いろいろな業種業態の方達とお話しさせていただく中で、自社でブログ記事を頻繁に更新してはいるものの、その目標の設定や成果を追う方法で悩まれている方が非常に多い印象です。大企業などにはマーケティングの担当者がいたりする場合が多く、この問題は起こりにくいですが、弊社のご支援させていただくような中小企業様ではよくある問題です。中には数百〜数千ほど記事を書いてるが、目標の設定や成果の計測方法がわからないという方もおり、そのような方達のサイトにはほとんど流入が発生していないということもありました。そのため今回は、自社でブログ記事を書いている方や今後始めようとしている方向けにどうやって目標の設定をするといいのか、その目標はどうやって計測するのかをなるべく具体的に解説していきます。この記事で出てくる目標の数値はあくまで目安ですので、自社のサイトの状況などに応じて解釈を変えて読んでいただくといいと思います。関連記事:顧客目線のブログとSEO対策で、7.7倍のリードを獲得できるまで伸びた医療ブログの改善記事を公開することが目的になっていませんか?コンテンツマーケティングやコンテンツSEOの支援をしている中で、「記事公開が目的化」してしまっている企業が非常に多いと感じます。本来の目的には「お問い合わせを増やすため」と明確な目的があるにもかかわらず、記事公開が目的化してしまうのは、以下のような原因があるからだと考えています。記事執筆という業務自体が大変で、公開することに達成感があるKPIやKGIをそもそも設定していない目的を定量的な目標にする方法を知らない定量的な目標を計測する方法を知らない定量的な目標は設定しているが、時間がなく放置してしまっているどれも非常によく分かりますが、記事を公開することが目的化してしまうとそれらの公開した記事がよかったのか、そもそもブログ記事の更新を始めていい効果があったのかなどが分かりません。最悪の場合は「良し悪しはわからないけど効果がなさそうだからやめる」という判断になってしまうことも考えられます。明確な判断材料がないままにこのような経営的判断をしてしまうのは非常にもったいないため、正しく成果の計測をしていく必要があります。自社ブログ(オウンドメディア)の運営で目標設定や成果計測する前に知っておきたいこと前項を読んで、目標設定の重要性についてはご理解いただけたと思います。ここでは、自社ブログの運営にあたって事前に知っておいて欲しいことを紹介していきます。ここで紹介する内容は自社ブログの運営に関わる方だけではなく、ブログ担当者の上司や経営層まで把握しておく必要があるため、この記事のこの項目をそのまま共有いただくと社内でのやり取りもスムーズになるかと思います。ぜひ、ご活用下さい。成果が出るまでには一定の期間がかかるまず、大前提として自社のブログ記事の影響で「資料請求数が増加する」などの成果がでるようになるには一定の期間がかかります。リスティング広告であれば、費用をかければある程度すぐに上位表示することが可能ですが、反対にブログからの集客は長期戦ですぐには上位表示されません。そのため、社内全体の認知としてうまくいけば数ヶ月程度〜1年程度で成果が出てくるものだと認識しておきましょう。逆に1年程度コンスタントに更新を続けていても、全く成果が出ていない状態(流入ユーザー数が横ばい、CVが増えていない)なのであればどこかでやり方を間違えている可能性があります。その場合は、すぐにやり方を見直す必要があります。成果に期間がかかるという認識がないと、1~2ヶ月程度で「成果が出ないのでやめよう」という判断になり、結果として時間とお金を無駄にすることになってしまいます。そのため、かならず社内全体、チーム全体で「成果が出るまでには一定の期間がかかる」と把握しておきましょう。関連記事:顧客の関心が高いブログを使って、新規の獲得顧客を増やしたWeb広告の改善事例(リノベーション事業関連)目標は柔軟に変更していい上述の話と関連しますが、資料請求数が増えたり、サイトへの訪問ユーザー数が増えるなどの効果が実感できるにはある程度の期間がかかります。そのため、目標は自社のフェーズによって柔軟に変更しましょう。具体的には後述しますが、以下のように期間で目標を分けていくのがいいと思います。(※この期間はあくまで目安です)開始初期〜5ヶ月6ヶ月〜開始初期はまだまだサイトの力が弱いため、まずは更新本数を目標とし、記事本数が増えてきたら「資料請求を◯件増やす」や「問い合わせを◯件増やす」などの本来の目的を実現するための目標を設定しましょう。それぞれの詳しい目標設定の仕方は次項から解説していきます。自社ブログの運営における具体的な目標設定の仕方ここからは自社ブログを運営していく上で、どんな目標を設定するといいのかを紹介していきます。