マーケティング活動を進めるにあたって、有益な市場調査データは常にキャッチアップしておきたいものです。知っていることで未然に防げたリスクがあるかもしれないですし、知っていたことで事業がうまくトレンドに乗るかもしれません。市場(マーケット)について日頃から情報を仕入れておくことは、マーケティング従事者にとって非常に大切な習慣です。当記事では、クライアントへの企画提案やマーケティング戦略考案に役立つサイトを紹介しています。基本的にすべて無料で利用できますが、一部有料会員のみ閲覧できる情報もありますので、詳細は各サイトで確認してみてください。総務省統計局参照:総務省統計局官公庁が発信しているデータは信ぴょう性が高く、企業や自治体など、幅広い組織に活用されています。そのなかのひとつである総務省統計局は、国勢調査をはじめ、国の基本的な統計の作成を担当している統計局が運営しているサイトです。代表的な統計データとしては、以下の分野をこちらのページから確認できます。人口・世帯に関する統計住宅・土地に関する統計家計に関する統計物価に関する統計労働に関する統計文化・科学技術に関する統計企業活動・経済に関する統計経済構造・波及効果分析や各種経済統計の基準値となる統計経済・金融に関する統計(IMF 公表基準掲示板)地域に関する総合統計総合統計書等私たちの生活に密着している情報はおおむね統計局のサイトから検索可能です。公表スケジュールも公開されていて、最新のデータを閲覧できる日付を確認できます。50音順に検索できる利便性もメリットのひとつで、それらをExcelで細かい数字まで抽出できるため、グラフ作成時に活用しやすいサイトです。e-Stat参照:e-Stat 政府統計の総合窓口政府統計の調査結果を検索できる総合窓口「e-Stat」。日本国内の情報だけではなく、世界各国の人口や国土、産業のデータを検索できるため、幅広い調査結果を知ることができます。官公庁のデータから検索できたり、17の分野から自分が知りたいデータを見つけることができる点も特徴です。調査データはグラフや図でわかりやすく表示されていて、CSVでも簡単に抽出できます。17の分野は以下の通りです。国土・気象人口・世帯労働・賃金農林水産業鉱工業商業・サービス業企業・家計・経済住宅・土地・建設エネルギー・水運輸・観光情報通信・科学技術教育・文化・スポーツ・生活行財政司法・安全・環境社会保障・衛生国際その他また、e-Statでは統計を学ぶための学習サイト「なるほど統計学園」を紹介しています。このサイトは統計を気軽に学べる構成となっており、統計をこれから初めて勉強する方におすすめです。統計ができるまでの流れや、データの探し方・作り方を簡単に知りたい方には、事前にこちらを見ておくといいでしょう。帝国データバンク参照:帝国データバンク帝国データバンクは企業リサーチを専門とする、日本国内最大手の信用調査会社です。データベースには、調査員が現地に足を運んで入手した企業財務データと企業概要データが蓄積されています。企業財務データは月に2回。その他のデータに関しても月または年に1回更新されているため、比較的新しい情報が手に入りやすいサイトです。業界ごと、地域ごとの企業情報や倒産情報も掲載されていることから、営業活動にも重宝します。有料登録しなければ確認できない情報も少なくありませんが、無料で閲覧できる情報もあるため、一見の価値があります。消費者動向 - 内閣府参照:消費者動向 - 内閣府内閣府の政策により、毎月調査員が消費者の暮らし向きに関する考え方や物価の見通しなどを調査しています。この結果がまとめられているのが、内閣府の消費者動向調査ページです。この調査で、今後の暮らし向きの見通しなどについての消費者の意識や、主要耐久消費財等の保有状況を把握することにより、景気動向判断の基礎資料を得ることを目的としています。そして、こちらに掲載されているデータをもとに、内閣府は景気動向や経済政策の企画・立案を行っています。RESAS参照:RESAS経産省と内閣府が提供している地域経済分析システムのRESAS(リーサス)。マップや図表でデータを閲覧できるためとにかく見やすく、ざっと状況を確認したいときに適しています。