舗数が1店舗~20店舗ほど)までのSMB(Small and Medium Business)向けに、店舗集客におけるリスティング広告の活用法や注意したい設定内容について解説していきます。その前にリスティング広告について詳しく知りたい方はこちらも合わせてご確認ください。関連記事:リスティング広告とは?概要からメリット・デメリットまで分かりやすく解説店舗集客にリスティング広告を活用する前の事前準備店舗集客にリスティング広告を利用する前にしておくべき事前準備について以下3つの項目に分けて解説していきます。リスティング広告を利用するべきか検討するホームページ上でユーザーにとってほしい行動を定義し計測するGoogle ビジネス プロフィールを準備するリスティング広告を利用するべきか検討するまずは本当にリスティング広告を使用するべきか、あなたの店舗の集客施策として適切かどうかについて検討しましょう。提供しているサービスによってリスティング広告との相性の善し悪しがあります。相性を見極める際の判断基準はいくつかありますが、判断する際の重要な要素のひとつが「あなたのサービスの利用を検討しているユーザーが、利用先を探す際に検索エンジン(Google、Yahoo!)で検索するかどうか」です。たとえば美容院を探す際、ユーザーの多くはホットペッパービューティーなど大手の予約サイトから美容院を探すでしょう。そのほうが数多くの候補から選ぶことができるので良いお店が見つかる可能性が高く、かつそのまま予約ができ便利だからです。それ以外には写真の情報が充実しているInstagramを利用して好みのお店を探すユーザーも多いかもしれません。魚釣りをするとき魚がいそうなところに糸を垂らすのと同じで、ユーザーは「情報が豊富にありそうな場所」や「情報をすぐ見つけやすそうな場所」「予約などが行える便利な場所」で情報を探す傾向にあります。そのほうが幅広い候補からより良い選択肢を素早く見つけ、利用するまでの一連の流れをスムーズに行えるからです。上述の観点から、あなたの店舗のお客さんがどのようにして店舗を探しているのかを今一度考えてみましょう。Googleなどの検索エンジンを使用して探すことが多そうであれば、リスティング広告でユーザーを獲得できる可能性は高い、と考えることができます。ホームページ上でユーザーに行ってほしい行動を定義し計測する次に実際に広告経由でサイトを訪れたユーザーにどのような行動を行ってほしいかを定義し、その行動が広告経由でどれだけ行われたか計測するように設定しましょう。計測を行うことで広告の費用対効果を検証することができます。数値でしっかりと検証することができるのがWeb広告の強みです。費用対効果が高ければ広告費を追加して集客を加速できますし、反対に低ければ費用対効果が高くなるよう調整したり、Web広告には取り組まないという判断をしやすくなります。店舗集客にてゴールとして設定されることが多い行動には、店舗への電話や来店予約などがあります。ビジネスによってゴールの定義は変わりますが、ユーザーにどのような行動をとってほしいかを検討しましょう。Google ビジネス プロフィールを準備するGoogle ビジネス プロフィールはGoogle 広告アカウントと連携させて使用することも可能です。Google ビジネス プロフィールの準備は店舗集客において最も重要だと言っても過言ではないので、欠かさず行いましょう。Google ビジネス プロフィールの開設はこちらのリンクから可能です。広告アカウントを開設したら行うことリスティング広告を始める前の事前準備を終えたら、実際に広告アカウントを開設して各種設定を行っていきます。配信を開始する前にペルソナやカスタマージャーニーマップの作成、競合調査や各種マーケティングのフレームワークによる分析などを通して、広告でターゲットとする顧客像を明らかにし、どのような訴求軸が効果的なのかを事前に調査します。上の画像は弊社が行う事前調査の一部です。このような事前調査があってこそ、有効な広告施策を打ち出すことができるのでみなさんもぜひ取り組んでみてください。上述の事前調査ののち実際に広告配信を行いますが、広告配信のために最低限必要となる設定には以下3点があります。地域設定を行うGoogle 広告とGoogle ビジネス プロフィールを連携させるコンバージョン計測の設定をするこれら以外にも設定できる箇所は多数あるので、必要に応じて設定を行いましょう。どのような設定ができるかは、Google 広告 ヘルプなど参考にしてみてください。地域設定を行うまずはどのエリアに広告配信するかを決め、広告管理画面上で地域設定を行いましょう。地域設定は1つのキャンペーン毎に設定することができます。あなたの店舗の商圏とは全くことなる地域に広告が配信されてしまってはもったいないので、欠かさず地域設定を行いましょう。