弊社が支援しているクライアントでの検証結果についてご紹介します。今回は製造業を営んでいるクライアントの、マーケティングにおける課題解決に向けた検証について解説します。注意:以下の事例は私たちの状況に基づくもので、全てのケースに当てはまるわけではありません。やるべきことを2つに絞り、コンバージョン数が160%増加した改善事例本記事では、製造業のクライアントと弊社との取り組みの中で行った、マーケティング上の課題の仮設立て、施策、結果とそれらに関する考察をまとめました。前提と課題対象は以下の通りです。クライアントはBtoB向けの製品を生産・提供する製造業者です。かねてより外部の支援会社(広告代理店とHP制作会社)の力を借りて、お問い合わせ数と資料請求数の改善に取り組んでいましたが、満足いく成果が出ず、直近1年ほどはインハウス(社内のメンバーによるマーケティング施策の運用)で改善に取り組んでいました。しかしそれでも改善されず、弊社にご依頼いただきました。業種BtoB向けの製品を生産・提供する製造業コンバージョン地点お問い合わせ・資料請求対象とする施策マーケティング戦略全体の見直し課題自社に合った(予算・実行体制・期日)マーケティング戦略が見つからない課題に対する整理と仮説当クライアントでは「予算の制限」「目標達成期日の制限(時間の制限)」「実行体制の制限(人的リソースの制限)」など、多くの制限がありました。また自社の強み・弱みや競合他社の強み・弱みなどの把握もする必要があったため、それらを含めてすべてまとめて分析し、整理しました。そして課題を分解していくと、戦略を立てる上で以下のポイントが重要になることがわかりました。ポイント1. お客さま(エンドクライアント)は検索して情報を探しているのに、検索結果に良質なコンテンツが無いクライアントや競合の製品をお客さま(エンドクライアント)が知る機会となるチャネルは、主に以下の3つです。展示会人づてのクチコミや紹介インターネット検索すでに展示会への出展は行っており、これ以上は増やせません。クチコミや紹介はクライアント側でコントロールできない性質があります。そこでインターネット検索はどうか?と調べると、いくら検索してもわかりやすく説明しているWebサイト、役立つ情報を掲載しているWebサイトが見つかりませんでした。事前の調査からも、お客さまが(商品名は当然知らない段階なので検索しないものの)困った際にインターネットで検索することはわかっていました。ですがインターネット上に困りごとを解消するための良質なコンテンツがないのです。この状態はお客さまにとって余計にフラストレーションが溜まる状態ですし、クライアントの立場からすると大きなチャンスです。なんせ困っているお客さまがインターネット上に存在することがわかっており、競合が少ないわけですから。ポイント2. Webサイト内に不足しているコンテンツが多い支援初期に私たちが、クライアントのWebサイトをお客さまになったつもりで見たとき、「これは気軽にお問い合わせ・資料請求できるものではないな」と感じました。Webサイト内には「商品の説明」や「アピールポイント」が記載されているものの、その商品が「私たちの何を解決してくれるのか?」「私たちの困りごとを解決する根拠は何か?」「実際に購入した人は、困りごとが解決されたのか?」などのコンテンツがありません。そのため、いくらWebサイトを読んでもお問い合わせしたくなるほど、不安が払拭されないのです。BtoB商材という製品の特性上、単価も高く、購入の意思決定も容易ではありません。製品に対して「不安がある状態」では、お問い合わせをしていただくのは難しいでしょう。逆を言えば、不安が解消できるコンテンツが用意できれば、お問い合わせにつなげることもできるだろうと考えました。お客さま目線でサイト内を回遊してみたことで、こういった「コンテンツの不足」が課題のひとつであると発見することができました。ポイント3. 初回接触以降のお客さまにプッシュ営業をしすぎているWebサイトを訪れてくださった方に、Web広告やメルマガを使用して、再アプローチをしていました。しかし前述したような「商品の説明」や「アピールポイントの掲載」が多く、Web広告やメルマガを見た見込み顧客としては、いつまでも不安(=私が抱える不安、の意味)が払拭されません。そしてそういったWeb広告やメルマガを受け取り続けてしまうと、次第にお客さまのなかに嫌悪感が生まれてしまいます。それらは広告のクリック率やメルマガの開封率となって現れますが、クライアントも例外ではありませんでした。お客さまと上手にコミュニケーションを取れていない、それが3つ目の大きな課題であると感じました。仮説に対して行なった施策上記の課題や仮説をもとに、弊社から「以下の2つだけに集中しましょう」と方針を示しました。検索したときに見つかるコンテンツ(検索エンジンに最適化したもの)を作成するお客さまの不安を払拭できるコンテンツを作成し、適切なチャネルで届ける1. 検索したときに見つかるコンテンツ(検索エンジンに最適化したもの)を作成するこの目的は、お客さまとの最初の接点を作ることです。展示会やクチコミではこれ以上接点を増やすことが難しいと考えたので、検索エンジンに最適化されたコンテンツを作ることにしました。Webサイト内にはブログ機能がなかったので、ホームページ制作会社に入っていただき、機能を付けました。そしてキーワードのリサーチ、記事制作の準備、両社のToDoリストの整理、公開後のフローなどをまとめて実行します。