「インテントマッチ(旧:部分一致)」は、運用者も気が付かなかった新しい検索意図を発見できるマッチタイプです。一方、以下のような事態に陥る可能性があるので注意が必要です。思った以上に幅広い検索語句に広告が配信され、予算を想定以上に使ってしまった全く意図しない検索語句にまで広告が配信されてしまったこの記事では、インテントマッチの基本的な仕様の理解や、他マッチタイプとの違い、設定方法などを解説していきます。インテントマッチとは?インテントマッチ(旧称:部分一致)は、指定したキーワードに関連する検索語句に対して広告を表示するキーワードマッチタイプの一つです。表示範囲Google広告Yahoo!広告広域インテントマッチインテントマッチ中域フレーズ一致フレーズ一致狭域完全一致完全一致※媒体別 キーワードマッチタイプ名称(2025年7月現在)Google広告やYahoo!広告などのリスティング広告において、キーワードと検索語句のマッチング方法を決定する重要な設定の一つとなります。特徴このマッチタイプの最大の特徴は、検索語句の一致だけでなく、ユーザーの検索意図を深く理解して広告配信を行う点にあります。入札時に活用される情報(シグナル)は、ユーザーの検索意図や検索に至るまでの行動履歴も含まれるため、より精度の高いターゲティングが実現できます。Google広告ヘルプでは、検索語句以外に活用される情報(シグナル)について下記の通り説明されています。このマッチタイプ(インテントマッチ)では、的確な広告を表示するため、以下の情報も考慮される場合があります。・ユーザーの最近の検索内容・ランディング ページのコンテンツ・広告グループ内の他のキーワード(キーワードの意図を詳しく把握するため)引用:キーワードのマッチタイプについて - Google 広告 ヘルプ他マッチタイプとの違いインテントマッチの広告表示対象となる検索語句の範囲は、以下のイメージ図のようにフレーズ一致や完全一致に比べ広くなります。完全一致の表示対象キーワードとまったく同じ意味または意図の検索が、広告の表示対象。3 つのキーワード マッチタイプの中で、広告の表示対象を最も絞り込むことができるフレーズ一致の表示対象キーワードと同じ意味の内容を含む検索が広告の表示対象。文言に差があっても、同じ意味に解釈できる場合は一致と見なされる。また、キーワードよりも具体的な情報を追加した検索も一致する。インテントマッチの表示対象指定したキーワードに関連する内容の検索が広告の表示対象。キーワードの語句そのものは入っていない検索も含まれる。対象範囲が最も広く、すべてのキーワードにデフォルトで割り当てられるマッチタイプ。画像引用元:キーワードのマッチタイプについて - Google 広告 ヘルプこのように、完全一致→フレーズ一致→インテントマッチの順で、配信範囲が段階的に広がる仕組みとなっています。除外キーワード除外キーワードのマッチタイプの機能は、通常のキーワードのマッチタイプとは異なります。インテントマッチの除外キーワードを設定すると、そのキーワードに含まれるすべての語句(語順は問わない)が検索に使用された場合、広告が表示されなくなります。他マッチタイプの除外対象と合わせて覚えておきましょう。完全一致の除外対象完全に一致するキーワードが、別の語句を含まず、同じ語順で検索された場合に、広告が表示されなくなります。フレーズ一致の除外対象完全に一致するキーワードが、同じ語順で検索に使用された場合に、広告が表示されなくなります。検索に別の語句が含まれていても、すべてのキーワードが同じ語順で検索に使用されていれば、広告は表示されません。ただし、キーワードの間に別の文字が含まれている場合、広告は表示されます。インテントマッチの除外対象除外キーワードのデフォルトのタイプ。そのキーワードに含まれるすべての語句(語順は問わない)が検索に使用された場合、広告が表示されなくなります。ただし、キーワードに含まれる一部の語句のみが検索に使用された場合は、広告が表示されることがあります。表:「ランニングシューズ」で除外登録したマッチタイプ別の除外対象検索語句完全一致フレーズ一致インテントマッチ青 テニス シューズランニングの靴シューズ ランニング★ランニング 専用 シューズ★青 ランニング シューズ★★ランニング シューズ★★★「部分一致」から変わった背景Googleは、2024年7月にGoogle広告における「部分一致」の名称を「インテントマッチ」に変更したことを発表しました。名称変更の背景について、Think with Googleでは以下のように紹介されています。近年、Google AI や言語モデルの進化に伴い、その精度は飛躍的に向上してきました。機能の開発から 20 年以上が経った現在、部分一致という名称は、もはや実態を正確に表すものではなくなっています。(中略)インテントマッチは、大規模言語モデル(LLM)によって何十億ものテキストを学習するほか、他のマッチタイプでは使用していない複数のシグナルを用いています。ユーザー側のインテントだけではなく、広告のテーマやランディングページの内容、自動入札で使用している独自のシグナルに基づいた学習データなど、企業側のインテントも加味しており、より興味関心や購買意向の高いであろう検索クエリを捉えられるようになりました。