リスティング広告のキーワードを登録する際には「部分一致」「フレーズ一致」「完全一致」という3つのマッチタイプが存在します。「部分一致」は、「完全一致」や「フレーズ一致」と比べ、登録したキーワードだけでなく、その類義語や関連語句に対しても幅広く広告が表示されるキーワードの設定です。「部分一致」には、運用者も気が付かなかったような新しいニーズを発見することができる一方、「思った以上に配信され広告予算を使ってしまった」「意図しない検索語句にまで広告が配信されてしまった」といった事態に陥る可能性があるので注意が必要です。この記事では、そんな扱い方が難しい「部分一致」の基本的な仕様の理解や効果的な使い方、「部分一致」でキーワード登録する際の基本操作を解説していきます。部分一致とは部分一致とは、3種類あるマッチタイプの一つで、登録したキーワードと、それに関連した語句や類義語に対して広告が表示される設定です。登録キーワードが幅広い語句に拡張されるため、広告の出稿範囲は以下のイメージ図のようにフレーズ一致や完全一致に比べ広くなります。出稿範囲について、部分一致では検索語句以外の要素も考慮されています。Google広告ヘルプ内では以下の要素が紹介されています。このマッチタイプでは、的確な広告を表示するため、以下の情報も考慮される場合があります。・ユーザーの最近の検索内容・ランディング ページのコンテンツ・広告グループ内の他のキーワード(キーワードの意図を詳しく把握するため)引用:キーワードのマッチタイプについて - Google 広告 ヘルプこういった要素も考慮しながら、部分一致を使用する必要があります。絞り込み部分一致の廃止これまでマッチタイプは3種類と説明してきましたが、記事執筆時点の2021年3月24日は絞り込み部分一致というマッチタイプも存在します。これは2021年7月に廃止され、フレーズ一致に統合されます。Google広告ヘルプ内で詳しく説明されています。キーワードを簡素化し、目的の顧客層にリーチしやすくするため、2021 年 2 月よりフレーズ一致の動作に絞り込み部分一致(BMM)の動作が組み込まれます。これにより、フレーズ一致キーワードと絞り込み部分一致キーワードのマッチング動作には差がなくなり、指定したキーワードの意味を含む検索であれば広告の表示対象となります。新しいマッチング動作では、語句の順序も意味を踏まえて解釈されます。引用:フレーズ一致と絞り込み部分一致の変更について - Goolge 広告 ヘルプ部分一致のメリット・デメリット部分一致は、広告主や広告運用者が考えつかなかった関連語句や類義語にまで広告が配信されるといったメリットに対し、出稿範囲が広がりすぎて思った以上に広告予算を使ってしまうといったデメリットも起こる可能性があります。以下でより詳細なメリットとデメリットについて解説します。メリット部分一致は、関連語句や類義語にまで広告が表示されるため、他のマッチタイプで登録したキーワードに比べて表示回数が増加する傾向があります。表示回数の増加に伴い、運用者が予測していなかった検索語句でクリックを獲得でき、コンバージョンに繋がるかもしれません。さらに、部分一致は完全一致やフレーズ一致と比べて出稿範囲が広い分、運用者も気が付かなかった新しい検索語句(=ニーズ)を発見することにもつながる可能性があります。デメリット部分一致のデメリットは、他のマッチタイプに比べて広告が出稿される範囲が広いため、思った以上にクリックを獲得し、広告予算を使ってしまう可能性があるという点です。広告主の商品やサービスを必要としていないユーザーにまで、広告が届いてしまう恐れがあります。そういったユーザーにまで広告が表示されてしまうことによって、必要としていないユーザーをサイトに誘導してしまい、結果としてユーザー体験を悪化させる事があります。部分一致で登録したキーワードの出稿範囲を定期的に確認しながら、商品やサービスでお困り事や悩み事を解消することができるユーザーへ対して、適切に広告が配信されているのかを確認し、検証し続けることが大切です。部分一致の効果的な活用法ここまで、部分一致の基本的な仕様の理解を深めてきました。ここからは部分一致の活用方法について、中古自動車の販売を行う広告主を例に解説します。単体キーワードを使った活用一つの単語で登録したキーワードを単体キーワードといいます。この単体キーワードを部分一致でキーワード登録する際は、検索されるとき意味が広がりすぎて広告主の商品やサービスを必要としていない方にまで広告を配信してしまわないように注意が必要です。下の例をご覧ください。登録キーワード「中古車」登録キーワード「車」もし中古車販売を行う広告主が「車」を部分一致でキーワード登録する場合、狙っているお客様は中古車を探されている方なのに、「新車」という検索語句にまで出稿範囲が広がってしまったり、「トヨタ」や「日産」といった自動車メーカーを調べているユーザーに対しても広告が表示されてしまう可能性があります。もしこの中古車販売を行う会社で「トヨタ」や「日産」を取り扱っていなかった場合、自社のサービスと関連性が低いユーザーへ対して広告を配信していることになる可能性がありますので注意が必要です。複合キーワードを使った活用一つの単語で登録したキーワードを単体キーワードというのに対して、複数の単語で登録した語句を複合キーワードといいます。単体キーワードを登録すると意味が広がりすぎてしまう可能性がある場合、複数キーワードを使って検索意図をより具体的にして、より広告主の商品やサービスにマッチした方に広告を表示させる工夫が必要です。