多店舗展開を行っていてもキャンペーンはエリアごとに複数店舗でまとめる複数の店舗を運営している場合、一定範囲内の店舗の広告配信を1つのキャンペーン内でまとめて行うことで効率よく広告配信することができます。よくある形として、広告の配信地域設定はキャンペーン毎に行えるため、1店舗ごとにキャンペーンを作成しそれぞれの店舗の想定商圏を広告の配信地域に設定するというものがあります。しかしそれでは店舗の数だけキャンペーンを作成することになり、また自動入札に関するデータの蓄積先が分散することになるので、自動入札の最適化が完了するのに多くの時間と費用を費やしてしまいます。リスティング広告などのWeb広告は、日々運用改善していくことで費用対効果を高めていくことができるので管理しやすい形でアカウントを設計するのがおすすめです。また月額広告予算が1店舗あたり10万円ほどの場合、店舗毎にキャンペーンを分けるより、1つのキャンペーンにまとめてデータの蓄積先を集約するような構成にすることで、より早く改善することができます。都道府県単位など、ある程度広い地域内にある店舗でキャンペーンをひとくくりにして設定しましょう。Google 広告とGoogle ビジネス プロフィールを連携させる次にGoogle 広告とGoogle ビジネス プロフィールを連携させます。Google ビジネス プロフィールはGoogle 広告の『広告表示オプション』の中の『住所表示オプション』と呼ばれる箇所にて使用します。住所表示オプションを設定することで配信する広告に店舗の位置情報や、ユーザーの現在地から店舗までの距離などを表示できます。ユーザーが店舗を利用するかどうかといった検討を行う上で、店舗の位置情報は重要な検討要素の1つです。欠かさず連携しましょう。コンバージョン計測の設定をするまた事前準備で定義したユーザーに行ってほしい行動(コンバージョン)が実際に行われたどうかを計測するための設定も行います。コンバージョンの計測方法はいくつかありますが、Google タグマネージャーを使用して計測する方法が一般的です。初めて設定を行う場合、聞きなれない言葉や概念が多くて少し難しく感じてしまうかもしれません。しかし慣れてしまえば意外と簡単に設定することができますので臆さず挑戦してみましょう。タグマネージャーヘルプを参照したり、それでも解決しない場合はGoogle 広告のヘルプ コミュニティで他のユーザーへ質問するなどして設定を終えましょう。店舗ビジネスで広告配信をする際のキーワードの考え方広告アカウント全体の設定が完了したら、次はどのようなキーワードに広告を配信するか検討しましょう。キーワードの考え方に関して以下4つのポイントにまとめました。基本的には登録したいキーワード「地域名 ○○」効果的なキーワードはお店の特徴によって千差万別キーワードに応じて遷移先のページを設定したほうがよい場合広告配信後はキーワードの除外設定をする基本的には登録したいキーワード「地域名 ○○」店舗集客でリスティング広告を配信する際には「地域名 ○○」のようなキーワードへは基本的に出稿したいところです。「地域名 ○○」とは、たとえば名古屋市に店舗があるスポーツジムであれば「名古屋市 スポーツジム」のようなキーワードとなります。「地域名 ○○」のように検索している人は、店舗の利用意欲が比較的高い傾向にあります。すべての業界でそうであると断言できませんが、私の担当する店舗集客の広告配信では、こういったキーワードでの検索経由で広告をクリックした人はコンバージョンに結びつきやすい印象があります。特定のエリア内で店舗を探している人による検索なので、利用意欲が高い傾向にあるのかもしれません。どのようなキーワードを登録したらよいか迷った際はまずは「地域名 ○○」のキーワードに広告を出稿してみましょう。効果的なキーワードはお店の特徴によって千差万別費用対効果の高い効果的なキーワードは一概にはなく、同じ業界のお店でもお店の特徴によって効果的なキーワードは変わります。どのようなキーワードが適切なのか、検証を重ねていくことで発見していきましょう。同じ業界のお店でもお店の特徴によって効果的なキーワードが変わる理由は、お店それぞれが強みとしている特徴が異なることがほとんどだからです。たとえば『価格は高めでも身体の疲れが取れる整体マッサージ』を提供しているお店の場合、「安い 整体」のようなキーワードに広告を出稿したとしてもあまり効果は見込めないでしょう。逆に「本当に効く 整体」といったキーワードのように、質の高いサービスを求めて検索している人に向けて広告を配信することで、より高い効果が見込めるはずです。上記の例のように、あなたの店舗が強みとしている点と関連性の高いキーワードに広告を出稿することで、より高い費用対効果を得ることができます。