今回「インテントマッチ」へと名称を変えたのは、こうした変化に対応してきたためです。参考:検索広告の部分一致を「インテントマッチ」へ改称した理由とは - Think with Googleつまり、かつて「部分一致」と呼ばれていたキーワードマッチタイプは、Google AIや言語モデルの進化により、ユーザーの検索意図(インテント)をより正確に読み取るようになったため、機能の進化に合わせて、「部分一致」から「インテントマッチ」へと名称が変更されたのです。なお、英語名称は「部分一致」時代から変わらず、「Broad match」が継続して使用されています。Google Ads Editorの一括操作でも、「Broad match」を引き続き使用するため注意が必要です。インテントマッチのメリット・デメリットメリット広告運用者が考えつかなかった関連語句や類義語まで配信されるため、より多くの見込み顧客にアプローチできる可能性があります。また、多様なキーワードを網羅するのにかかる時間を節約し、成果を上げているキーワードに重点的に投資できるようになります。デメリット意図が合致していると判断された検索語句に配信を拡大していくため、予想以上に広告予算を使ってしまう可能性があります。そのため、検索語句を定期的に確認し、キーワード/除外キーワードを調整することが重要です。関連記事:月50万円の広告配信を有意義なものにするために。望んだ成果が出ない理由と、私たちが成果を出すために意識していることインテントマッチの活用例や注意点ここまで、インテントマッチの基本的な仕様の理解を深めてきました。ここからはインテントマッチの活用方法や注意点について、中古自動車の広告配信を例に解説していきます。単体キーワード一単語で登録したキーワードを単体キーワードといいます。単体キーワードをインテントマッチで登録する際は、意図しないユーザーにまで広告が配信されないように注意が必要です。例えば、中古車販売を行う広告主が「車」をインテントマッチで登録した場合、「新車」や「トヨタ カーシェア」といった検索語句にまで表示範囲が広がってしまう可能性があります。意図しないユーザーへの広告配信を防ぐために、「広義で捉えられる単体キーワードをインテントマッチで登録しない」「意図しない検索語句は除外キーワードに登録する」といった運用方法が考えられます。複合キーワード複数の単語を組み合わせたキーワードを複合キーワードといいます。単体キーワードでは配信が広がりすぎてしまう場合に、キーワードを組み合わせ検索意図をより具体化することで、最適なユーザーに広告を表示させることができます。商品やサービスに関連するキーワードを組み合わせることで、意図通りのユーザーに広告が表示される可能性が高まります。地名キーワード店舗集客の広告を配信する場合は、「中古車販売 東京都」「中古車 安い 六本木」のように、地域名を組み合わせたキーワードが効果的です。地域ビジネスでは、地名キーワードの配信が鉄板施策ですが、広域な地名を登録してしまうと、商圏から離れたユーザーにも広告が表示されてしまう可能性があります。(例)"東京"の中古車販売店が「中古車販売 日本」で登録していたところ、"北海道"や"沖縄"のユーザーにも配信されていた。地域名を使う場合は、なるべく狭い地名から登録し、配信量や検索語句に応じて広げていくことを推奨します。インテントマッチキーワードを設定する方法ここでは、インテントマッチでキーワード登録する方法をGoogle広告・Yahoo!広告別にご紹介します。Google広告での設定方法1. まずGoogle広告の管理画面にアクセスします。その後「1. キャンペーン」→「2. オーディエンス、キーワード、コンテンツ」→「3. キーワード」の順でクリックします。 2. キーワード一覧の画面から、「+」をクリックします。3. キーワードを登録するキャンペーンを一つ選択します。その後、選択したキャンペーン内からキーワードを登録したい広告グループを選択します。4. キーワードの追加画面で、登録したいキーワードを入力します。このとき、複数のキーワードを登録する場合は改行しましょう。最後に「保存」をクリックしたら登録が完了します。Yahoo!広告での設定方法1. まずYahoo!広告の管理画面へアクセスし、画面赤枠の「1. キーワード」→「2. +キーワード作成」の順でクリックします。2. キーワードを登録するキャンペーンを一つ選択します。その後、選択したキャンペーン内からキーワードを登録したい広告グループを選択します。3. 広告グループまで選択したら、キーワード入力欄に登録したいキーワードを入力します。登録したいキーワードがインテントマッチになっているか確認し、最後に「キーワードのみ作成して終了」をクリックしたら登録が完了します。まとめインテントマッチの基本的な仕様、活用例や注意点、登録の方法を解説しました。インテントマッチを使用する際は、広告主の商品やサービスを必要としているユーザーへ、最適な広告が配信されるように、検索語句の確認をしながら運用を行っていきましょう。※関連サービス:リスティング広告運用代行