「リードの質が上がらない」「リードの質が悪いから、商談に繋がらない」「リードの質が上がるような施策を考えてほしい」マーケティングに携わる人はこのような悩みを1度は聞いたことがあるのではないでしょうか?このとき「リードの質を上げる方法か...」とすぐに手段を考えたり、リードの分析を行ってしまうケースが良くあります。ところで「リードの質」とは何でしょうか?リードの質という言葉に定義はなく、良し悪しの線引きもありません。しかし現場ではこの「質」という言葉が多く使われています。なんとなく、内容のこと?獲得率?リード数の話?、、、ん?具体的に言うとなんだろう?といった、ボンヤリとした解釈で使われがちな言葉です。今回は、「リードの質」という曖昧な言葉を具体的に捉える方法や、その対策について解説します。「リードの質」とは何か?冒頭でもお話したように「リードの質」という言葉は存在せず、定義もありません。まずは「質」の要素を分解してみたいと思います。マーケティングにおけるリードとは、商品・サービスに興味を示し購入してくれる可能性がある見込み客です。一方「質」という言葉の意味は広く、その言葉単体で意味を表すのが難しい。少し大雑把にいうと「そのものの中身」「良否を決める性質」といった意味になります。つまり「リードの質」を直訳すると”見込み客となりえる人達の中身”という言葉に言い換えられます。なんとなくイメージはできますが、これでも抽象度が高いため、人によって良し悪しを判断する基準がバラけてしまいそうですよね。リードの質という言葉を使い続けるのは危険?上述の通り「リードの質」といった表現は人によって解釈が異なり、定義が曖昧な場合が多いです。マーケティング活動の中で、「リードの質」といった言葉が飛び交っている場合は、少し立ち止まってみた方が良いかもしれません。たとえば、上司Aが「これだけリードが入っているのに、売上が上がらないのはリードの質が悪いからだ」「リードの質を改善する施策を講じてほしい」という指示を下したとします。部下Bはその課題を改善するために、いくつかの施策を講じたところ”ターゲットととしている性別・年齢からのリード獲得”ができるようになりました。しかし上司Aは「そういうことじゃない!購入する意欲が高い顧客のリードを獲得してほしいんだよ」と言いました。この一連の流れ、マーケティングの現場ではよく見ますよね。弊社のクライアントの支援初期にもこのようなやり取りをよく見ていました。これらの問題は、リードの質という言葉が定義されておらず、指示する側と実行側における「質」の解釈に違いが起こっています。定義しないまま施策を進めても、目的と施策のズレが一向に縮まらず大きな機会損失へと繋がります。「リードの質」を分解をしよう「質」という言葉を定義するにあたって、まずは質の分解をしてみましょう。質とは何を指しているのか?どういう状況のことなのか?など、曖昧になっている部分を分解して考えます。私の経験では、マーケティングの現場で使われる「リードの質」は以下の3つの、いずれかの問題に分解できます。ターゲットではないリード商品と課題の相性が悪いリードタイミングが違うリード1. ターゲットではないリードターゲットとしている顧客以外からのリードを指している可能性があります。「質が悪いリード」=「ターゲットじゃない方からのリード」という意味で「質」という言葉を使っているパターンですね。マーケティング施策開始前にターゲットを明確にしておくべきですが、曖昧なまま施策がスタートするとこのようなことが起こり得ます。性別、年齢、職業などのデモグラフィック上の話の場合もあれば、価値観や性格やライフスタイルなどのサイコグラフィック上のターゲティングの話の場合もあります。いずれにしてもマーケティングに関わる人員が共通のペルソナやターゲットを描けていないと起こるズレです。2. 商品と課題の相性が悪いリード「自社の商品」と「顧客の課題」の相性が悪いリードを指している可能性があります。「質が悪いリード」=「自社の商品じゃ解決できない課題を持つ方からのリード」という意味で「質」という言葉を使っているパターンです。顧客に商品が解決できる課題が伝わっていないことから起こる課題になるため、自社でどんなことができるのか?何を解決するための商品なのか、を適切に顧客に伝えるための努力が必要です。3. タイミングが違うリード受注確度が高まっておらず、すぐに受注できないリードのことを「リードの質が悪い」と表現している可能性があります。顧客の購入意欲が低い段階で顧客と接点を持ったとしても、リード獲得から成約までの時間は長くなります(「成約率が低くなる」とも表現できる)。逆に、顧客が商品を購入することを決めている状態で接点を持てば、リード獲得から成約までの時間は短縮されますし、成約率は高く見えるでしょう。特にリードに対して営業をする際は、すぐに受注できた方が色々な意味で楽です。しかし、検討を始めたばかりの方からのリードに対応する場合、受注まで時間がかかってしまいます。そういった場合に営業サイドから「リードの質を上げてほしい」という要望が入ることが多いです。当然、マーケティング施策で顧客の購買意欲を高い状態まで持っていくには労力がかかります。