キーワードを登録する際には自店舗のどのような点がお客さんに喜ばれているか振り返ってみましょう。キーワードに応じて遷移先のページを設定したほうがよい場合キーワードを登録したら次に、そのキーワードで検索した人がどのようなWebページを閲覧したがっているかを想像してみましょう。登録したキーワード毎に広告の遷移先ページを設定することができるので、必要に応じて設定しましょう。ユーザーは検索結果に表示されるリンクをクリックしてサイトを訪れた際、初めに閲覧したページに自分が求めている情報が見つけられないとサイト上でコンバージョンに至る前に離脱される割合が高くなってしまいます。たとえば歯医者さんが「歯医者 日曜日」というキーワードに広告を出稿している場合、その広告の遷移先ページではその歯医者さんが日曜日にも営業していることが分かる営業曜日が記載されていた方がユーザーにとって便利です。反対に広告をクリックしてサイトへ訪問してくれても、営業曜日がいつなのかすぐに分からないと諦めて別の歯医者さんのサイトへ移ってしまうかもしれません。ユーザーが求めている情報を瞬時に得られるように、登録しているキーワード毎に最適な遷移先ページはないか確認してみましょう。広告配信後はキーワードの除外設定をする広告の配信開始後は、登録しているキーワードがどのようなユーザーの検索に表示されているのか、実際の状況を定期的に確認しましょう。もしあなたの店舗とは関係のない検索に対しても広告が表示されている場合は、今後その検索語句には広告を表示しないように除外設定をする必要があります。たとえばレコードのみを専門に取り扱う店舗が「レコード店」というキーワードに広告を出稿している場合、キーワードのマッチタイプによっては「レコード店」以外にも「CDショップ」などさまざまなユーザーの検索に対して広告が表示されます。レコードのみの取り扱いしかない場合、「CDショップ」のようなCDを探すユーザーの検索に対して広告を表示してもあまり効果は期待できません。ですのでそのような検索に対しては今後広告を表示しないように除外設定する必要があるのです。キーワードのマッチタイプについて詳しく知りたい方はこちらの記事も合わせてご確認ください。関連記事:キーワードのマッチタイプで悩まない|各マッチタイプの特徴と設定方法をまるっとご紹介キーワードの除外設定について、設定方法などより詳しく知りたい方はこちらの記事も合わせてご確認ください。関連記事:【除外キーワードとは?】検索語句を正しく選別する方法や登録方法を解説どのような広告文を作成したらよいか次に店舗集客における広告文作成のノウハウについて解説します。自店舗の強みを記載する広告文を作成するときは、他の店舗にはあまりないような自店舗の強みを強調することを意識しましょう。リスティング広告が検索結果に表示される際は、競合他社の広告とともに表示されます。並んで比較された際にもユーザーから選ばれるように、店舗独自の強みは積極的にアピールしましょう。たとえばとある床屋さんが10分という短時間で髪をカットすることを売りにしている場合、広告文では「10分でカットします」などのようなフレーズでアピールするとよいでしょう。広告文ではあなたの店舗が他の店舗より勝っている部分であったり、お客さんに選ばれている理由を記載することで、検索結果画面に表示された際にも注目してもらいやすくなります。ユーザーの潜在的なニーズをくみ取るユーザーが検索している状況を想像して、どんな悩みを持って検索に至ったのかを考えてみましょう。検索に使用しているキーワードには表れない潜在的なニーズを捉えた広告文を作成することで、競合他社より魅力的な広告文となり大きな成果に繋がりやすくなります。たとえば「カット 前髪だけ」と検索している人のニーズはどうでしょうか?「前髪だけカットしてほしい」というニーズはもちろん、もしかしたら「失敗した前髪を直してほしい」「前髪だけは2週間に1回切りたいので、通常のヘアカットに2ヶ月分のメンテナンス(前髪のみのカット)が付いている美容院を探している」「前髪のセルフカット術もレクチャーしてほしい」といったニーズも隠れているかもしれません。そうしたキーワードには表れていない顕在的なニーズをもカバーした広告文を作成することができれば、ユーザーのニーズをより深く捉えることができクリックしてもらいやすくなります。結果的に費用対効果も高まることが多いので、ぜひ顕在的なニーズをくみ取る広告文を意識して作成してみましょう。お店のサイトについて広告の遷移先ページとして設定するお店のサイトについても注意が必要です。サイトに記載すべき情報やユーザーの利便性を損なわないサイト設計を目指しましょう。ユーザーが店舗の利用を検討するうえで必要な情報を見つけやすいように記載するお客さんが店舗の利用を検討するうえで必要となってくるような情報は、サイトの分かりやすい位置に記載するようにしましょう。