画像で情報を検索できるPinterest。Pinterestが自分たちのサービスを「ビジュアルディスカバリーエンジン」と定義しているように、オンラインに散らばっている自分の「好き」を視覚的に集めて整理するのにぴったりのツールです。工務店・ハウスメーカーがPinterestを活用するメリット工務店・ハウスメーカーがPinterestを活用する一番のメリットは、顧客になる前のユーザーと”出会える”ことです。住宅の購入やリノベーションは検討期間が長いため、消費財とは異なりSNSを見てすぐ購入、とはなりにくいもの。しかし、自社の投稿が、有益な情報を求めている「潜在層=未来のお客さま候補」のボードに保存されることで、自社のサイトやイベントに興味を持ってもらえる入り口になり得るのです。建築した住宅の細部をユーザーに見てもらうきっかけが作れる自社サイトにいくら参考になる情報を載せていても、そこにターゲットとなるユーザーを連れてくるのは簡単なことではありません。特に発注するメーカーを決めていない検討初期段階のユーザーであれば、メーカーサイトを訪れることはまず無いでしょう。住宅関連の商材に限らず、最近は知りたい情報を収集する際にGoogleの画像検索やInstagramを始め、自分が求める「イメージ」を検索することから始める人が増えました。Pinterestの特徴はキーワード検索をきっかけに、画像やイメージを見つけられる点。メーカー側が「寝室 ホテルライク」とキャプションを入れて画像を投稿しておけば、そのキーワードで画像を探しているユーザーにリーチできる確率が高まります。自社サイトを訪れてもらわなくとも、自社で手掛けた住宅の事例やその細部まで、ピンポイントで見てもらうきっかけが作れるわけです。建てた住宅のどのポイントが人気なのかを知るきっかけになるPinterestはユーザーに発見してもらうだけでなく、メーカー側のマーケティング上のヒントとしても有効です。画像のインプレッション数や保存数から、自社で建てた住宅や住宅内の場所(キッチン、リビング、寝室などの種類)のなかで、どのポイントが反応がいいかを探ることができます。たとえば同じキッチンを撮影した写真でも、お皿や観葉植物などの小物が写り込んでいるかどうかで保存数が変わるなど、エンゲージメントに差が出てきます。反応が良い投稿と良くなかった投稿の差を分析することが、ユーザーニーズを把握する手がかりとなります。またその際には、Pinterestアナリティクスを利用しましょう。Pinterestアナリティクスではインプレッション数やエンゲージメント数、保存数などでピンを比較することができます。上の画像は直近30日でインプレッション数が多い投稿順に並び替えたものです。どんな投稿がニーズがあるのか、人気なのかが分析できますね。顧客の要望をヒアリングする際の営業資料としての活用カテゴリ別にボードを用意し、各ボードに合わせたピン(※)をまとめておけるPinterestは、提案時のツールとしても便利。キッチン、洗面所などの場所別や、ナチュラル、モダンなどのトンマナ別など、商談時に使いやすいカテゴリごとに整理して自社の事例をまとめておきましょう。顧客の要望をスムーズにヒアリングすることができますし、より具体的で的確な提案をしやすくなります。※Pinterestではボードに画像を保存することをピンと呼びます。「Pinterestのピン作成方法|3つの作成方法を画像付きで解説」で詳しく解説しています。Webサイトを訪問するきっかけを作れるInstagramには無いPinterestの機能として、投稿画像への外部リンク設定があげられます。自社へのリンクを設定しておけば、投稿画像から事例に興味を持ってくれたユーザーをスムーズに自社サイトに誘導できます。下の画像では、画像内の赤枠箇所から須藤ホーム様のWebサイトに訪問することが可能です。素敵な自宅の写真を見つけると、施工したハウスメーカーの他の事例もWebサイトを訪れて見たくなってしまいますよね。画像引用元:「須藤ホーム」様例えばキッチン画像のリンクの先に、より詳細なキッチンのこだわりや工夫、体験談などの記事を設定しておけば、ユーザーにとって満足度が高まるでしょう。Pinterestを上手く活用している工務店・ハウスメーカーここからは、工務店・ハウスメーカーの中でも特に上手に運用されていると感じ、弊社でも参考にさせていただいているPinterestアカウントをご紹介します。neieneieは、株式会社洞口が行っている住宅事業です。デザイン性が高く自然素材を重視したおしゃれな注文住宅を手掛けています。ネイエはInstagramにも力を入れていますが、同様にPinterestの運用も参考になる点が多いメーカーです。写真に統一感があり、ボードが並んだときに「neieっぽさ」を感じる世界観を作ることができています。Pinterestのボードの作り方や投稿画像は、自分たちのセンスや好みに合うメーカーなのかどうかをユーザーが判断する際の重要な材料になります。neieの作り込まれた世界観は、訪れたユーザーをファン化する大きな武器になっていると思います。ボードのネーミング(=カテゴリ分け)も秀逸です。「石張りフロア」や「障子のある暮らし」など、顧客との会話の中でよく出てくるワードや人気の仕様を取り入れて、日々ヒットしやすいカテゴリ分けにアップデートしてそうですね。ぜひ参考にしてみて下さい。