SEOについて一度は調べたことがある方は、パンくずリストという言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。パンくずリストを設定することで、検索エンジンの効率的なクロールやユーザービリティの改善になるなど、メリットがあります。本記事ではパンくずリストの概念理解から設定方法、及び設定する際の注意点について解説していきます。パンくずリストとはパンくずリストとは、サイト内の記事やページを閲覧しているユーザーがサイト内のどこにいるかを指すナビゲーションのことを表します。具体的には、以下のようにページ上部に「〇〇>△△」「〇〇|△△」などと表示されることが多いです。名前の由来は「ヘンゼルとグレーテル」の童話で道標としてパンくずを落としていくエピソードから来ており、英語では「breadcrums」と呼ばれます。パンくずリストのないサイトではユーザー自身がサイト内のどこにいるかわからなくなってしまうため、最近ではほとんどのサイトで設定されていることが多いです。3つのパンくずリストの種類パンくずリストには、「位置型」「属性型」「パス型」の3つの種類が存在し、種類によって特性が少し違います。ここではそれぞれについて解説していきます。位置型パンくずリストサイト内において、ユーザーが現在どの位置にいるかを示しユーザーのサイト内の行動をわかりやすく導くことができるパンくずリストです。複数のコンテンツから構成されている多くのサイトでは、特によく使用されているパンくずリストです。これにより、ユーザーはワンクリックで一つ前の階層にあるコンテンツに戻ることが可能となり現在位置を確認するのに役立ちます。属性型パンくずリスト位置型パンくずリストとは異なり、サイト内のユーザー行動により変化し検索フィルタのような役割を持つリストとなります。ユーザーが閲覧しているページがどの分野のタグやカテゴリに分類されているのかを示すので「特定の商品やコンテンツを閲覧したい」際にサイト内で検索しやすい特徴があります。多くのフィルタをカスタマイズし検索をするECサイトや賃貸物件ポータルサイトなどで活用される場合が多いです。たとえば、上記のように物件Aを見る場合でも属性型パンくずリストのサイトではさまざまな経路で物件Aにたどり着きます。このようにユーザーの検索条件に合わせて変動するものが属性型パンくずリストです。パス型パンくずリスト3つの種類のリストの中で最も採用例が少ないパンくずリストです。ユーザーが閲覧した経路を示すだけなので、一つ前のページに戻るだけのパンくずリストになります。最近では、「戻る」ページと同義になり、使用されなくなっているパンくずリストになります。具体的には、上記のようにただサイト内での行動をなぞるだけのもののため本来のパンくずリストの役割を満たしていないものが多く、最近ではほとんど利用されなくなりました。パンくずリストを設置する2つのメリットパンくずリストを設置することによりユーザーやサイトに対して2つのメリットをもたらします。クローラビリティ向上などにより結果的に検索順位に好影響があるユーザビリティがあがるここでは、パンくずリストを設置するメリットについて解説します。メリット1:検索順位に好影響がある検索エンジン上でのページの評価はまず初めにクローラーによってページを認識してもらうところから始まります。そのため、パンくずリストを設置することでクローラーがサイト内を巡回しやすくなりページの評価をしてもらいやすい構造になります。結果としてパンくずリストを辿って重要なページを認識しやすくなり検索順位の向上に影響があります。逆にパンくずリストのないサイトでは、どこにどんなページがあるかがクローラに認識されづらくなってしまい、重要なページの評価がされづらくなります。そもそもページが見つけられないという状態になってしまうとインデックスされなかったり、検索結果に表示されないという別の問題が発生する可能性があるため、必ず設定しておきましょう。メリット2:ユーザビリティがあがるユーザビリティとは、ソフトウェアやWebサイトの使いやすさや使い勝手のことを表します。パンくずリストを使用することにより、ユーザーがサイト内のどこにいるかがわかりやすくなり結果としてサイト全体の使いやすさが増します。またユーザーが下層ページを閲覧している場合、パンくずリストを使用していれば上層のページへ移動することも可能となり、同じカテゴリーの別ページも閲覧してもらえる可能性が上がります。ユーザーは必ずしも検索エンジンを経由してからサイトのトップページに流入するのではなく、サイト内の記事から流入するケースもあります。その際に、パンくずリストが表示されていれば、ユーザーが閲覧したいコンテンツのカテゴリにすぐに遷移できるため、サイト内で迷子になることがなくなります。パンくずリストを設定する方法パンくずリストを設定する方法には、下記の2点があるのでそれぞれ解説していきます。WordPressを利用して設置する方法直接コードを編集する方法WordPressを利用して設置する方法WordPressを利用してサイト開発している方は、プラグイン機能を活用するといいでしょう。たとえば「Breadcrumb NVXT」というプラグインを利用することで簡単にパンくずリストの設定が可能になります。プログラミングやコードへの理解が浅い方でも容易に設定できるため、手軽にパンくずリストの導入が行えます。また、WordPressのサイトテーマによっては、元々パンくずリストの設定がされているテーマテンプレートも存在します。そのため、パンくずリストを設定したい場合は一度制作会社などに相談した上で導入するのが良いでしょう。直接コードを編集する方法ソースコードへの記述を直接行う際は、構造化データのマークアップをソースコードに直接記述する必要があります。記述する際の具体的な手順について、解説していきます。