検討に必要な情報がサイトから中々見つけられないと、せっかく利用を検討してくれているお客さんが諦めてサイトから離脱してしまう恐れがあるからです。利用を検討するうえで必要となってくるような情報は、主に以下のようなものがあります。営業時間、営業日料金、メニューお店の位置情報や地図お店の電話番号上記のような情報は必ず掲載し、それ以外にも必要な情報がないかを検討してサイトに記載しましょう。お店の特徴や叶えられるユーザーのニーズを記載する上述のようなユーザーが店舗の利用を検討するうえで必要となるような情報は、どれも基本的な内容ばかりです。サイトに記載するべきもっとも重要な情報は、「そのお店ならではの魅力や特徴」です。ユーザーがお店を利用するのは、ユーザーが抱えている何らかの課題を解決したいと思っているからです。医療機関であれば「心身の不調を取り除きたい」、飲食店であれば「おいしいものが食べたい、ゆっくり過ごしたい」などさまざまです。ユーザーが利用するお店を選定する際には、こういったお店独自の魅力や特徴といった情報が決め手となることが多いです。こうしたユーザーのニーズを、あなたの店舗がどう叶えられるかをサイトを通して伝えましょう。ユーザーにとってほしい行動がスムーズに行えるよう設計するまた初めにユーザーにどのような行動をとってほしいか定義したと思いますが、その行動がサイト上で滞りなく行えるようなサイト設計にしましょう。「電話を掛けたいけど電話番号が見つからない」「お店の場所を確認したいけど、地図が無いからどこにあるのかよく分からない」のように、ユーザーの利便性が損なわれたサイトの場合、せっかく広告費をかけてサイトにユーザーを集めても、売り上げに繋がらなくなってしまいます。サイトが使いやすいか、探している情報がすぐに見つかりやすいかを意識したサイト設計にしましょう。あなた自身でサイトが便利かどうかを判断するのが難しい場合、お店の従業員や知り合いの方に使いやすいかどうかを聞いてみるのもよいですね。広告表示オプションを設定するリスティング広告は広告表示オプションを設定することでより成果が望めるようになります。こちらも忘れずに設定しましょう。住所表示オプションは必ず設定する事前準備の段階でGoogle ビジネス プロフィールとGoogle 広告を連携させているかと思います。その場合住所表示オプションを利用することが可能になります。住所表示オプションを設定することで、Google マップで検索された際に広告を表示することが可能となります。たとえばあるユーザーがGoogle マップ上で「近くのゴルフ教室」と検索した場合、「近くのゴルフ教室」というキーワードに広告を出稿するよう登録していれば、Google マップ上の検索結果に広告を表示することができます。Google マップを使用して検索している人は、「地域名 ○○」といった検索と同様、見込みの高いユーザーによる検索が多いです。そのため住所表示オプションは必ず設定するようにしましょう。住所表示オプションの設定方法や特徴について詳しく知りたい方はこちらの記事も合わせてご確認ください。関連記事:住所表示オプション|近くのお客様にお店のことを知ってもらうためにその他の広告表示オプションも設定する広告表示オプションは、住所表示オプション以外にも多数存在します。広告に表示できる情報が増えるほど、ユーザーは広告に注目しやすくなります。ユーザーが必要としていそうな情報はどれも設定しておきましょう。広告表示オプションについて詳しく知りたい方はこちらの記事も合わせてご確認ください。関連記事:広告表示オプションとは?それぞれの特徴と設定ノウハウについて解説さいごにSMBの店舗集客にリスティング広告を活用する方法や基本的な運用ノウハウについて解説しました。キーワードから広告文、遷移先ページの設定においてはそれぞれ個別にノウハウを解説しましたが、それら3つの要素が1つのまっすぐな線で繋がるような設計にすることも重要です。期待を高めすぎるような煽る広告文を作成しても、遷移先ページや実際の店舗で期待に応えられなければユーザーをがっかりさせてしまいます。そうなってしまってはコンバージョンに結びつきません。来て欲しいお客さんがどういうニーズを持った人なのか、あなたの店舗がどういったニーズに応えられるのかを整理して広告配信を行えばよい効果が期待できるはずです。最後に、関東エリアを中心にグループホームやサービス付き高齢者向け住宅を72施設(記事執筆時点)運営されているメディカル・ケア・プランニング株式会社様の事例をご紹介させて下さい。同じ店舗集客のビジネスですので、この事例が参考になれば幸いです。関連記事:初めての取り組みでも安心して任せられるパートナー。自発的な提案・改善で、本業により集中できるように