反対に数字を細かく調べたいときにはやや不向き。総務省統計局のサイトと合わせて活用すると良いでしょう。データ分析支援機能が利用可能で、地方公共団体単位のデータはExcelでダウンロードできます。主なマップは以下の9つです。産業構造マップ地域経済循環マップ企業活動マップ観光マップ人口マップ消費マップまちづくりマップ医療・福祉マップ地方財政マップ経済産業省 - 経済解析室参照:経済産業省 - 経済解析室鉱工業指数や第3次産業活動指数などを公表しているサイトです。最新のニュースもリリースされているため、各業界の動向をいち早く知ることができます。「ミニ経済分析」(※1)のページでは飲食、グローバル出荷、小売などに関する調査結果を、わかりやすく説明していてます。サービス業や製造業に関する経済動向をざっと把握したい時に役立ちます。※1. ミニ経済分析...経済・産業動向につき、経済解析室が各種指標を用いて短編的にまとめた分析を紹介しているもの生活定点参照:生活定点大手広告代理店の博報堂のシンクタンクである「博報堂生活総合研究所」が、2年に1回行っている定点調査の結果をまとめたサイトです。1992年に開始されてから2022年に至るまで、約30年間分のデータが詰まっています。生活気流や衣食住、恋愛・結婚、消費・お金など、私たちの生活に関連するデータが一目でわかる、見やすいデザインが特徴。また、「グラフの形」から調査データを探せるところが個性的です。「ここ2年で最も上昇したデータは?」「V字型に推移したデータは?」といった視点からデータを探すことが可能です。日本の広告費参照:日本の広告費 - 電通「日本の広告費」では、日本国内で1年間に使われた広告費(広告媒体料と広告制作費)の統計が公開されています。1947年に始まって以来、毎年電通が発表しているもので、サイトからはグラフと詳細な数字を無料で確認できます。新聞・雑誌・テレビ・ラジオなど、あらゆる媒体の広告費とGDPの関連性が一目でわかるところがポイント。タグから広告情報を無料で検索できるため、知りたい情報をピンポイントでピックアップできます。リクルート調査データ参照:リクルート調査データ飲食やブライダル、住まいや雇用など、幅広い事業を展開しているリクルート。そんなリクルートが運営する「リクルート調査データ」サイトでは、以下のカテゴリの調査データを発表しています。雇用住まいマリッジ&ファミリー自動車進路・学習旅行飲食美容業務・経営支援新規事業・R&D企業情報・サステナビリティ1999年から今に至るまで、すべてのデータを月別に閲覧可能です。サービス業を展開している企業であれば、知っておいて損はありません。三菱UFJリサーチ&コンサルティング参照:三菱UFJリサーチ&コンサルティング三菱UFJリサーチ&コンサルティングは、三菱UFJフィナンシャル・グループに属するシンクタンク。サイト上にはエコノミストによる、マクロ経済の定点観測や分析レポートがまとまっています。日本や海外経済の見通し、経済指標の予測と結果、景気景況などを詳細に知ることが可能。更新頻度が高く、最新の情報が手に入るところもポイントです。大和総研 - レポート・コラム参照:大和総研 - レポート・コラムシンクタンクとして幅広い情報発信を行っている大和総研。サイト内では国内外のリサーチやコンサルティング部門のレポートを検索できます。大和総研の研究員がまとめたレポートのジャンルは主に以下の5つです。経済分析金融資本市場分析政策分析法律・制度入門コーナー調査データというよりもレポートがまとめられている印象が強いサイトで、数字よりもテキストデータを探している方に適しています。東京商工リサーチ参照:東京商工リサーチ国内でも有数の信用調査会社である「東京商工リサーチ」。サイト内にて世界で最大4億件を超える国内・海外の企業情報を提供しています。TSRサービス会員になることで、オンライン企業情報や全世界ビジネス情報サービスの検索が可能となります。当サイトは取引開始前の与信調査などにも利用されることが多いですね。マクロミルのモニタサイト参照:マクロミルのモニタサイトリサーチ会社であるマクロミルが運営しているサイトです。