弊社はマーケティング戦略の立案から実行までを支援する会社として、日々多くの方とディスカッションや打ち合わせを行います。プロジェクトやマーケティング施策を遂行するにあたっては、クライアントおよびパートナー会社(または個人)とコミュニケーションを取りながら連携することが必要不可欠です。そして連携しながら円滑に仕事を進めていくためには、双方にとって”より良い”コミュニケーションを取ることがとても重要です。より良いコミュニケーションとは、互いに意思疎通がとれていて、感情や思考を共有できるようなコミュニケーションです。本記事では、社外の方とコミュニケーションを取る際に大切にしている価値観や手法について解説をします。社外の方とコミュニケーションが上手く取れず悩んでいる方や、社外の方と多くのやりとりが発生する仕事に従事されている方にとって参考になれば幸いです。1. 相手の反応を読み取り柔軟に会話する良いコミュニケーションを取る上で大切なことは、相手の反応から感情や思考を読み取るということです。相手を観察し、感じていることや思っていることを読み取らずに会話を進めると、話が一方通行になり建設的なコミュニケーションになりません。相手の反応から感情を読み取るために、メンタリストのようなテクニックや心理学は必要なく、相手を理解しようとする気持ちが大前提となります。知らぬ間にすれ違いが起きていたり、意思疎通がうまくできずトラブルに発展してしまう場合、相手を理解しようとしていない、もしくは観察できていないケースが多いです。仕事における社外の方とのコミュニケーション方法は、チャットやメールなどのテキストコミュニケーションと対面やビデオ会議など表情や声色がわかるものまでさまざまです。それぞれどのようなことを意識して相手の状態を感じとっているのか解説します。テキストから相手の状態を読み取るテキストからも相手を良く観察していれば、感情やその人の状態を読み取ることができます。昨今メールだけでなくチャットツールも普及したことで、これまでよりもテキストでのコミュニケーションが増えています。そのため、文章のやりとりからも相手の感情を察知できるようになることで、より円滑に仕事が進むようになります。テキストから読み取る上で大切なのは、普段の文章表現との違いを見つけるということです。たとえば、以下のように「変化」に対して敏感になることです。普段びっくりマークをつける方なのに「。」で終わっている普段は絵文字をつける方なのに絵文字がない長めの文章で送ってくれることが多いのに一言だけで返ってきた普段と表現方法の違いがわかれば「何か怒っているかも?」「説明がわかりづらかったのかも。」など背景にある感情を考えるようにします。相手の返信内容で察する上記は、文章の表現方法から読み取る内容でしたが、文章の内容からも相手の状態を察することが重要です。こちらから相手に対して文章による説明を行ったとします。その返信内容が「理解しました!進めていきますね。」という場合と「了解しました。とりあえずやってみます。」という場合。後者の場合、"あまり理解できてない可能性"や"説明に納得がいっていない可能性"に気付くことができます。このように相手の状態を文章から察することで、補足説明や質問を促す返信など、先回りしたフォローができるようになります。非言語からも読み取る人は、伝えたい情報を何でも言語化してくれるわけではありません。全て言葉で知りたいからといって質問攻めをしても、不快な気持ちにさせてしまうでしょう。対面でのコミュニケーションでは"非言語の情報もしっかり読み取ることが大切です。非言語とは「声のトーン」「表情」「しぐさ」「身振り手振り」など、言語には現れていないメッセージです。たとえば、以下のようなシーンでも非言語情報を読み取り相手の状態を考えます。非言語情報(表情やしぐさ)を観察しながら、相手の状態に対する仮説を立てます。仮説をもとに確認や補足などの適切なコミュニケーションを取ることで、相手の理解度や信頼度も高まります。一例をあげましたが、この他にも非言語(表情や態度)からわかる心理状態は多くあります。ビデオ会議などでも自分の話し方やプレゼン資料だけに集中するのではなく、目線や表情をよく観察して、心理状態をキャッチアップすることが大切です。その上で、伝える内容や、表現、例え話などを加えることで、正しいコミュニケーションを取ることができます。状態に合わせて適切な会話をする相手の状態を読み取るために「注意すべき点」や「意識すべき点」をお伝えしましたが、読み取るだけでは何も変わりません。そこから読み取った内容をもとに、相手の「不満」を解決できるようなコミュニケーションをとることこそが最も重要です。自分の説明に対して相手の理解が不十分な場合は「不明な点はありますか?」