さまざまなWeb広告媒体の中でも、リスティング広告を配信する場合は競合調査を行うか行わないかによって結果が大きく変わります。それはリスティング広告が「検索という能動的な動作が行われた際に表示される広告」であるためです。能動的に情報を収集しているユーザーによって比較されるため、それぞれのサービスの違いを吟味されやすいです。そのようなユーザーに対して、自社と他社の違いに応じた魅力的なオファーが出せるかどうかが成果に関わります。今回はリスティング広告で成果を出すために必要な競合調査について、効果的な調査方法から調査に用いるおすすめのツールについて紹介していきます。リスティング広告の配信に競合調査はなぜ必要かなぜ競合調査が必要なのかについて、冒頭で少し述べましたがより詳しく解説していきます。なぜ競合調査が必要なのか競合調査が必要な理由は『自社が戦いやすい土俵を選定するため』です。競合がどのようなサービスを提供しているかに応じて自社が打ち出す広告訴求を調整することで費用対効果の高い広告配信が行えます。競合他社よりも自社のほうが優れている部分が見つかれば、それは自社が有利に立てる土俵を見つけたということです。反対に競合他社の方が優れている部分が見つかれば、その土俵で戦っても負ける確率が高くなってしまいます。競合調査をあらかじめ行っておけば、そういった土俵では戦わないという選択ができます。競合調査を行わなかった場合競合調査を行わないと、想定していた広告成果が出ない恐れもあります。理由は先ほど少し述べましたが、競合の方が優れている部分を広告文で訴求してしまってもその競合を差し置いて選んでもらうことは難しいためです。たとえば月会費3,000円と5,000円のジムがあった場合、会費だけ見ると月額3,000円のジムのほうが魅力的に見えてしまいませんか?価格という側面だけで勝負をしてしまうと、価格を重視して選んでいるユーザーからは選ばれにくくなってしまいます。月額5,000円のジムでも他の施設にはない魅力があれば、それを広告文やランディングページで訴求することで価格以外も重視する人々に魅力的に感じてもらえます。競合調査を行うタイミング競合調査はできるかぎり諸々の施策を行う前の一番初めに行うのが理想的です。競合と自社の強み・弱みを抑えてからランディングページの作成や広告文の検討が行えると、その後に効率的な広告配信が可能となります。広告文を配信しながら微調整することは比較的安易ですが、ランディングページを細かく調整していくのは少々手間がかかります。競合調査後であれば自社が押し出すべきポイントはどこか、競合他社が叶えられないユーザーニーズは何かなどを把握できるので、そのような要素を盛り込んだランディングページを作成したほうが、広告成果に繋がりやすくなります。競合企業の選出方法競合調査を行うならまずは自社の競合となる相手を選出しましょう。次から競合の選出方法について解説していきます。Step1 自社が広告配信するキーワードを検討するどのようなキーワードに出稿するのか決まっていなければ、まずは出稿するキーワードを検討しましょう。リスティング広告における競合調査をする場合、まずは自社がどのようなキーワードに対して広告出稿するのかが決まっていないと競合企業をしっかり選出できません。どのようなキーワードに出稿するか検討する際は自社のサービスを顧客が検索して探すとき、どのようなキーワードを入力しているのかを想像しましょう。たとえばエリアが限定されている接骨院のようなサービスであれば「〇〇区 接骨院」といった検索をされることが多くなるでしょう。ほかにBtoBビジネスを展開している場合は、自社サービスの利用を検討する企業の担当者がサービスを探す際、どのように検索して探すのかを検討しましょう。実際の利用者へヒアリングが可能であれば、どのようにして検索したのかを聞いてみてもよいかもしれません。それでもキーワードが見つからない場合はどうしても配信していくキーワードが見つからない、分からない場合は、Google 広告のキーワードプランナーを使用すると見つかるかもしれません。キーワードプランナーとは、無料で使用できるキーワード調査ツールです。任意のキーワードを入力したり、すでにWebページがあればURLを入力するだけで、それに関連した新しいキーワードの候補やその検索ボリュームを調査できます。