ランディングページ(以下、LP)を使わずともリード獲得ができるMeta リード獲得広告は、LP制作の必要がない分、素早く広告施策を開始できる一方で、「リード獲得後の対応(メール返信)が手動で追いつかない」「対応が遅れて、機会損失が発生する」といった課題を抱えがちです。実際、多くの場合、リード獲得広告を実施しているものの、広告管理画面を定期的にチェックしてリード情報を確認し、手動でメール返信を行う運用方法となっています。そのため、リード獲得からその後の対応に、数時間から半日程度のタイムラグが生じてしまい、ユーザーの関心が薄れ、商機を逃してしまうケースも少なくありません。弊社にお問い合わせをくださったお客様も、このような課題を抱えている場合が多々ありました。そこで本記事では、Metaリード獲得広告とZapierを連携することで、フォーム送信と同時に自動返信メールを送信し、これらの課題を解決する方法を解説します。この手法により、リード獲得後のメール返信対応を自動化することができ、ユーザーの興味が薄れる前にアプローチすることが可能になります。Metaリード獲得広告とは?リード獲得広告は、Metaの扱うプラットフォーム内で商品やサービスに興味・感心を持つ見込み顧客を見つけ、彼/彼女らの情報を獲得するための広告です。Metaのプラットフォーム内でフォーム入力を完結できるため、ユーザーが外部サイトに移動することなく、スムーズに個人情報を提供できる仕組みになっています。参考:リード獲得広告について - Meta ビジネスヘルプセンターまた、ユーザーがすでにFacebookやInstagramに登録している情報が自動的にフォームに入力された状態で表示されるため、手入力の手間を最小限に抑え、フォーム完了率の向上が期待できます。特徴リード獲得広告の特徴としては以下の点が挙げられます。1. ランディングページ(LP)がなくても実施できるリード獲得広告はLPを使用せずとも、広告施策を開始することができます。広告をクリックしてもLPに移動することなく、閲覧していたFacebookやInstagram内でフォーム入力を完結することができるため、ユーザーはアプリを離れることなく必要な情報を入力できます。また、場合によっては広告主側でのLPの用意がない場合(または用意が間に合っていない)もあるでしょう。そんな時にも、この手法であればLPを新しく作る必要もないため、素早く広告施策を実行することができます。一方で、LPを使わないということは、雑に言えば、広告だけで商品・サービスの良さを伝えなければなりません。そのため、広告の質や訴求内容の明確さが、より重要になります。フォーム入力まで行ってもらうには、見込み顧客が価値を感じる情報を提供しなければならないため、明確なメリットを示すようにしましょう。2. フォーム入力の手間を削減し、ユーザー体験を損ねないFacebookやInstagram上の登録情報が、質問項目にあらかじめ入力された状態でフォームが立ち上がります。そのため、見込み顧客がフォーム入力時に感じる手間を省くことができます。画像引用元:Lead ads Update - MetaZapierとは?複数のWebサービスやアプリケーションを連携して、自動化できるサービスです。専門的な知識がなくともノーコードで連携ができ、また、フリープラン(無料)から始められる点も魅力的です。類似サービスとしてはIFTTTがあります。※参照:Top - Zapier特徴Zapierの特徴としては以下の点が挙げられます。作業を自動化することで、業務を効率化できるたとえば本記事で紹介する、Metaのリード獲得広告とZapierを連携して、フォーム送信を行なってくださった方に自動返信メールを送るといった作業を、自動化することができます。他にも、お問い合わせが入ったらSlackに通知する、Gmailの情報をNotionやKintoneに保存するといった作業を自動化することで、日常の業務を効率化できます。ミスを減らし、人的リスクを回避することができる設定された情報に従って作業が遂行されるため、人間が手作業で行うとどうしても発生してしまうミスを、Zapierを使うことで防ぐことができます。また、本記事で紹介するリード獲得広告とZapierの連携に関しても、人間が対応すると、返信メールを送るのに数分から、長いと半日ほど時間を要してしまいます。その間に、お問い合わせをしてくださった方に用事が入り、問い合わせたことを忘れてしまうかもしれません。しかし連携しておけば、フォーム送信後、即座に自動返信メールが送られます。Zapierを使い自動化しておけば、人的ミスだけでなく、こういった機会損失も回避することができます。Meta リード獲得広告とZapierを連携して、自動返信メールを送信するまず、この設定のゴールを明確にしたいと思います。今回は、以下の作業を自動化するのが目的です。この設定で実現できること(ゴール)連携前は、そもそもフォーム送信発生時に通知を受け取る術がないため、広告管理画面やリードセンターを見に行き、リード獲得状況を確認することから始まります。リード獲得を確認したら、広告主からお客様に向けてメールでの連絡をすることになります。一方で、Zapierと連携すると、これらの作業が自動化されます。Meta リード獲得広告でリードを獲得すると、連携されたZapierの設定に従い、お客様に向けて即座にメールを送信することができます。メールの内容も自由に決めることができるため、お問い合わせへのお礼メール、資料送付メール、営業担当者との日程調整メールなど、リード獲得の目的に応じたメール送信が可能です。用意するもの始まる前に以下の3点を用意してください。ZapierのProfessionalプラン契約アカウントMeta リード獲得広告を設定済みの広告アカウントGmailアカウント設定方法まずZapierのWebサイトからログインし、ホーム画面を開きます。左カラムの「+ Create」(下画像の赤枠)をクリックすると、メニューが出てくるので「Zaps」(※)をクリックします。※Zaps(ザップス)は、トリガーとアクションで構成されるのですが、今回の場合、Meta リード獲得広告でのCV獲得が「トリガー」となり、メールを自動送信するのが「アクション」となります。このトリガーとアクションのセットが、1Zapsと扱われます。Zapsを作る画面に遷移します。画面中央(下画像の赤枠)の「Trigger」をクリックして、トリガーを設定していきましょう。