数記事を公開だけではすぐに問い合わせは発生しないため、大体以下の期間を目安としながら目標を設定していきましょう。開始初期〜5ヶ月目6ヶ月目〜開始初期〜5ヶ月目開始初期はまず「記事制作本数」をKPIとするのがおすすめです。自社ブログの運営は継続することができずにやめてしまう企業も少なくありません。そのため、コンテンツマーケティングに関わるチーム全体で「成果に執着せず記事を継続的に更新していくこと」が大切です。記事を書くというのはかなり大変な業務になるため、社内メンバーが書く場合でも、外部のライターさんに依頼する場合でもまずは毎月公開する記事本数を達成できているのかを判断軸としましょう。また、検索エンジンから評価され、検索結果上で表示されるには以下の画像の流れをたどります。そもそも、サイトにクローラーが来ないことには、検索結果上でも表示されません。そのため、開始初期の段階では、サイトにクローラーがどの程度来ているのか(クローラーの巡回頻度)も合わせて目安として確認しておくのがおすすめです。記事制作本数とクローラーの巡回頻度については後述します。6ヶ月目〜記事更新が問題なく進んでいれば、このくらいの時期には一定の成果が実感できると思います。成果とは具体的には、以下のようなものです。オーガニック経由の流入ユーザー数の増加お問い合わせや資料請求などのCV数の増加そのため、このフェーズからは、「オーガニック経由のユーザー数」や「オーガニック経由のCV数」などの目標を設定し、計測していきましょう。計測する指標はそれぞれのサイトごとに適したものを設定しましょう。特にこだわりがなければ、ユーザー数がわかりやすくおすすめです。オーガニック経由のユーザー数やCV数の計測の方法については後述します。設定した目標の成果を計測する方法ここからは、上記で紹介した成果計測の方法について解説していきます。記事制作本数クローラーの巡回頻度ユーザー数CV数記事制作本数記事の制作本数は、社内で執筆する場合や社外のライターさんに依頼をする場合で異なりますが、実現可能な目標をざっくりと決めましょう。ここで重要なのは、「実現可能かどうか」です。実現が不可能な目標を設定してしまうと、続かない原因になってしまうため、社内リソースや社外ライターさんと相談しながら大体何本の記事公開が可能かを考えます。参考程度に弊社の場合は、毎月社内メンバー4人で約10記事の公開を目標としています。実際に1人あたり2〜3記事程度の記事執筆ですが、普段の業務も行いながらだとこのくらいがちょうどいい本数になるかと思います。またこれは体感的な話ですが、大体100記事程度を書くことで成果が実感できる印象があるため、それを何ヶ月で達成したいか、という点から月間の記事制作本数を逆算してもいいかもしれません。半年で100記事を執筆&公開するのであれば、月に約17本程度の更新が必要なので2,3名ではなかなか難しいと判断できます。まずは、前に進んでいるということをチーム全体で実感/共有するためにも具体的な記事本数を実現可能な本数でかならず設定しましょう。クローラーの巡回頻度クローラーの巡回頻度は、 Google Search Console(サーチコンソール)から簡単に確認することが可能です。サーチコンソールを導入していない場合は、すぐに導入してください。クローラーの巡回頻度の確認手順は以下の通りです。サーチコンソール上で「設定」を選択する「クロールの統計情報」を確認どこから確認ができるかを画像つきで解説していきます。サーチコンソール上で「設定」を選択するサーチコンソールを開き、該当するプロパティを選択した状態で、画面左下にある「設定」を選択します。「クロールの統計情報」を確認設定を開くと「クロール」という項目の中に「クロールの統計情報」があり、そのレポートを開くと以下のように過去90日間のクロールの巡回頻度が1日単位で確認できます。この頻度を1ヶ月に1回程度確認し、記事公開ペースに伴って順調にクローラーの巡回頻度が増加していれば問題ありません。目安としては、大体1日に100回程度クローラーが巡回しているのであれば、ある程度ページ内容を評価してもらえていると判断ができます。ただしこの数値はサイトによっても変わるため、あくまで目標値とし、中小企業〜中堅企業などのサイトであれば細かく追わずに参考程度に軽く目を通しておくだけでいいでしょう。オーガニック経由のユーザー数・CV数オーガニック経由のユーザー数とCV数の計測方法は、Googleが提供している無償の計測ツールであるGoogle Analytics(Google アナリティクス)を使用するのがおすすめです。Google Analyticsでは、以下の手順でオーガニック経由のユーザー数を確認できます。