弊社が支援しているクライアントでの検証結果についてご紹介します。今回は、住宅メーカーにおける広告クリエイティブの改善を行いました。課題の仮説立てから施策立案、実行、検証結果まで一連のプロセスをご紹介します。注意:以下の事例は私たちの状況に基づくもので、全てのケースに当てはまるわけではありません。訴求の切り口を変え新規の顧客獲得を増やしたWeb広告の改善事例対象のクライアントは、もともとInstagram広告をメインに活用し、顧客を獲得していました。今回弊社がご支援に加わるタイミングで「これまでより多くの新規顧客を獲得し、事業拡大を加速させたい」というご要望をいただいておりました。ご相談を受けて、事前に頂いたデータからこれまでの経緯を確認し、配信手法を見直しました。そして、より多くの顧客獲得ができるよう改善しました。まずは前提情報と課題について整理します。前提と課題クライアントの業種は、新築建売住宅、注文住宅を提供しているハウスメーカーです。全国展開しているわけではなく、地域に根ざした企業であり商圏も限られています。業種ハウスメーカーコンバージョン地点お問い合わせ対象とする施策Instagram広告課題事業拡大のために新規顧客獲得数の増加を狙い、広告予算を増加させた。しかし、想定ほど新規顧客獲得数が上手くいかず、広告の成果が悪くなってしまった。対象のクライアントは、新規顧客獲得数を増やすため、既存広告の配信量を増やしてリーチを広げましたが、獲得件数は思ったほど上がらず、CPAも悪化してしまいました。今回はこの課題に対する仮説から実施施策、検証結果までの過程をご紹介します。課題に対する仮説この課題に対して、過去の配信データの分析や顧客理解を進め、以下の仮説を立てました。購入意欲が低いユーザーに広告を配信していた購入意欲の低いユーザーに向けた広告が多かったことが、獲得件数の増えない大きな原因だと考えました。現状のInstagram広告では「おしゃれな住宅一覧」や「◯◯のメリット・デメリット」などの住宅を検討し始めた人に向けた訴求の広告を配信していました。これらの訴求は多くの人の興味を惹くテーマです。一方で、検討しはじめのユーザーにとって役に立つ広告であるため、まだユーザーの購入意欲が高くなく、獲得率が低い傾向にありました。そのため、まずは購入意欲の高い層に向けた訴求に変更する必要がありました。デザインの微修正を中心に改善していたこれまでこのクライアントでは、Instagram広告における改善といえば、広告画像のデザイン修正がほとんどでした。訴求やテキストの内容はほとんど変更せず、色合いや要素の配置変更を中心に行っていたため、訴求内容の検証は進んでいない状態でした。それでも顧客の獲得はできていましたが、その改善によって大きく獲得数が伸びることは無く、また同じ訴求では獲得できない月もあり不安定な広告配信となっていました。仮説に対して行なった施策上記の仮説をもとに、以下の調整を行いました。1. 購入意欲が高いユーザーに向けた訴求に変更はじめに行ったのは、カスタマージャーニーマップを見直し、購入意欲の高いユーザーに興味を持ってもらえるような訴求を考えました。まだ漠然と住宅購入について考えているユーザーではなく、細かく調べたり、展示場やオープンハウスへの来場などの具体的なアクションを行なっているユーザーへの広告配信に注力しました。また検討期間が長い住宅のような商材は「タイミングが会えば、希望のエリアで新築に住みたい」という、前向きに検討しつつも保留中の方も多くいます。そこで、保留中のユーザーに興味を持ってもらえるような訴求を複数パターンに分けて広告を作成しました。「駅チカ新築特集」や「年度内に入居できる新築特集」「◯◯機能を持つ新築特集」など、新たに特集を組みさまざまな具体的なニーズに刺さるような広告を作成しました。2. リアルタイム感のある広告を作成住宅を検討している方の中には「希望の住宅が見つかるまで待つ」という意向の方も多く、必然的に検討期間が長引く傾向にあります。それと同時に、住宅情報にアンテナを張る期間が長くなるため、ハウスメーカー側が同じ広告ばかりを出していると「またこの広告か...」とすでに見たことのある広告に何度も触れることになります。そのため、今回の施策では「フレッシュな情報を提供する」ということを意識し、新しい住宅情報であることや、期間限定であることを強調し、これまでの使い回された情報ではないことを強調しました。3. 住宅の広告っぽくないデザイン大抵、同じエリアにいくつもの住宅会社が存在します。そしてInstagram広告のようにターゲティング設定ができる広告では、複数の住宅会社が1人のユーザーに対して、同じような広告を配信しがちです。その結果、ユーザーはそれらの広告に見慣れてしまい、興味を持たなくなってしまいます(クリックしなくなってしまいます)。今回の改善では、あえて住宅の素材は使用せず、一見住宅会社の広告らしくないデザインに変更し、他の住宅会社の広告と差別化を図りました。今回のエリアの他の住宅会社の広告は建物中心のデザインばかりでしたが、今回の検証では建物を一切出さず数字やテキストだけのデザインにしました。施策から得られたデータ上記の改善をおこなった結果、目標としていた数のコンバージョンを獲得することができました。以下のグラフは獲得件数を示したグラフです。広告費や獲得単価は公開できませんが、獲得単価、及び獲得率が大幅に改善しました。得られたデータを基にした考察あくまで今回の検証における結果です。すべてのケースに当てはまるわけではないですが、当該検証の結果を受けて、以下のように考察しました。ユーザーは似たような広告に飽きている各広告媒体のターゲティング精度が向上したからこそ、ユーザーは同じような広告をよく目にしています。そのため「おしゃれ」や「キレイ」なデザインだけでは、目に止まること無くスルーされてしまうと考えます。今回は他社のデザインを見ながら、他の広告と被らないようなテイストの広告を採用したため、それがユーザーに刺さり、お問い合わせ獲得につながったと考えています。デザインの変更よりも訴求の切り口を変えることが重要今回の検証で作成したデザインは変更後3ヶ月目までは、多くのコンバージョンが発生していましたが、それ以降はデザインの微修正をしてもコンバージョンはあまり発生しませんでした。このことからも、デザイン修正のインパクトよりも「切り口の新規性」を強調する方が、住宅購入検討中の顧客に響くのではないかと考えます。さいごに今回の施策は、デザインだけに拘らず”訴求の切り口”と”顧客の購入意欲が変わるタイミング”に目を向けたからこそ、改善につながりました。しかし継続的に良い成果を出し続けるためには、もちろんデザインの検証も必要ですし、テキスト表現にもこだわっていく必要があります。今回の事例のようにデザインを変えているがなかなか成果が出ない場合には、一度、訴求内容とターゲットの意欲がマッチしているか見直してみて下さい。注意:以下の事例は私たちの状況に基づくもので、全てのケースに当てはまるわけではありません。