インタビュー記事は、集客であればお客様インタビューで「顧客の声」を見込み顧客に伝えることが、採用であれば社員インタビューで「社員の声」を求職者に伝えることができます。本記事を見つけてくださった方の多くは、集客や採用のためにインタビュー記事を掲載したいと考えている方のはずです。インタビュー記事を作るための、準備やヒアリング、執筆にはコツがあるので、あらかじめポイントをまとめました。インタビュー記事とは?インタビュー記事とは、企業や人物、商品・サービスを利用したお客などにインタビューをして内容をまとめた記事です。弊社でもお客様インタビューと従業員インタビューを公開していますが、いずれのインタビュー記事も「人の声」にフォーカスを当てたものであるため、読者に強い印象を与えることができます。対話型にまとめると読みやすく、話し手のパーソナリティを伝えることも可能です。インタビュー記事の4つの役割インタビュー記事の役割は、大きくまとめると以下の4つに分かれていると私たちは考えます。見込み顧客の「不安の解消」サービスや組織を「具体的にイメージさせる効果」稟議を通すための「説明資料」「人材の獲得」への貢献見込み顧客の不安を解消して信頼につなげることができるのは、インタビュー記事を作る大きなメリットです。具体的な事例で語られた記事は、実際に商品やサービスを導入した時のイメージを湧きやすくしてくれます。さらに「採用」でも、インタビュー記事は大いに役立ちます。社長や社員が思いを語った記事を掲載することで、企業の雰囲気や文化が伝わり、読者が転職先として検討する材料になります。関連記事:あらかじめ知っておきたい、インタビュー記事の「4つの役割」インタビュー記事の書き方とコツインタビュー記事を作成する際には、やるべきことがたくさんあります。インタビュー当日はもちろん、事前準備やインタビュー後の作業も抜かりなく行わなければいけません。なんせ執筆者ひとりで書ける記事ではないですから、相手のスケジュールや気持ちに配慮する必要や、事前の予習、執筆後のチェックなどは必須です。事前準備でやるべき5つのステップ事前準備でやるべきことは、以下の5点です。ゴールとターゲットの設定事前質問の作成構成づくり下調べインタビュイー(取材相手)に記事の趣旨を伝えるステップ1. ゴールとターゲットの設定インタビュー記事を作成するためのファーストステップは、その記事が達成すべきゴール(目的)とターゲットの設定をすることです。「誰」のための記事なのか?「読み手」の感情がどう変化し、どんな行動を取ってほしいのか?これを決めることで、目的に沿ったインタビューとなり、記事の方向性がぶれなくなります。ステップ2. 事前質問の作成ゴールを達成するために、どのような質問に対する回答があれば、読者の悩みや不安が解決できるか洗い出しましょう。また、ターゲットにとって最も心が動く情報とは何か仮説を立て、メインの質問とすると良いでしょう。用意した質問を順番に回答してもらうだけでは、ありきたりな記事になってしまうことが多く、読み手の心に響く記事になりません。インタビューは深掘りが命です。質問を事前に用意しておくことは大切ですが、話の流れを読んでインタビュイーの思考や気持ちを深ぼることを忘れないようにしましょう。また、事前に準備するものとして「ボイスレコーダー」があります。インタビューの記録を取るためにボイスレコーダーを使用しますが、録音に失敗してしまったというトラブルもありえます。そんな事態を避けるために、録音機器は複数用意しておきましょう。弊社の場合、スマートフォンのボイスレコーダー(できれば複数個)と、Zoomで録画するようにしています。ステップ3. 構成づくり事前に大まかな記事構成を決めておきましょう。インタビューをする際、構成の順に質問をしていくと、執筆の効率が上がります。ステップ4. 下調べインタビュイーについて下調べをしておきましょう。過去にやり取りのある方であれば簡単な下調べで済みますが、初めてお会いする方や詳しく知らない方へのインタビューの際は、必ず下調べをしましょう。下調べなくインタビューを始めてしまうと、表面的な質問ばかり(結果つまらない記事)になってしまいます。たとえば初めてお会いする経営者の方へ、創業秘話をインタビューするとしたら、事前に事業内容、経理理念やビジョン、創業の経緯、ブログ・SNS・著書・記事、同業他社の創業秘話などを細かくチェックしておきましょう。