2. お客さまの不安を払拭できるコンテンツを作成し、適切なチャネルで届けるこの目的は、お客さまの購買プロセスが無理なく進むようアシストすることです。お客さまの購買プロセスを無理やり進めるようなやり方ではなく、不安や困りごとを予想し、それらを解決できるコンテンツを作り、適切なチャネルで届けます。今回の場合は、Web広告の中でもリマーケティング広告(追跡型の広告)とメールマガジンを中心に使用しました。いずれもすでに伝わっている「商品の説明」や「アピールポイントの掲載」は記載せず、不安を払拭できるコンテンツを広告用とメールマガジン用にアレンジして(時にはリンク先のページとしても使用)使用しています。施策から得られた結果上記の方針を示し実行した結果、以下のような結果が表れました。取り組み始めて初年度のデータになりますので、まだまだ改善の余地がありますがこのようになりました。施策開始前後1年間のデータを比較したときの伸び率Webサイトを訪問したユーザー数590% 増加お問い合わせ・資料請求数163% 増加また併せて当初の課題だった「自社にあったマーケティング戦略が見つからない」という点も、改善されました。数字としての結果はもちろん、やるべきことを絞ったのでクライアントがマーケティング業務に使用する時間も削減され、ROI(※)も向上した、とコメントを頂いております。※ ROI...ROIは「Return On Investment」の略称です。日本語では「投資収益率」や「投資利益率」とも呼ばれ、その投資でどれだけ利益を上げたのかを知ることのできる指標のことを指します。引用:ROIの意味は?計算式まで理解して投資効果を正しく見極めよう! - Urumo!得られた結果を基にした考察あくまで今回のケースでの結果のため、すべてのケースに当てはまるわけではないですが、このような結果となりました。この結果をもとに以下のように考察しました。お客さまの知りたい「タイミング」と「場所」に張ることが大事お客さまの知りたい「タイミング」と「場所」にコンテンツを用意することが大切です。それは検索結果でも広告でもSNSでもいいのですが、事業主都合で”無理やりお客さまにお知らせ”するのではなく、お客さまの「知りたい」という気持ちが芽生えた時(「知りたい」を解消するためのアクションを起こした時)にコンテンツがあることが重要です。今回はそれが「検索」で起こっていると考え、検索エンジンに最適化したコンテンツを用意できた結果、Webサイトに訪問するユーザーを一気に増やすことができました。知るだけでは、お客さまはお問い合わせしないWebサイトを訪問する方は予想を大幅に超えるペースで増えたものの、お問い合わせ・資料請求数に関しては予想より少し多い程度に留まりました。今後は、不安を解消するコンテンツの制作ペースとそれを届けるための広告とメルマガの改善を行えば、よりお問い合わせ・資料請求数を増やせると考えています。ただこの結果からも、知ってもらうだけでは意味がないということがわかります。知っていただいた後に、どうやってお客さまに心地よく購買プロセスを進んでいただくか(もし進む必要がない方には無理に進ませないことも大事)を考えなければなりません。BtoB商材の性質上、検討期間も長く、複数人で意思決定する可能性が高いため、知ってもらう労力と同じくらい、またはそれ以上にお客さまと上手くコミュニケーションし、購買プロセスが進むサポートをすることが重要です。正しく戦略を考えれば、対応時間もROIも改善される今回は「自社に合ったマーケティング戦略を見つけたい」というのが課題でした。「自社に合った」とあえて抽象的に書きましたが、「私たちのリソース(費用、時間、人手)の中でできる、成果の出るマーケティングを見つけたい」ということとクライアントと擦り合わせて取り組みました。これまでインハウスで行っていたさまざまなマーケティング業務を削減し、時間や予算に余裕を持たせました。その中で本当にやるべきこと、やった方がいいことは何か?と探し、2つの方針を示しました。どこ会社もリソースは限られているため、闇雲にやるのではなく、戦略を決めることが非常に重要であると今回の支援でも気付くことができました。さいごに今回のクライアントとは事前に「できる限りやるべきことをシンプルにしよう」「一時的にお問い合わせを増やすのではなく、長期的に安定した成長を見込めるマーケティングをやろう」というお話をしていました。そのため抜本的な戦略変更が必要になりましたが、今回のケースで「正しい戦略は状況を大きく改善することができる」ということも改めて気付くことができました。注意:以下の事例は私たちの状況に基づくもので、全てのケースに当てはまるわけではありません。事例. 株式会社ライフテック様(建材メーカー)株式会社ライフテック様は、工場や倉庫の屋根に使用する建材を扱うメーカーです。当初は、ご予算や採用の課題もあり、なるべく予算をかけずリードを獲得し、少数精鋭の営業人材で受注につなげること(アウトバウンドではなく、インバウンドマーケティングでのリード獲得)を目指しました。弊社とのインバウンドマーケティングの取り組みの最初に、顧客の悩みや行動の仮説を洗い出し、それに沿ったコンテンツ作り、コンテンツ伝達手段を考えました。その結果、1年で売上は約2倍に成長、お問い合わせ数も約3倍となりました。お客様インタビュー:「ニッチ商品でも、知恵を絞ればマーケティングで成果を出せる」予想外の提案から始まり、売上が2倍以上に伸びた取り組み