下のキャプチャーは実際にキーワードプランナーを使用した様子です。「広告代理店」というキーワードを1つ入力すると、キーワードの候補が羅列されます。ユーザーがどのような検索をしてサービスを探しているのか分からないときは、こうしたツールを使用するのも一つの手です。ツールの紹介は本記事の最後でもしていますので是非ご検討ください。Step2 同じキーワードに出稿している競合他社を調べる出稿するキーワードがある程度決まったら、そのキーワードに同じく出稿している競合他社を調査します。方法はとても簡単で、実際に自身で検索してみましょう。この時競合企業を余すことなく見つけるコツは、検索の仕方を色々変えてみることです。以下に例を示します。検索するデバイスをスマホ、パソコンなどいろいろ変えてみる検索する時間帯や曜日を変えてみる検索エンジンをGoogle、Yahoo!、Bingなど変えてみる検索するキーワードをいろいろ試してみるこのように、検索の仕方を変えるだけで表示される広告が違ってくることがよくあります。それはそれぞれの競合企業がターゲティングしているユーザー層に違いがあるためです。今後の広告配信の参考にもなるので、ぜひいろいろな検索方法を試してみてください。また実際に検索する際にはシークレットモードで検索しましょう。通常、検索結果の画面はこれまでの検索履歴やサイト閲覧状況に応じて検索エンジンがカスタマイズしています。シークレットモードで検索すると閲覧履歴やCookie、サイト閲覧状況などはデバイスに保存されません。そのためより個人の検索傾向が加味されない、フラットな検索結果を確認できます。すでに出稿していればオークション分析で競合ドメインを確認できるGoogle 広告にて既に検索広告を出稿していれば、『オークション分析』を見れば普段自社が出稿しているキーワードに広告出稿している競合のドメインや、競合と比べて自社がどれぐらいの割合で広告表示できているかなどを確認できます。競合状況を確認したいキャンペーンを選択して「オークション分析」をクリックすれば確認可能です。『自分』と表示されている箇所が自社の出稿状況です。そのほか表示されているドメインが競合している企業のドメインです。ここに表示される競合企業の広告文や遷移先ページを調査し、自社の広告配信に役立てることも可能です。競合調査でチェックするべきポイントそれでは実際に競合調査を行う際に、調査結果をまとめる方法やチェックするべきポイントについて解説していきます。一覧表を作成し各企業の特徴を整理する各企業を比較しやすいように、調査結果は一覧表にまとめていきます。まとめる要素に何を取り上げるかについては「ユーザーがサービスを比較検討するときにどのような情報を参考にするか」に着目するとよいでしょう。競合他社の広告文や遷移先ページの情報を確認し、それぞれの特徴となる部分を一覧表に記載していきます。自社・競合他社に限らず他の企業よりも優れている要素があればハイライトにするなどしておきます。そうすることでそれぞれの企業のポジショニングが分かりやすくなり、自社の広告戦略を検討するうえで役立ちます。弊社で使用している一覧表を用いて競合調査の例をお見せします。このように競合と自社の特徴を比較し、自社が戦うべき土俵がどこなのかを見極めましょう。強みや弱みを理解し、訴求軸を検討する競合調査を行ったことで、競合他社と比べて自社が強みとするところ、弱みとするところがはっきりしてきたかと思います。そうした強み・弱みを念頭に広告文や広告の遷移先となるページを作成、検討しましょう。強みとなる部分は積極的に押し出します。反対に弱みとなる部分は、もしなんらかの要素でカバーできるのであればそういった部分も積極的に提示しましょう。自社の弱みをカバーして競合と戦う例たとえば競合他社の製品が圧倒的に壊れにくく、長持ちするバイクだったとします。それに比べ自社のバイクは精一杯故障しないような設計としていますが、それでも競合の6~7割程度の耐久性だったとしましょう。このままでは弱みとなってしまいますが、15年間の修理保証を無料で受けられるのであればそれは弱みをカバーしていることとなります。競合他社と自社のバイクで迷っている人は、そうした情報の提示がページ上にあれば自社の製品についても前向きに検討してくれるかもしれません。自社の強みは積極的に押し出し、弱みの部分は工夫してカバーしてアピールすることでお客さんに選んでもらえるような広告戦略を検討しましょう。