「集客」→「すべてのトラフィック」→「チャネル」を選択Default Channel Groupingで「organic」を選択する各数値を確認するそれぞれ実際の画面で解説していきます。「集客」→「すべてのトラフィック」→「チャネル」を選択Default Channel Groupingの「organic search」を選択する計測期間を変更することで、ブログ記事を公開し始めてから今日までの流入ユーザー数の推移やCV数の推移などが確認できます。関連記事:Googleアナリティクスの導入方法とやっておきたい初期設定。初めての方がつまずかないように、画像付きで解説します。実際の目標設定例ここからは、実際に目標設定をして、計測するまでの例をご紹介します。初期の段階は、記事の制作本数を達成できているか確認していくため、ここでは説明を割愛します。ここでは、「1年後の同月の資料請求数2倍」という目標を設定した場合の成果計測について解説していきます。この目標値は、自社のフェーズに合わせて決めてください。目標設定の際に注意することは、売り上げやリードと直接関係のない数値を目標としないことです。たとえば、「ユーザー数を2倍にする」だと、直接的には売り上げにつながらない可能性が高いです。そのため、以下のような目標を設定しましょう。資料請求数が〇〇倍(〇〇%増加)問い合わせ件数が〇〇倍(〇〇%増加)電話件数が〇〇倍(〇〇%増加)前提条件まずサイト全体の目標値と実績値を以下のように定義します。その他の要素はここでは考えません。実績値から逆算して目標のユーザー数・CV数を計算する方法ここからは、実際に目標値を算出していきます。1年後の同月の資料請求数の目標は200件です。コンバージョン率は現状1.0%ですが、記事数が増えるにつれて情報収集をしているユーザーも集める可能性があるため、資料請求する人の割合(コンバージョン率)は落ちることが予想されます。そのため仮でコンバージョン率を0.5%と設定すると、以下の図の計算が成り立ちます。このことから1年後の同月のユーザー数は40,000人になっている必要があるとわかります。まとめると1年後には、以下の数値を達成することで目標の資料請求数200件を達成できそうです。1年後の目標値から各月の目標値を設定する前項で、1年後の目標値は決定しました。ただし、1年後の目標に向けてどのくらいのペースでユーザー数を増やしていくといいのかが設定されていない状態だと、現実味のない目標値になってしまいます。そのため、ここからは各月の目標値を設定していきます。具体的には、以下のグラフのように月別に目標値を設定し、その目標の達成に向けてどのようにユーザー数を増やしていけば、1年後に40,000ユーザーを達成できるのかを考えます。この数値を設定することで、毎月チーム内で「前月の数値はどうだったのか」「今月の数値は目標に対してどうなのか」という進捗確認ができるためかならず各月の目標値を設定しましょう。上記グラフの初期の段階では、前月比が1.11倍(10,000→11,100)と増加していますが、記事数が増えていくにつれて増加率も増えていくと仮定し、最終的には前月比1.14倍(35,398→40,354)まで増加しています。増加率については、予測しにくい範囲ですので最初にざっくりと数値を決め、大きく乖離があるようであれば後から修正をしていきましょう。ユーザー数の目標値に毎月のコンバージョン率をかけた数値が資料請求数となります。それらを踏まえると以下のようなグラフになります。※毎月のコンバージョン率は1年後には0.5%と仮定していますが、ある時急に0.5%になるわけではなく1年間で0.9%、0.8%・・・0.5%と徐々に減衰するとします。初月は10,000ユーザーに対して、コンバージョン率が1.0%のため100件の資料請求が発生していますが、徐々にコンバージョン率が減衰し最終的には、40,354ユーザーに対して0.5%のコンバージョン率をかけた202件の資料請求数となっています。この数値を毎月達成することができれば、1年後には「資料請求数が2倍」という目標を達成できそうです。まとめここまで、自社のブログ記事運営における目標値設定の必要性や目標値の具体的な設定方法について解説してきました。目標値を設定しなければ、チーム全体や社内全体が何に向かって頑張ればいいかがわかりません。また、そうなると成果という概念そのものがなくなってしまいます。成果を追うことができなければチーム内で成果に向き合うこともなくなるため、いい結果が出ることはありません。上記のようになってしまわないためにも、この記事内で紹介した方法をもとにブログ記事の目標値を設定してみてください。関連記事:顧客目線のブログとSEO対策で、7.7倍のリードを獲得できるまで伸びた医療ブログの改善事例