「説明が足りない部分はありますか?」など相手が十分理解できるような場を自ら作るようにします。文章だけでは理解が難しそうな内容、冷たく感じるような内容であれば、電話やビデオ会議などで補足説明ができる場を用意することでミスコミュニケーションを防ぐことができます。2. 聞き手に「理解してもらえる説明」をする2つ目は、聞き手に「理解してもらえる説明」をすることです。時には端的に、時には細かい説明も加えながら、聞き手に理解してもらえるように心がけましょう。マーケティング戦略や施策に関する説明は、どうしても冗長になりがち。それはその戦略や施策の背景にさまざまなデータや経験や仮説があるからです。それらすべてを説明した上でないと戦略や施策を理解することは難しいため、説明が冗長になってしまいます。ただ私は説明が長くなってもいいと思っています。問題なのは、クライアントに理解してもらえないような説明(つまらない説明・わかりにくい説明・相手に興味を持たせない説明)をダラダラと続けること。説明を工夫し、相手に理解してもらえるような説明を心がけることは、円滑に仕事を進めていく上でとても大切です。説明する内容そのものをわかりやすくするための工夫(エビデンス / 例 / 図解 / 資料など)は本記事では省略し、コミュニケーション方法に重点を置いて解説します。スピードに変化をつけて説明する同じ説明の量でも、スピードに変化をつけて話す人とそうでない人では聞き取りやすさが変わります。話すスピードに変化がついていると「必要な情報」と「そうでない情報」を区別しやすいため、話の内容を理解しやすくなります。たとえば、"補足や重要度ではない説明は少し早口で説明する”、”重要な部分は一旦間をおいてゆっくり説明する"というようなスピードをコントロールすることで、相手にどの情報が伝えたいのか、暗に伝えることができるようになります。声量を変えて説明するまた、"重要な部分は、比較的大きめな声量で話す"という方法も効果的です。話し相手が、これまでより少し大きな声で話し始めると、注目してしまいますよね。「ここ重要なのかな?」「大事なところかな?」と考えてしまうはずです。逆に、常に同じ声量で説明をすると、重要なポイントを逃してしまうかもしれません。重要なところは、いつもより少し大きめの声量で説明してみましょう。身振り手振りを加えて説明する身振り手振りは、説明に臨場感を出すことができます。臨場感のある説明は、情景や感情が聞き手に伝わりやすく、より理解しやすい説明となります。対面でのお打ち合わせでは小さな身振り手振りでも伝わりますが、ビデオチャットでは画面に写らないことがあります。ビデオチャットでの説明は、いつもより少し大袈裟な身振り手振りを使うことで、より伝わりやすい説明となるでしょう。相手が求めている情報を説明する相手が求めている情報や知りたいと思っていることを説明しましょう。必要のない情報を聞かされる時間ほど、退屈な時間はありません。相手の役職や業務内容に合わせて説明する内容を変えましょう。事業責任者への説明であれば、マーケティング活動全体の進捗、中長期的なマーケティング戦略の話。マーケティング施策の実行担当者への説明であれば、施策の検証結果、各施策の進捗などがあるでしょう。相手が知りたいことを外さずに答えられるというのは、効率よく会話のキャッチボールを成立させるための大事なスキルです。質問の意図を考えて説明する質問をもらった場合は、質問の意図を必ず考えましょう。的外れな回答は相手を余計に不安にさせ、議論を複雑にします。質問に対して正しく回答をすることはもちろん、そこから更に質問をした背景(心情・意図・不安)を読み取り、プラスアルファで回答することでより相手に寄り添ったコミュニケーションができます。たとえば、相手に対して施策の提案と説明が終わったタイミングで以下のような質問をもらった場合を考えてみます。質問の意図をその場で、考えて相手の心理状態に対する仮説を立てます。この場合、仮説Aが正しい場合は提案の追加説明をすることが適切かもしれません。仮説Bや仮説Cの場合も、不満や不安が解消できるような回答が必要となります。質問を「字面」だけで受け取らず、質問の背景に潜んだ感情も読み取るようにすることでスムーズなコミュニケーションに繋がります。3. 専門用語は相手に伝わる表現に変える単に専門用語を控えるということではなく、"相手が理解しやすいかどうか"を軸に使い分けます。わたしたちの支援させていただいてるクライアント様やパートナーさんは別の業界に従事している方がほとんどです。マーケティング業界の専門用語を相手のことを気にせず頻繁に使ってしまうと、意思疎通が図れなくなってしまうだけでなく、最終的には「何を言っているか全然わからない...」