1.まずはサイト内のディレクトリ構造を整理する大前提として、パンくずリストはサイト内の階層構造に従う必要があります。階層構造の理解には、サイトの内部構造の理解が必要になります。たとえば、病院検索サイトで予約したい病院を検索できるページのディレクトリを設定する際は、下記の様になります。上記の様にパンくずリストを設定することで、都道府県別だけではなく、各エリアの市町村別で病院を検索できるようになります。このように事前にしっかりとサイト内部の構造を確認しておきましょう。サイトの構造がごちゃごちゃしている場合はパンくずリストの設定よりも先に、サイト内部の構造の修正が必要な場合があります。2.構造化データマークアップでパンくずリストを設置するディレクトリ構造を整理できたら、実際にパンくずリストを設定していきます。ここでは、構造化データマークアップを活用した設置方法を解説していきます。構造化データマークアップでパンくずリストを設置方法は以下の3つの構造化データを活用しましょう。・フォーマット1:JSON-LD<head>~</head>内、または<body>~</body>内に<script>タグを記述するJavaScript記法です。<script>タグを記述しますが、何かしらのスクリプトが実行されるわけではありません。ユーザーには見えず、ブラウザのレンダリングにはまったく影響しません。そのほかのソースコードと独立しているので見やすく、あとからの修正も容易です。・フォーマット2:microdataHTMLタグ属性を使用して、構造化データとして公開するプロパティに名前を付けます。通常は、<body>~</body>内の記述に対してマークアップしますが、<head>~</head>内でも使用できます。・フォーマット3:RDFaHTMLタグ属性を使用して、リンクされたデータをサポートするHTML5拡張機能です。Microdata同様、<body>~</body>内または<head>~</head>内で使用できます。基本的には、3つの中でもGoogle推奨のJSON-LDでの記述がおすすめです。パンくずリストを設置するときに気を付けたい、4つのポイント前項で、構造化マークアップでパンくずリストを設置する方法について解説致しました。本章では、パンくずリスト設置の際に、注意するべき事項を下記の4つの観点で解説していきます。カテゴリ分類を行い誰にでもわかりやすい階層構造にパンくずリストにSEO対策用キーワードを含めるパンくずリストをページ上部に配置するスマホでの閲覧に対応する カテゴリ分類を行い誰にでもわかりやすい階層構造にユーザーがサイト内で閲覧したいページにたどり着きやすくするために、わかりやすい階層構造と、わかりやすいカテゴリ名が必要になります。また、わかりやすい階層構造とカテゴリ名は、クローラーの効率的なサイト内の巡回に貢献するので、「パッと見て誰もが理解できる」状態の階層構造及びカテゴリ名を設定しましょう。さらに、構造を深くしすぎないというのも必要です。わかりやすいからと10階層や20階層もつけてしまうとそれぞれの階層ごとにほとんどコンテンツがない状態になってしまい、結果として分かりにくく探しにくいサイトになってしまいます。多くとも4~5階層程度にとどめるとクローラにとってもユーザーにとってもわかりやすい構造になるでしょう。パンくずリストにSEO対策用キーワードを含めるパンくずリストのアンカーテキスト内には、SEO対策用のキーワードを含めると検索エンジンがページの内容やサイトの構造を理解しやすくなります。また、上位の階層には多くの内部リンクが集まります。内部リンクが多く集まるページは検索エンジンも重要なページと認識するため、しっかりとパンくずリストのカテゴリ名にSEO対策用のキーワードを含め、上位の階層のページは何のページなのかを検索エンジンに対してわかりやすくしておく必要があります。ただし、キーワードを詰め込みすぎては逆効果になります。あくまでユーザー目線でのわかりやすさを意識しつつ、検索エンジンからの評価も狙えるようにキーワードを含めていくといいでしょう。パンくずリストをページ上部に配置するパンくずリストはユーザーの利便性の観点から必ず上部に設置しましょう。下部に設置してしまうとユーザーが求めているページではなかった場合に別ページへ移動することなく離脱されてしまう可能性があります。スマホでの閲覧に対応する検索エンジンの最大手であるGoogleは、モバイルファーストインデックス(Mobile First Index)を提唱しており、モバイルのページがPCページよりも優先して評価される傾向にあります。そのため、パンくずリストは必ずスマホページでも表示されるようにしましょう。※Googleより2018年に発表されたモバイルファーストインデックス(Mobile First Index)とは、掲載順位やインデックスの登録をPCページを基準としていたものから、スマホページ基準にするとしたものです。そのため今までよりもスマホページでの重要性が増しました。さいごに今回はパンくずリストの概要から設定方法や注意点に関して解説してきましたが、内容を下記にまとめました。パンくずリストは適切に設定を行うことでユーザーとクローラーの双方に好影響がある(SEO対策になる)パンくずリストは検索順位の改善に寄与しているパンくずリストの設置の際に注意する内容は下記の4点1.サイトのディレクトリ構造とカテゴリ名を誰でも理解できるようにする2.パンくずリストにSEO対策用のキーワードを含める3.パンくずリストをページ上部に配置する4.スマホでの閲覧に対応するパンくずリストの設置を適切に行うことで、クローラの巡回のしやすさやユーザーがサイト内で求めている情報にアクセスしやすくなるなどの効果があります。これらはSEOにも良い影響を与えるため、必ず設定をしましょう。