トリガーの一覧が表示されるので、「Facebook Lead Ads」をクリックします。画面右側の「Setup」メニューより、「Trigger event」は「New Lead」を選択、「Account」は対象のアカウントを選択します。もし対象のアカウントが表示されなければ、「+ Connect a new account」から、Meta広告とZapierを連携し、アカウントを表示させましょう。次に「Continue」を選択して、「Configure」の設定メニューに移動します。次に、「Configure」の設定メニューから、「Page」を設定します。対象のFacebookページを設定しましょう。その次に「Form」を設定します。Meta リード獲得広告で設定したフォームがここに表示されるので選択しましょう。完了したら「Continue」を選択します。トリガー設定が正しく実行できるかテストします。「Test trigger」をクリックしましょう。テストが問題なく実行されると、リード情報(画像赤枠「Lead A」)が表示されます。正しくリード情報が取得できていれば「Continue with selected record」を選択しましょう。次に「Action」の設定画面に遷移します。次に、アクション選択画面から「Gmail」を選択します。次に「Setup」画面より、「Action event」を「Send Email」に設定します。次に「Account」から、接続したいGmailアカウントを選択します。この際、Gmailアカウントが表示されない場合は、プルダウンの「+ Connect a new account」から新しいGmailアカウントを接続してください。次に「Configure」の設定メニューから、主に以下の項目を設定します。下記の項目以外にも「Add signature default」「Attachments」などの設定も可能ですが、原則、以下の項目のみ設定しておけば問題ありません。項目概要To(送り先のメールアドレス)メールの宛先となる受信者のメールアドレスです。リード獲得広告の場合、フォームに入力されたユーザーのメールアドレスが自動的に入力されます。Cc(Carbon Copy)メインの宛先以外にも同じメールのコピーを送りたい相手のメールアドレスを指定します。受信者全員がCcに入っている人のアドレスを見ることができます。Bcc(Blind Carbon Copy)Ccと同様にメールのコピーを送りますが、他の受信者からはBccで送信された人のアドレスが見えません。管理者や営業担当者への報告用によく使われます。From(送信者メールアドレス)メールの送信者として表示されるメールアドレスです。通常は会社のドメインのメールアドレス(例:info@company.com)を設定します。From Name(送信者名)メールの送信者として表示される名前です。メールアドレスではなく、会社名や担当者名などを設定できます(例:「株式会社○○ 営業部」)。Reply To(返信先)受信者がメールに返信する際の宛先となるメールアドレスです。Fromとは別のアドレスを指定することで、返信を特定の担当者に振り分けることができます。Subject(件名)メールの件名(タイトル)です。受信者が最初に目にする重要な部分なので、分かりやすい件名に設定しましょう。Body type(本文形式)メールの本文形式を選択します。Plain(プレーンテキスト)は文字のみのシンプルな形式、HTML形式は装飾やリンク、画像などを含めたリッチなメール形式です。Body(本文)メールの本文内容です。自動返信メールの場合、お礼の言葉、次のステップの案内、連絡先情報などを含めることが一般的です。最後まで設定が完了したら、赤枠下部に表示される「Continue」を選択します。次に、メールのテスト送信を行います。設定内容に問題がなければ、「Test step」を選択しましょう。メール送信が問題なく実行されているか、確認してください。最後に「Publish」を選択すると、Zapsが公開され、トリガーの発生に合わせて、アクションが実行されるようになります。以上で設定は終了です。効果的にリードを獲得するための3つのポイントポイント1. 広告クリエイティブ内に明確なベネフィットを提示するリード獲得広告では、ユーザーが個人情報を提供する価値があると感じてもらう必要があります。そのため、広告クリエイティブ(画像・動画・テキスト)において、ユーザーが得られるベネフィットを、具体的に伝えましょう。「無料で〇〇が手に入る」「限定資料をプレゼント」「専門家による無料相談」など、情報提供に対する対価をわかりやすく示すことが大切になります。また、Meta リード獲得広告はLPに誘導するわけではないので、「詳しくは次のページにて」「まずはこちらのWebサイトをご覧ください」といった誘導は、全く効果的ではありません。ポイント2. フォーム項目は最小限に絞るMeta リード獲得広告は、ユーザーの手間を大きく削減できる広告手法です。そのためフォームの入力項目が多すぎると、せっかくのメリットを台無しにしてしまいます。最初は必要最低限の項目に絞り、そこからパフォーマンスに応じて、項目の調整を行っていきましょう。フォーム項目の調整方法については、私が執筆したこちらの記事でも紹介しております。項目の調整で成果が大きく変わることもあるため、慎重に検討しましょう。関連記事:マーケティング活動で大事な、KPIの設定方法。”条件付きお問い合わせ数”に変えたら売上が2倍になった理由【アルテナ古田 連載第2回】 - マーケトランクポイント3. ターゲティングを適切に設定する効果的にリードを獲得するためには、商品・サービスに興味を持ちそうなユーザーに、的確にリーチすることが重要です。年齢、性別、地域、興味関心、行動履歴などを組み合わせて、見込み顧客となり得るユーザーをターゲティングしましょう。まとめMeta リード獲得広告とZapierの連携は、設定に多少の時間を要しますが、一度連携してしまえば自動化されるため、その後の業務効率化に大きく貢献します。Zapierの費用はかかるものの、手間の改善、それによる機会損失の防止などを考えると、十分、費用対効果の高い施策だと思います。特に、スタートアップや中小企業において、「スピード」は競合優位性につながる重要な要素のひとつです。ぜひこの仕組みづくりを検討してみてください。