すでにその他の記事や書籍で公開されている内容と、今回のインタビュー内容が被らないことも重要です。事前に下調べを行い、相手への理解を深めると同時に、ユニーク(唯一の)なインタビュー記事となるように準備を行いましょう。ステップ5. インタビュイーに記事の趣旨を伝えるインタビュー前に、取材相手に記事のゴールと大まかな質問内容を伝えておきましょう。質問内容について、事前に全てを伝える必要はありません。インタビューはあくまで会話がメインとなるためです。事前に伝える質問が多すぎると、一問一答の単調なものになりやすいので注意してください。インタビューで大切な4つのポイントさて、インタビュー当日です。スムーズなインタビューには慣れも必要ですが、次の4つだけ覚えておけば大きな失敗はないでしょう。インタビューをする際に大切な4つのポイントについて解説します。アイスブレイクゴールの共有会話メモ取りポイント1. アイスブレイク「アイスブレイク」とは、その場にいる人の緊張をほぐすためのコミュニケーション方法です。一般的には会議で使われる手法で、簡単なゲームや自己紹介を行いますが、インタビューの前に行う場合は「気軽な会話をする」という感覚でOK。相手の心を開き、リラックスしてインタビューに臨んでもらうための準備運動といったイメージです。話す内容に決まりはありませんが、相手のSNS投稿で知った情報、時事ネタ、共通の話題など、会話が弾む内容が良いです。あまり時間をかけすぎず、5〜10分程で終わらせるようにしましょう。この時間で、大きく相づちを打ったり、ややオーバー気味のリアクションを取ったりすることも良いですし、「あなたの話はおもしろいですよ」というこちらの意志を伝えることも効果があります。もちろんわざとらしい演出をする必要はありませんが、相手の話を真剣に聞く姿勢があれば、場は温まるはずです。ポイント2. ゴールの共有インタビューの本題に入る前に、今回行うインタビューのゴール(目的)について改めて伝えることで目的意識を共有しましょう。そうすることで、話が脱線しづらくなります。ポイント3. 会話インタビュー記事作成のプロセスの中で最も大切なのは、インタビューを一問一答ではなく「会話」で行うことです。事前に用意した質問の答えを聞くだけではなく、会話の中に「読者が気になるであろうポイント」を見つけて深掘りしていくことで、密度が濃いインタビューとなります。また「具体的に聞く」こともポイントです。簡単な例ですがたとえば、お客さまインタビューで「サービスを導入したことで売上が伸びた」という話があったら、「売上は何割アップしたのか?」「サービスのどの内容が最も効果があったのか?」「エンドユーザーからの感想は?」など具体的な数字やエピソードを聞いていきましょう。具体的な話をインタビュー記事中に書くことで、臨場感を高めることができます。また、すぐに回答できるような話題は序盤に、考えて話す必要がある話題は後半にするのがセオリーです。なぜなら序盤は話すのに慣れておらず、上手く言葉が出てこないからです。インタビューが進むうちに場が温まり、スルスルと言葉が出てきやすくなります。その際のインタビュアーの聞く姿勢は、とても重要です。相手が安心して話せるように、相づちを打ったり、リアクションを大きくしたりすることも意識してみてください。また、注意点があります。インタビューの主役はインタビュイーです。インタビュー中にインタビュアーが自分語りをすると、途端に趣旨が変わってしまいます。あまり主張しすぎないようにしましょう。ただし、インタビュアーが話すことで会話が良い方向に進むケースもあります。それは、相手が言葉に詰まった時に「私はこう思うのですが、どうですか?」と仮説を立てて、意見を聞いてみる方法です。その言葉を呼び水にすることで、相手は語りたい言葉を見つけやすくなります。インタビュアーは場の空気を読みながら、会話を舵取りするようなイメージで進行を進めることが大切です。ポイント4. メモ取りメモ取りのやり方に正解はありません。ノートでもパソコンでも自分のやりやすい方法を見つけると良いでしょう。メモを取る量ですが、最も”効率が良い”のは、相手が話している内容の大方をメモすることです。