弊社が支援しているクライアントでの検証結果についてご紹介します。今回は、医療関連のブログにおけるコンバージョン率を改善をするためにCTA(※)の設置方法に関する仮説の立案と実証を行いました。※CTAとは...「Call To Action」の略で、日本語で直訳すると”行動喚起”という意味です。Webサイト内でユーザーをコンバージョンへと誘導する要素です。注意:以下の事例は私たちの状況に基づくもので、全てのケースに当てはまるわけではありません。CTAの設置方法によるコンバージョン率改善の事例本記事では、CTAの位置や表現方法を変えることでどのような変化があったのか、また結果からどのような事が考えられるのかまとめました。前提と課題対象サイトは以下の通りです。業種は医療関係、主な集客方法はブログコンテンツとなっています。疾患や治療方法、個人でできる対策など患者にとって役に立つ知識や情報を発信し、サイト訪問者数の向上およびお問い合わせの獲得に繋げています。業種医療関連コンバージョン地点電話お問い合わせ対象とする施策ブログコンテンツ(主な流入経路:自然検索)課題ブログ記事経由のコンバージョン率が0.06%となっており、想定の0.1%まで改善したい。今回ご紹介する対象クライアントは、ブログ記事経由のお問い合わせが集客の軸となっており、ブログ経由でホームページに訪れるユーザー数は約32万/月、PVは約45万/月です。多くの記事をきっかけにお問い合わせにつながっているものの、一部の記事に限って他よりも明らかにコンバージョン率が低かったため、ここにお問い合わせ数増加につながる改善ポイントがあると考えました。今回はこれらの課題に対する仮説から実施施策、検証結果までご紹介します。課題に対する仮説課題に対する仮説はふたつあります。仮説1. CTAの設置箇所が最下部のみのため、読者に気付かれていない対象のブログは、狙っているキーワードで検索順位1位を獲得できています。幅広い検索意図を網羅的に解決するために、記事内の情報量は多いです。そのため読了するには数分かかる記事となっており、記事の最後まで読まない可能性が高く、CTAに到達する前に離脱している可能性がありました。つまり最下部のみのCTAでは、読者の課題は解決されるが、お問い合わせにはつながらない状況になっているのではないか?という仮説が考えられました。仮説2. 記事テーマの性質上、警戒されやすく目立つCTAは嫌悪される医療系のブログは「健康」に関わる内容であるため、信憑性を求められます。とくに医療系のジャンルでは怪しい記事が乱立しているため、ユーザーは警戒している可能性があります。そのタイミングで「お問い合わせはこちら!」という形で、次のアクションを促しすぎると警戒をさらに強めることとなってしまい、コンバージョンにつながらない可能性がありそうです。仮説に対して行なった施策上記の仮説をもとに、CTAを以下の3つのポイントを考慮しながら変更しました。ポイント1. ボタン型のCTAからテキストリンクに変更もともと最下部に派手なカラーのCTAが設置されていました。そのため目立たせることは一旦やめて、テキストリンクで予約ページに遷移するよう変更を加えました。目立たなくなるものの、記事できちんと課題を解決できていれば、テキストリンクでもアクションを促せるだろうと思っての変更です。ポイント2. 最下部だけでなく、記事中にいくつかのCTAを設置最下部のみだったCTAを上部や下部など複数箇所に設置しました。最下部のみの場合、読了率がよっぽど高いブログでない限り気付かれにくいです。しかし今回の場合、各所にCTAを増やすと押し売りが強くなり警戒される恐れがありました。そのため、テキストリンクに変更して違和感のない数のCTAを設置しました。ポイント3. 文脈を揃えたCTAに変更これまでのCTAは最下部のみだったため、文脈を無視した流れになっていました。テキストリンクへの変更にあたり、前後の文脈を意識した上で違和感のないCTAを設置しました。施策から得られたデータ上記施策をおこなった特定の記事におけるコンバージョン数、コンバージョン率を前後比較してみました。下の表が実際のデータですが、いずれの指標も大きく改善しています。項目変更前変更後コンバージョン数1.5件/月16件/月コンバージョン率0.06%0.12%得られたデータを基にした考察あくまで今回のケースでの結果のため、すべてのケースに当てはまるわけではないですが、このような結果となりました。この結果をもとに、以下のように考察しました。読者の心理状態によっては、目立ったCTAが逆効果となることがあるCTAは目立たせることが正しいかのように語られることがあります。しかしそれも記事によりけりと改めて認識しました。今回のように他社の記事内容や読者の心理状態によっては、CTAを目立たせることが、逆に読者の警戒心を強めてしまい、コンバージョン率の悪化につながることがあるとわかりました。CTAは手前の文章と文脈を揃えることが重要上述した記事では大きく改善しましたが、別記事でCTAをバナー型からテキスト型へ変更した際に、文脈を無視したCTAを設置したことがあります。その場合のパフォーマンスは今回ほど好調ではありませんでした。読者の課題や、記載した内容に則したCTAにすることで、違和感なく次のアクションを促すことができそうです。設置方法によっては、記事中にCTAが複数個あっても悪い印象にならないユーザーは満遍なく記事を読むわけでは無く、興味がある箇所、課題に思ってる箇所を見つけて解決されれば離脱してしまいます。そのため各セクションごとに、次のアクションを促すようなCTAがあっても、悪い印象にならず、大きな効果を発揮することがありそうです。さいごにCTAの工夫ひとつでお問い合わせ数が大きく変わることがわかりました。また今回の件で、「CTAは目立たせる」「CTAは記事下部に設置する」などの当たり前を疑うきっかけにもなりました。今回の事例を通して、みなさまのホームページ内のCTAを見直すきっかけになれば幸いです。注意:以下の事例は私たちの状況に基づくもので、全てのケースに当てはまるわけではありません。