インターネットを中心に年間3万件以上の調査を行っていて、サイト内ではユニークなアンケート結果を見つけられます。特に「○○人に聞いてみた」ページがとても面白く、マーケティング施策を考案する中で「こんなアンケート調査のデータがあったらな...」といった調査結果が見つかることもしばしば。無料で大規模なアンケート調査結果を知ることができるので、非常に助かることが多いです。社会実情データ図鑑参照:社会実情データ図鑑統計データ分析家、統計探偵である本川裕氏が、さまざまな分野の実情データをまとめているサイトです。無料でデータを閲覧することができますが、寄付をすることでサイトの応援ができます。情報を検索しやすいところが当サイトの魅力。グラフと簡潔な説明でデータのポイントが一目でわかります。扱っている分野は以下の通りです。食品・農林水産業開発援助人口・高齢化健康生活社会問題・社会保障労働教育・文化・スポーツエネルギー環境・災害経済・GDP物価貿易金融財政行政産業・サービス科学技術IT運輸交通観光地域(国内・海外)ビズグラム参照:ビズグラム「一般社団法人図解総研」が運営しているビズグラムのサイトでは、企業のビジネスモデルが図解で紹介されています。シンプルな図解で「モノ」「カネ」「情報」の流れがとても見やすくなっています。ビジネスモデルそれぞれにおいて、何(誰)がどう関係しているのか?を視覚的に掴むのに適したサイトです。自社やクライアントの競合や、参考にしたい企業の分析をする際にとても参考になるでしょう。Googleトレンド参照:Googleトレンド世界中のトレンドを知ることができる「Googleトレンド」。世界最大級の検索エンジンであるGoogleが提供しているサービスで信頼性は抜群です。話題のトピックや、検索キーワードの検索ボリュームを知ることができます。トレンドにも敏感になり、時代に即したアイデアやプランを練る際に役立つでしょう。バフェット・コード参照:バフェット・コード「バフェット・コード」は、ワンストップで効率的な企業分析ができる無料のツールです。日米の上場企業の財務やファンダメンタル分析を効率的に行いたい時に最適でしょう。日米銘柄スクリーニング機能では、財務数値や株価指標などの条件を指定することで条件に合致した銘柄がピックアップされます。上場企業の財務状況を調べたいときには必須のツールです。ワンストップで効率的な企業分析ができるバフェット・コードは無料で使用でき、美麗なグラフが大きな特徴とされています。知るギャラリー参照:知るギャラリー国内大手のマーケティングリサーチ会社である株式会社インテージが運営している「知るギャラリー」。「生活者の意識や行動の最新実態」や「データを上手に活用する方法」など、マーケティング活動を行う際に知っておきたい情報が充実しています。トレンドネタがとにかく豊富で、世の中の流れを掴みたい方は必見のサイト。調査レポートは無料で、ダウンロード可能です。データを活用する際の注意点調査したい内容に合わせてサイトを使い分ける方が多いかと思いますが、調査方法はメディアやテーマごとに異なるものです。データの数字だけではなく、調査方法や母数についても必ず確認するようにしましょう。また、調査時期の確認も重要です。古すぎるデータは参考にならないこともあります。逆に新しいデータであるものの、ここ数年のように平常時ではないトレンドとなっている場合は参考になるデータにはならないかもしれません。必ず調査時期を確認し、その期間に世の中がどのような状況だったのかも確認するようにしたいですね。まとめ情報が溢れている現代だからこそ、信頼性の高い統計資料サイトのデータを活用して、マーケティングや営業活動に役立てたいものです。今回紹介したサイトは、いずれも官公庁や大手企業が綿密に調査を重ねたうえでデータを公開しています。しかし、すべてのデータを”100%正しいもの”と鵜呑みにせず、参考程度にし、データをさまざまな角度から見る習慣こそがマーケティング戦略を描く上で大切な姿勢と私たちは考えています。企業の状況に合わせて、うまくデータを活かしたマーケティング活動が増えることを願っています。