登録キーワード「車 中古 販売」このように、広告主の商品やサービスに関連する具体的なキーワードにすると、ニーズと近しい検索語句に広告が表示される可能性が高まります。地名を使った活用実店舗をお持ちの広告主が広告を配信する場合、地域名を組み合わせたキーワードも効果的です。登録キーワード「中古車販売 東京」登録キーワード「中古車販売 六本木」キーワードを「中古車販売 東京」で登録すると「渋谷」や「新宿」といった東京都内の地名で検索したユーザーにも広告が表示されるため、広告を出したい地名を限定して登録するのがオススメです。検索語句の活用部分一致を使う時は、広告主の商品やサービスを必要としていないユーザーがクリックすることを防ぐため、出稿範囲は定期的に確認するようにしましょう。具体的には、部分一致で登録した登録キーワードごとの検索語句を確認します。その中で、運用者も気が付かなかった新しい検索語句を発見することがあります。もし、ニーズと合致する検索語句を見つけた場合はキーワードとして新規登録することで、これまで広告を配信できなかったユーザーへ対して広告を配信する事ができる可能性があるため、積極的に確認・追加を行なっていきましょう。キーワードを登録する方法ここからは部分一致でキーワード登録する際の基本操作をGoogle広告、Yahoo!広告別にご紹介します。Google広告での設定1.まずGoogle広告の管理画面にアクセスします。その後「キーワード」→「検索キーワード」→「+」の順でクリックします。 2.キーワードを登録するキャンペーンを一つ選択します。その後、選択したキャンペーン内からキーワードを登録したい広告グループを選択します。3.キーワードの追加画面で、登録したいキーワードを入力します。このとき、複数のキーワードを登録する場合は改行しましょう。最後に「保存」をクリックしたら登録が完了します。Yahoo!広告での設定1.まずYahoo!広告の管理画面へアクセスし、表示内容選択の「キーワード」→「+キーワード作成」の順でクリックします。2.キーワードを登録するキャンペーンを一つ選択します。その後、選択したキャンペーン内からキーワードを登録したい広告グループを選択します。3.広告グループまで選択したら、キーワード入力欄に登録したいキーワードを入力します。このとき、複数のキーワードを登録する場合は改行しましょう。4.次に「マッチタイプの設定」から登録したいキーワードが部分一致になっているか確認します。最後に「保存」をクリックしたら登録が完了します。検索語句からキーワードを登録する方法続いて、検索語句から部分一致でキーワード登録する際の基本操作をGoogle広告、Yahoo!広告別にご紹介します。Google広告での設定1. まずGoogle広告の管理画面にアクセスし、「キーワード」→「検索語句」の順でクリックします。表示された検索語句の中で、キーワードとして新しく登録したいものがあれば、その検索語句を選択します。このとき、複数選択することも可能です。2.検索語句を選択したら「キーワードとして追加」をクリックします。3.選択した検索語句がキーワードを入力する箇所に表示されるので、キーワードとして追加されるキャンペーン、広告グループを確認した後、「保存」をクリックしたら登録が完了します。Yahoo!広告での設定1.Yahoo!広告では、情報や商品を探すために検索窓に入力された語句を検索クエリーといいます。まずYahooの管理画面へアクセスし、表示内容選択の「キーワード」→「検索クエリーを表示」→「表示されている全てのキーワード」の順でを選択します。2.表示された検索クエリーの中で、キーワードとして新しく登録したいものがあれば、その検索クエリーを選択します。このとき、複数選択することも可能です。検索クエリーを選択したら「キーワードとして追加」をクリックします。3. キーワードを登録するキャンペーンを一つ選択します。その後、選択したキャンペーン内からキーワードを登録したい広告グループを選択します。キーワード入力欄には、選択した検索クエリーが表示されます。4.「マッチタイプの設定」から登録したいキーワードが部分一致になっているか確認します。最後に「保存」をクリックしたら登録が完了します。部分一致の除外キーワードキーワードを追加する際と除外キーワードを追加する際で、マッチタイプの機能が変わってきます。部分一致での除外キーワード登録については、Google広告ヘルプ内で以下のように説明されています。除外キーワードのデフォルトのタイプです。部分一致の除外キーワードを設定すると、そのキーワードに含まれるすべての語句が検索に使用された場合に(語順は問いません)、広告が表示されなくなります。ただし、キーワードに含まれる一部の語句のみが検索に使用された場合は、広告が表示されることがあります。引用:除外キーワードについて - Goolge 広告 ヘルプまた、部分一致で除外キーワード「ランニング シューズ」を登録した場合、広告の表示対象は以下の画像のようになるともGoogle広告ヘルプで紹介されています。まとめここまで、部分一致の基本的な仕様や効果的な活用方法、部分一致でキーワード登録する際の基本操作を説明してきました。部分一致を使用する際は、広告主の商品やサービスを必要としているユーザーへ、最適な広告が配信されるように適宜検索語句の確認をして運用を行なっていきましょう。