と信頼も失いかねないので、原則なるべく控えるようにしています。相手に伝わる表現に変える専門用語は相手に伝わるように、噛み砕いて表現するようにします。たとえばマーケティング業界では当たり前のように使われる「CPA」という用語。CPAとは、Cost per Acquisitionの略で顧客獲得単価という意味です。ここで注意したいのは”ただ日本語に翻訳しても伝わらない”ということです。「CPAとは顧客獲得単価です」といきなり言われても初めて聞いた方からすると、すぐに理解できないかもしれません。多少冗長になっても「お客様を1人あたり獲得するのにかかった費用です」と説明すれば、聞き手にも伝わるでしょう。このように翻訳ではなく、伝わる表現を探して説明することが重要です。相手が使う専門用語は積極的に使う一方で、相手が使う専門用語は積極的に使用するようにします。クライアント様やパートナーさんそれぞれの領域で使っている専門用語が出てきたら、意味を理解(確認)して、会話の中に混ぜるようにします。そうすることで相手との意思疎通もスムーズですし、なにより一体感が自然に生まれます。自分の言葉ひとつひとつにも意識を張り巡らせて、相手に寄り添ったが言葉遣いを心がけることで、コミュニケーションを通して信頼を獲得することにも繋がります。4. 口頭で打ち合わせをしたらテキストでも送る口頭で話した内容は、後から簡単でもいいのでテキスト送るようにしています。せっかく打ち合わせをしたにも関わらず、重要な部分を忘れてしまうことは頻繁に起こります。(口頭で話をする場合、文字に起こすと数万文字になることもありますからね。)数分の打ち合わせでも決まる事項はたくさんあります。期日、内容、宿題、課題など、口頭で話す場合はスムーズに決まっていく反面、情報量が多くせっかく話した内容も忘れてしまうことがあります。テキストの補足は箇条書きでシンプルにテキストで補足を送る場合、なるべくシンプルに送るようにしましょう。口頭説明で多くなってしまった情報量を完結にまとめるための補足ですので、テキストで長々と送ってしまうと意味がありません。次回打ち合わせ日程:◯日 決まったこと:次回からは◯◯の検証をしてみる 結果の総括:◯◯は良い傾向にあるが、◯◯には課題が残っている状態次回までの宿題:◯日までに◯◯を行うこのように箇条書きや項目別にまとめることで、打ち合わせの要点も再確認でき忘備録にもなります。多少おせっかいと思われても双方にとってメリットがあることは積極的に行うようにしましょう。相手に期待して自ら動けないようでは信頼関係は気付けません。5. 目的や状況に応じて手段を使い分けるコミュニケーション手段は目的や状況に応じて変えましょう。コミュニケーション手段とは電話やメール・チャットなど連絡を取るための手段です。電話ばかりの連絡になると、伝えたい内容が抜けていたり、電話後に会話内容を忘れてしまったり....そういったトラブルも起きます。逆にテキストだけのコミュニケーション手段に偏ると、双方の感情がうまく伝わらず、信頼関係の構築も遅くなる場合があります。コミュニケーション手段を選択する際は、伝えたい内容と手段の相性を考えて決めましょう。それぞれのコミュニケーション手段にはメリット・デメリットがあり内容とマッチする手段はどれなのか考えて選択します。プロジェクトの内容をディスカッションする場合は、イラストやスライド資料などを用いてイメージ共有をしたいのでZOOMなどのビデオコミュニケーションツール。緊急性が高く意思決定をすぐにしなければならない内容は電話。日々の細かい進捗共有や複数人に同時共有したい内容はチャットツールが良いでしょう。また業務的な連絡以外にも重要なのが感情の共有です。喜びの報告や困っていることなど感情が伴う内容を伝える場合は、電話など口頭でニュアンスが伝わるツールで積極的に伝えましょう。テキストだけではなく感情がグッと伝わりやすくなる電話やビデオツールを活用すると、双方の距離が一気に縮まるはずです。まとめ今回まとめた「円滑にコミュニケーションを取るために今すぐできる5つ工夫」は、日々最適なコミュニケーション方法を追求する上でもっとも重要であると感じた内容です。相手の反応を読み取り柔軟に会話する聞き手に「理解してもらえる説明」をする専門用語はなるべく控える口頭で打ち合わせをしたらテキストでも送るコミュニケーション手段は目的によって使い分けるこれまでの失敗した経験や上手くいったケースから手法として解説をしました。本記事をきっかけに、社外の方とコミュニケーションが上手く取れず悩んでいる方や、社外の方と多くのやりとりが発生する仕事に従事されている方にとって参考になれば幸いです。