そうすることで、インタビュー音源を聞いてから執筆に入るまでの時間が短縮できます。ですが、デメリットとしてメモに集中しすぎたり、インタビュイーの表情を見落とす可能性が高くなるため、私個人はインタビュー時にほぼメモを取りません。メモはほとんど取らず、インタビュー時の会話に集中し、後からインタビュー音源を聞いて内容を再確認するという方法を取っています。自分のやりやすい方法を見つけてみてください。インタビュー後の3つのステップインタビューを終えたら、いよいよ記事執筆に入りましょう。文字起こし再構成・ライティング・編集校正・校閲こちらについて解説します。ステップ1. 文字起こしメモが十分に取れていれば、インタビュー音源の文字起こしは必ずしも必要ではありません。インタビュー音源や撮影動画を確認し、大まかに全体の流れや話のポイントを文字にしておきましょう。事細かに最初から文字にするのではなく、まずは全体像の把握ができる程度にインタビューをテキストに起こしましょう。また、自動文字起こしアプリを活用することで、大幅に時間の短縮が可能です。無料アプリもありますが、音源時間や機能が制限されるので、インタビュー記事を多数手がける場合は有料サービスの検討をしても良いかもしれません。本記事執筆時の、おすすめの自動文字起こしツールはこちらです。参照:自動文字起こしツール「Notta」ステップ2. 再構成・ライティング・編集文字起こしの内容をもとに、インタビュー記事の「構成」を考えましょう。この構成次第で、インタビュー記事が良いものにもイマイチなものにもなるため、慎重に考える必要があります。事前準備で大まかな構成を考えておくと上述しましたが、インタビューの内容次第で変更があるかもしれないため、このタイミングで見直し、再構成をしましょう。ライティングの際は、インタビュイーの話し言葉をそのまま書くのはNG。話し言葉を文字にすると、どうしても冗長になりやすいです。意味を踏まえたうえで必要に応じて言い回しを変える必要があります。その際、話し手の真意をねじ曲げないように注意してください。さらに、話された内容を文字化するだけでなく、読者に何を伝えたいのか目的を明確にして「編集」してください。インタビュー内容に意味づけを行い、読者に伝わりやすいように編集して記事化するのがライター担当者の役割であり、腕の見せ所です。編集の最後に、サムネイル画像の登録、本文中の画像・挿絵の挿入、文字の装飾(ハイライト、太字、引用など)などを行いましょう。テキストばかりの記事は慣れてない人には読みづらいものです。装飾を行い、読みやすい記事、読み手に優しい記事を心がけましょう。ステップ3. 校正・校閲インタビュー記事がほぼ完成したら、校正(表記の誤りを正すこと)・校閲(内容の誤りを正すこと)を行いましょう。社内で記事を作成する場合は、執筆担当者以外の人がチェックすることをおすすめします。この際に、確認すべきチェック項目はこちらです。表記ゆれはないか?スペル間違いはないか?誤字脱字はないか?正式名称か?根拠を記載しているか?差別用語はないか?著作権に違反していないか?「表記ゆれ」とは、たとえば「売上」と「売り上げ」など記事内で表記が統一されていない状態です。表記を統一させるようにしましょう。「根拠の記載」とは、たとえば「世界初の〇〇」「売上ナンバー1」などと記載する際、その根拠も記載(または調査データを所持)する必要があります。表現の仕方によっては問題とならないケースもありますが、絶対的な表現については注意が必要です。ここまで問題なければインタビュイーにチェックをもらい(執筆中に適宜チェックしてもらっても良い)、記事を公開しましょう。公開した記事は、できれば多くの方に読んでもらいたいですよね?そんな時にできる8つの方法をまとめていますので、こちらもご覧ください。関連記事:記事は公開して終わりじゃない。記事をユーザーに届けるためにできる8つの方法まとめインタビュー記事を作成する際には、多くのポイントがあります。すべてが重要ではありますが、特に大切なのが「記事のゴールを明確にすること」と「インタビューでは会話をすること」です。インタビュー記事の役割を理解し、インタビュイーの良さを引き出せるような会話を心がけましょう。本記事を参考に、ぜひインタビュー記事作成にチャレンジしてみてください。