会社や家族などのグループで、高額な買い物や年会費の高いサービスを契約するときに、グループ全員で相談しあって、購入や契約の意思決定をしたことはありませんか?もしあなたが取り扱う商品が、同じように「複数人で相談された上で、購入が決まる商品」の場合、DMUを考えた上でマーケティング活動を行うと、よりスムーズに購入につなげることができるかもしれません。本記事では「DMU」について解説します。DMUとは?DMUとは、購買の意思決定関与者のことです。「Decision Making Unit」の頭文字を取り「DMU」と表記されることが多いです。顧客が商品の購入やサービスの契約を検討する際、複数人が意思決定に関わることがあり、その時に意思決定に関わる人たちのグループを「DMU」と呼びます。たとえば、広告代理店にリスティング広告の出稿を依頼する際に、広告主となる企業の担当者A、担当者Aの上長B、社長Cの3人が意思決定に関わり、全員がGOサインを出すことで正式な発注が決まる場合があります。この時のDMUは以下の3名となります。担当者A上長B社長Cまた3名の中でもポジションの違いによって、持っている権限は異なりますし、ユニット全体の意思決定に与える影響度が異なる点も注意しなければなりません。担当者Aと上長Bが「広告代理店Xに依頼したい!依頼したらすぐに売上が改善しそうだ!」と思ったとしても、社長Cは「別の広告代理店Yの方が会社の長期的な成長を見据えて提案をしてもらえたので、今回は契約を見送りたい。」と思い、会社としての意思決定は「今回は広告代理店Xには依頼しない」となる可能性があります。DMU内の影響度は平等ではなく、ポジションごとの権限や裁量によって差があることを覚えておく必要があります。私の感覚的には、DMU内でGOサインを出す人物の影響度の合計が60~70を超えてこないと、ユニット全体のGOにつながることはありません。影響度に関して100%正しい方法があるわけではないですが、まずは影響度の大きい人物に向けたマーケティンング施策を行うのが、最も効率的にマーケティングを進める方法と考えます。上の図の場合ですと、まずは社長Cに魅力を伝えるためのコンテンツ作りや情報発信が必要でしょう。ただし、その社長Cに向けたコンテンツを伝達してくれる役割が担当者Aや上長Bの可能性もあるのでDMU内の人物がどう連携しているか、にも気を配る必要があります。DMUを考える必要があるのは何故か?DMU内の1名だけに商品の良さを知っていただけたけれど、他の方々には魅力が伝わらず、契約に至らなかった経験はありませんか?意思決定に関わるすべての人が「この会社と契約するのが良さそうだね!」とGOサインを出すことが理想です。そうすれば、ユニット全体の意思決定がスムーズに行われますよね。それぞれの顧客に向けたマーケティング活動を実施するためにも、DMUを必ず考えた方がいいでしょう。※複数人が意思決定に関わらない商品やサービスでは、DMUを考える必要はありません。あくまで複数人が意思決定に関わる場合にのみ、DMUを考えましょう。DMUはマーケティングの準備の最初に考えるDMUはマーケティングの準備の最初に考えるのがオススメです。DMUを考えることで、購買の意思決定に関わる登場人物の洗い出しができます。登場人物を洗い出すことができれば、そこからそれぞれのペルソナを考え、一人ひとりに向けたマーケティング活動につなげられます。DMUを考え、購買の意思決定に関わる登場人物を明確にする登場人物一人ひとりのペルソナを描き、それぞれの課題や悩み、不安を明確にする登場人物それぞれの「不」を解消できるような、マーケティング活動を取り組むというステップを歩めるといいでしょう。DMUを作った後のペルソナ設計については、以下の記事で作成方法がまとまっているので合わせてご覧ください。「ペルソナ」とは?概要と作るメリット、作成方法まで解説(ペルソナ作成シート付き)DMUの例BtoBマーケティングで考えられることの多いDMUですが、BtoCでも考える場合があります。以下で弊社での事例を踏まえて、「BtoB」と「BtoC」それぞれに分けて解説します。「工場内の大型設備導入」でのDMUの例(BtoB)工場内の大型設備を導入する際も複数人が関わり、意思決定を行います。弊社のクライアントの事例ではありますが、このDMUに登場するのは、「工場長A」「部長B」「経理C」「社長D」の4名でした。それぞれの役割を簡単にまとめます。工場長A・・・工場内設備の配置や従業員の作業導線を気にかけている。部長B・・・大型設備を導入した時に採算が合うのか、を明確にしたいと思っている。経理C・・・高額な大型設備を導入するため、会社のお金に関する問題を心配している。社長D・・・大型設備を導入することで、会社の成長につながるのか吟味している。それぞれ役割が違えば、気にする箇所や抱えている悩みも異なります。DMU作成後の、ペルソナやカスタマージャーニーマップ作成時には、それぞれの登場人物の悩みに向けたマーケティング施策が必要となります。「住宅購入」でのDMUの例(BtoC)BtoCで複数人が購買の意思決定に関わる商品の代表的なものは「住宅購入」です。夫婦で住宅を購入する場合は、夫と妻の2名が意思決定に関わることになります。また、子どもも意思決定に関わる場合や、同居する両親が意思決定に関わる場合もあるでしょう。自社で取り扱う商品が、”核家族(夫婦とその未婚の子どもからなる家族)に向けたもの”なのか、二世帯住宅などの”夫婦とそのいずれかの両親に向けたもの”なのかによって、DMUの作り方は変わってきます。たとえば弊社のクライアントで、以下のようなDMUを検討したことがあります。夫婦とそのお子様2~3名に向けた注文住宅を取り扱うハウスメーカーですが、住宅購入を検討されるタイミングはお子様が幼稚園に入りたての頃が多かったため、DMUは「夫」と「妻」の2人としました。ハウスメーカーの作る注文住宅のデザイン的にも女性に気に入っていただくことが多く、「妻」側の意思決定への影響度が大きいと考えました。そのため「妻」の意思決定への影響度が60%、「夫」の影響度が40%としています。影響度はあくまで目安ではありますが、影響度が高い顧客に向けたマーケティング施策から始めるといいでしょう。マーケティング活動を開始する前に、DMUとして住宅購入に関わる人物を洗い出し、それぞれペルソナを考え、それらに向けたマーケティング施策を準備すると良いでしょう。BtoCで複数人が購買の意思決定に関わるその他の商品として、「自動車購入」「保険への加入」「子供の習い事」「子供の学習塾への入塾」などがあります。まとめ繰り返しになりますが、DMUとは、購買の意思決定関与者のことです。DMUを考えることで、購買の意思決定に関わる登場人物を洗い出され、それぞれのペルソナを描くきっかけとなります。最終的に、それぞれに向けたマーケティング活動を実施することがユニット全体のスムーズな意思決定を後押しすることになるため、マーケティング活動の初手として、DMUを必ず考えるようにしましょう。またDMUを考えた後には、登場人物ごとのペルソナを描くことを忘れないでくださいね。「ペルソナ」とは?概要と作るメリット、作成方法まで解説(ペルソナ作成シート付き)