リスティング広告の競合調査におすすめのツール最後にリスティング広告の競合調査に役立つおすすめのツールを紹介します。無料で利用できるツールもありますのでぜひ参考にしてみてください。SimilarWebSimilarWebに競合他社のサイトURLを入力すると、そのサイトの流入状況についておおまかに把握できます。期限付きの無料トライアルプランもありますが、基本有料で使用できます。たとえばどれくらいのサイト流入数があるのかや、どういった流入経路でユーザーを獲得しているか、どのようなキーワードで検索したユーザーの流入を獲得しているかなどといったことが分かります。特に流入に繋がっているキーワードは自社が出稿するキーワードの選定の参考になるでしょう。また流入状況から、どのようなユーザー層からの支持が得られているかであったり、どのようなユーザーニーズを叶えるサービスなのかといったヒントを得られるかもしれません。GhosteryGhosteryは競合調査ツールではなくサードパーティのデータ追跡をブロックする、無料で使えるchromeの拡張機能です。一見競合調査に役立ちそうにありませんが、Ghosteryをインストールしてサイトを訪問することで、そのサイトに組み込まれているタグを見分けることが可能となります。Googleアナリティクスなどの解析ツールを導入しているかどうかも分かりますし、そのサイトがFacebook広告やTwitter広告を配信していてそれらに関連したタグが設置されていれば検出できます。このツールを導入することで競合サイトがどのようなWeb施策を行っているのかといった情報を得られるので興味があれば導入してみてください。導入はこちらから可能です。Ghostery – プライバシー広告ブロッカーGhostery使用時の注意Ghosteryが有効なままでchromeを使用していると、ページによっては普段のページの機能が作動しないことがあるので注意が必要です。たとえばGhosteryを有効にした状態でFacebook広告の管理画面を表示し、広告の編集画面を表示するとプレビューが表示されなくなります。Ghosteryによって作動していないときづかなければ、なぜページが機能していないか困惑してしまうのでこの拡張機能の使用には注意が必要です。Ghosteryを有効にした状態でサイトを通常通り閲覧したい場合は、下部画像のように「信頼できるサイト」をオンにしましょう。ahrefsahrefsはリスティング広告だけでなく、SEO施策においても有益な情報が得られる有料ツールです。競合サイトのドメインを指定すると、そのサイトへの流入に繋がっているオーガニックキーワードを把握できます。サイト全体だけでなく、個別のページのURLを入力すればそのページへの流入に繋がっているオーガニックキーワードも調べられます。サイトの被リンクの獲得状況といったことまで調べられるので、SEO施策において特に役立つツールです。リスティング広告の競合調査では、出稿するキーワードの検討や競合が狙っているニーズを推察したりする際に利用できます。さいごに(調査表テンプレートのダウンロード)競合調査はLPの作成や広告文の検討といった施策を開始する前にぜひやっておきたいものです。広告費を使用する前から効率の悪い戦い方が判明していれば、事前にそれを避けるべきでしょう。また競合調査は施策の開始後にも必要に応じて行います。競合他社の施策が常に一定であるとは限らないので、広告配信中も競合の動きに変化がないか確認するようにしましょう。ユーザー目線で競合他社の魅力を洗い出し、自社の魅力についてもユーザー目線で再確認しましょう。顧客理解を深めるためにこちらの記事も参考にしてみてください『顧客についてどこまで把握できてますか?顧客理解の重要性から意識するポイントについて解説』調査する際はこちらのテンプレートをご利用くださいませ。フォーム入力不要で、無料でダウンロードが可能です。ご自由にコピーまたは印刷してご利用いただけます。なお、スプレッドシートは以下の構成となっております。シートが分かれておりますので、あらかじめご承知おきください。1シート目:記入用シート2シート目:記入見本【社外配布用テンプレート】競合調査シート競合調査をもとに自社が有利に立てる立ち位置を把握し、よりよい広告成果に結びつくとよいですね。