逆に営業担当者のスキルが高ければ、ある程度購買意欲が低くても、受注までつなげることができるでしょう。マーケティングチームと営業チームがお互いのスキルや状況を理解し合い、どのタイミングでマーケティングチームから営業チームにリードをパスすればいいのかを事前に擦り合わせておくことが大切です。上記に当てはまらない場合上記の3パターンに当てはまらない場合は、レアケースかもしれませんが一応以下の2パターンも疑ってみるのがいいでしょう。パターン1. データが少なすぎるたとえばマーケティング活動の初期でよくありますが、目標月間リード数100件のビジネスで、最初に獲得した1~2件のリードを見ただけで「リードの質が悪い」と認定するパターンです。”たまたま”の場合も大いにありますので、ある程度のリード数を見た上で判断すべきでしょう。パターン2. 営業スキルに問題がある営業スキルの問題で受注できない際に、マーケティングチームが作る「リードの質」が悪いとされるパターンもあります。上述の通り、ターゲットの定義、商品との相性の定義、リードをパスするタイミングを事前に決めておくことで、マーケティングチームと営業チームのどちらに課題があるのかをはっきりさせることができます。それぞれの問題を改善しよう「リードの質」を分解できたら、それぞれの課題を改善しましょう。「ターゲットではないリード」の改善この時の原因は「ターゲットの認識がずれている」か「ターゲット以外に向けた施策を行なっている」のいずれかです。ターゲットの認識がずれている場合は、まずはペルソナの設計、ニーズの洗い出し、ニーズの分類(セグメント)、セグメントのどこを狙うか(ターゲティング)を明確にしましょう。また、ビジネスにつながるターゲットを見つけれていても、そこに対する施策を外してしまっているパターンがあります。簡単に例えますが、50代前半の時計好きな男性といったターゲットを狙っている時に、バナー広告で訴求したいのに、広告管理画面上の設定を間違えて「女性」にしてしまっていた!といった設定ミスでターゲットを外している場合や、バナー画像を20代向けの男性に好まれるような画像にしてしまっている場合です。「ターゲットではないリード」を改善したい場合は、「ターゲットの確認」と「施策の確認」を真っ先にすべきでしょう。参照:「ペルソナ」とは?概要と作るメリット、作成方法まで解説(ペルソナ作成シート付き)「商品と課題の相性が悪いリード」の改善自社の商品が顧客のどの課題に向けたものなのか、「誰の何を解決するものか?」などを発信し続けましょう。注文住宅のハウスメーカーのマーケティング担当者が自社のHPで「注文住宅の会社です!」と記載しなければ、顧客から「建売住宅のご相談をしたいんですが」と言われても仕方ありません。だって顧客は、そのハウスメーカーが「注文住宅の会社」とわかる術がないですから。こんな大きな話でなくとも「私たちは◯◯という悩みの解決が得意です!」「△△な企業の、△△を、△△で解決します!」といった形で、自分達は「誰の、何を、解決できる会社なのか」をあの手この手で具体的に顧客に伝えましょう。顧客が「あ、この会社の商品は絶対にうちの課題を解決してくれるぞ!」という状態になれば、商品と課題の相性が悪いリードが入ることは無くなるはずです。「タイミングが違うリード」の改善リード獲得のタイミングを改善したい場合は、まずカスタマージャーニーマップ(※)を作成しましょう。そして、顧客が今どの課題を抱えていて、どんな気持ちでお問い合わせをしてくれているのか?に目を向けましょう。※カスタマージャーニーマップ...商品を認知してから購入に至るまでのプロセス毎に「行動」や「感情」など可視化するフレームワーク。「よくわからないけど、なんとなく良さそうだったからお問い合わせをしてみました」という方と、「HPを隅々まで読み込んで、絶対に自社の課題解決につながる商品だと確認したので、お問い合わせをしました」という方は、当然カスタマージャーニーマップの中でもフェーズが異なります。後者のタイミングでのお客様を増やすために、たとえば以下のような施策を行うことができます。サービスを事前に説明するセミナーを開催して参加してもらう資料請求を行えるようにして、より詳しくサービスを知ってもらう他社と比較しやすいような比較表を掲載するお問い合わせ前に「フォーム送信前に、必ずこちらを読んでください」とサービスの注意点をまとめたページを表示するこうすることで、お客様の中で自社の課題解決につながるサービスだと確信がある状態(カスタマージャーニーが進んでいる状態)にすることが可能になります。まとめ改めて、マーケティングの現場で使われる「リードの質」は以下の3つの、いずれかの問題に分解できます。ターゲットではないリード商品と課題の相性が悪いリードタイミングが違うリード「リードの質」といった表現は人によって解釈が異なるため、マーケティング活動の中で「リードの質」といった言葉が飛び交っている場合は、少し立ち止まって上記のどれに当てはまるのか考えてみるのがいいでしょう。どの原因があるのかが分かれば、改善方法がわかり、マーケティングもよりうまくいくはずです。