画像引用元:neie - PinterestFREEDOM ARCHITECTSフリーダムアーキテクツは年間約400棟のデザイン住宅(注文住宅)を手掛ける、全国No.1の完全独立系建築設計事務所です。フリーダムアーキテクツのPinterestアカウントでまず目を引くのが、その投稿数の多さ。各ボード内に少なくても数十枚、多いと数百枚の写真がピンされており、たくさんの事例を手掛けているのだという実績が見て取れます。またneie同様、カテゴリ分けが秀逸です。「吹き抜け」「造作洗面」「ねこの居る暮らし」など自分たちの顧客になり得る注文住宅を検討しているユーザーが興味を持ちそうなワードをきちんと押さえています。さらに同じ照明でも、「リビング 照明」「階段 照明」など細かいニーズに合わせた分け方をしておくことで、ユーザーと情報のマッチングの精度を高めるだけでなく、おそらく営業スタッフが商談時などに営業資料として有効活用していると予想できます。良いアカウントは、ユーザーにとっても社内スタッフにとっても使い勝手が良いのです。画像引用元:FREEDOM ARCHITECTS - Pinterest工務店・ハウスメーカーがPinterestで抑えるべき3つのポイントPinterestを運用する際に、抑えるべきポイントは、「写真を撮る方法」「写真の投稿方法」「写真のまとめ方法」の3つです。順番に解説します。写真の撮り方や質にこだわる先の2つのアカウントを見てわかるように、写真が中心のSNSなので、写真の質や撮り方にはこだわりましょう。必ずしもプロに依頼するべきとは言いませんが、社内スタッフがスマートフォンで撮影する場合でも、光の入り方や構図に気を付けるだけで格段に良い写真になります。最低限、水平・垂直を意識しましょう。そして、何枚も撮ってみること。繰り返しているうちに、どういう撮り方をした時がいい写真になるのか、条件がわかってくると思います。またプロではない方こそ、撮ったままを掲載するのではなく必ずアプリ等で編集をしましょう。毎回同じアプリ、同じフィルターで調整するだけでもボード全体に統一感を持たせることができます。スマホ撮影時の「水平・垂直」を学ぶためのおすすめ記事スマホで水平・垂直に撮影するために、なるほどブラインドさんの「スマホで簡単!インスタにアップしたくなるインテリア写真講座vol.1 撮影の基本「水平垂直」を学ぼう。」が非常におすすめです。わかりやすいイラスト解説付きで、私も写真撮影時に参考にさせていただきました。画像引用元:「スマホで簡単!インスタにアップしたくなるインテリア写真講座vol.1 撮影の基本「水平垂直」を学ぼう。」 - なるほどブラインドキャプション(文章)に検索キーワードにヒットしそうな単語を含める住宅関連用語はもちろん、こだわったポイントや工夫したこと、使う際の注意点なども含めると、必然的に検索キーワードにヒットする単語が含まれるはずです。例えばキッチンなら、「アイランドキッチン」「ペンダントライト」「キッチン収納」などのキッチン関連用語に加えて、「開放的なアイランドキッチンです。シンプルで洗練されたデザインは清潔感があります。作り付けの収納棚で収納にも困りません」のように、写真を用意して満足、ではなくキャプションを付けることを忘れずに。下の画像は、先にご紹介したFREEDOM ARCHITECTSさんの投稿です。写真に合わせてキャプションが用意されています。写真を見ただけでは伝わりきらない設計士の意図や、この設計ならではの工夫や使い道が、Pinterestユーザーにより刺さりそうですよね。またこれだけ丁寧なキャプションがあるとキーワード検索にもヒットしやすく、インプレッション数や保存数への貢献も大きいでしょう。どんなキャプションを付けるか思いつかない場合は、その写真を届けたいのは誰なのかを考えてみて下さい。具体的にユーザー像を思い浮かべてみて、その人に何を伝えたいのか、どんな情報があると喜んでもらえるかを想像すると、最適なキャプションを書きやすくなります。ボードをまとめること先の2つのアカウントのように、「キッチン」「寝室」「外観」など使いやすいカテゴリを考え、ボードを作成しましょう。営業時にお客様に提案しやすくなります。下の画像は愛知県豊橋エリアを中心に注文住宅を提供する「ハピナイス」様のボードです。カテゴリごとにボードが分かれており、お客様も見やすく、営業担当も提案しやすいボード設計になっています。画像引用元:「HAPINICE - ハピナイス 」最初から最適なボードが作成できなくても大丈夫です。より良いボードが思いついたら新規追加できますし、すでに分類済みの写真の所属ボードは後からでも変更できるので安心してくださいね。さいごに工務店・ハウスメーカーがPinterestアカウントを活用するイメージは湧きましたか?まずは今回紹介した事例のように、なるべくたくさんのアカウントの運用事例を見てみるところから始めて下さい。きっと自社のトンマナや方針と相性の良いアカウントが見つかるはずです。真似できるところはどんどん取り入れましょう。運用してみて日々改善していくことが大切です。実際に商談時に使ってみると、スタッフや顧客の反応から改善すべき点が出てくるものです。はじめから完璧な運用はありえません。自分たちで試行錯誤しながら、自社の未来のお客様と繋がれるアカウントに育てていきたいですね。関連ページ:工務店・ハウスメーカーのマーケティングに関する記事一覧