意味はわかるけれど、なんとなく読みづらい文章に出会ったことはありませんか?そのような文章には「冗長表現」が多用されている可能性があります。遠まわしな文章表現は一見丁寧なようでも読みづらい文章となってしまい、読む人を不快にさせてしまうこともあります。しかし冗長表現は執筆者自身では気づきにくく、クセで使ってしまっていることも。そこで今回はよくある冗長表現の事例と改善方法、また読みやすい文章を書くコツを紹介します。冗長表現とは?つい使ってしまう理由と読者に与えるデメリットまずは冗長表現についてや冗長表現を使用してしまう理由、使用した際のデメリットについて解説します。冗長表現とは?冗長表現とは、文章の内容と無関係な単語や表現によって読みづらくなっている状態をさす言葉です。文章の中に本来不要な言い回しが含まれていると、文章が長くなるのに加え意図が伝わりにくくなります。冗長表現を改善し違う表現に書き換えると、文章全体が読みやすく仕上がります。冗長表現を使ってしまう理由冗長表現を使ってしまう理由として「知的に見られたい」「丁寧な文章を心がけている人と思われたい」などの心理がはたらくためだと言われています。そのような意図がなくとも、丁寧に書こうと心がけた結果、無意識のうちに使用してしまうこともあるでしょう。冗長表現はこれまであまり文章を書いてこなかった方に多く見られる表現です。たとえば、「○○することができる」という言い回しは冗長表現のひとつです。元々は日本語として使われていませんでしたが、外国語を翻訳した言い回しとして使われるようになりました。「することが」を付け加えることで、断定を濁しながらあらゆる可能性を秘めている意図が伝えられます。読者に対して広い意味を持つ印象を与えたり、丁寧に説明しようとしている姿勢を見せられる反面、意味があいまいになったり理解しづらくなる側面もあります。このように冗長表現は文法上は誤りではないものの、かえって意味が分かりにくくなってしまいます。そのため文章を書く際には使用を避けるように心がけましょう。冗長表現のデメリット冗長表現を使用すると文章全体の意味が分かりにくくなることで、読み手からの印象が悪くなりストレスを与えてしまいます。Web上の記事では読者の離脱を招く原因にもなり、検索順位を落とす結果につながりかねません。また、冗長表現を使うと文字数が増えるため、Webライターが文字数稼ぎをしているとクライアントに思われてしまう恐れもあります。冗長表現を使わず、できるだけスリムで短い文章にまとめることが大切です。つい使いがちな冗長表現次によくある冗長表現にはどんなものがあるのか、解説していきます。同義語・類義語の重複同義語・類義語の重複とは、似た意味の言葉を重ねて使うことをさします。経験を積んだWebライターでも、無意識のうちに重複している場合があるため、注意が必要です。以下に例を挙げますので、理解を深めましょう。まずはじめに「まず」と「はじめに」は、どちらも1番目を表す言葉であり、意味が重複します。頭痛が痛い「頭痛」の言葉だけで、頭が痛いことをさしています。約1週間ほど前に「約」と「ほど」は、どちらも「おおよそ」という意味を持っています。一貫して貫く「一貫」の言葉に「貫く」という意味が含まれています上記の例はいずれもどちらか1つの言葉を使えば意味が通じるため、冗長表現にならないようどちらか1つの言葉のみを使用しましょう。簡潔に置き換えられる表現簡素に書ける文章を敢えて回りくどく書いてしまう冗長表現は、読者の集中力を阻害してしまいます。読者が端的に内容を理解するため、回りくどい言い方はせずに以下のように簡潔な言葉づかいを心がけましょう。○○することができる → ○○できる○○ということである → ○○である○○があるものである → ○○があるこれらに加えて、必要以上に漢字言葉を使用するのも避けましょう。たとえば、「存在します」は「あります」と書き換えた方がシンプルで読み進めやすくなります。意味が変わらないのであればできるだけシンプルな表現を用いることで、読み手の負担が軽減され読み進めやすい文章となります。もっとシンプルな言い回しがないか、確認しながら文章を書いていけるとよいですね。二重敬語Webライティングの場面だけでなく、ビジネスマンなら誰でも使用するメールでの場面でも間違えがちなのが二重敬語です。相手に対して尊敬している気持ちを伝えようとするものの、二重敬語を使うと適当ではない文章となってしまいますので注意しましょう。具体的には以下のような表現が二重敬語です。伺わせていただきます → 伺いますご覧になられますか →ご覧になりますか拝見させていただきます → 拝見しますお帰りになられました →帰られましたおっしゃられるとおりです → おっしゃるとおりです敬語表現は1文に対し1回が適切とされています。二重敬語になっていないかどうか、きちんと見直しましょう。二重敬語のほかに、「奉ります」など日常的に使わない敬語も、冗長表現に該当します。相手に伝わりやすい敬語を使いましょう。余分なつなぎ言葉接続詞や副詞などのつなぎ言葉は、必要に応じて適切な言葉を用いますが、入れなくても意味が通じる場合があります。以下の言葉がつなぎ言葉に該当しますので、本当に必要か考えてから使いましょう。したがってそのためそしてまたさらにそこで下記の例文のように余分なつなぎ言葉を削除することで、違和感なくスムーズに読み進められるようになります。「のどが渇いた。したがって水が欲しい。」↓「のどが渇いたので水が欲しい。」またつなぎ言葉のほかに、こそあど言葉の多用にも注意が必要です。こそあど言葉は会話で多く使われますが、文章にすると何を指しているのかが分かりづらくなることが多いです。こそあど言葉を使った例文と、修正後の文章を比較してみましょう。「私は毎日、自宅から駅まで歩いていますが、それは健康のためです。雨の日には、その習慣をやめてバスで駅まで向かっています。」↓「私は毎日、健康のために自宅から駅まで歩いています。雨の日には、歩くのをやめて駅までバスで向かっています。」修正後の文章ではこそあど言葉が何を指しているのかといった混乱を招くことなく、はっきりと伝えられます。回りくどさや蛇足となっている不要な表現がないかをチェックしながら文章を書きましょう。こそあど言葉の使い方についてより詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。関連記事:「こそあど言葉」とは?指示語の正しい種類と用法をマスターしようライター必見、冗長表現を抑えて文章を書くテクニック冗長表現について一通り解説しました。ここからは冗長表現を抑えて文章を書くにはどうしたらよいかについて解説します。1文は80文字以下にする文字数に制限を設けることで文章をできるだけ短く書くようになります。そうすることで冗長表現を抑えられ、読者も理解しやすい文章に仕上がります。1文につき最大80文字までに抑えたいところですが、理想は50~60文字程度の文字量の文章です。1つの文章に多数の情報が含まれると文章が長く理解しづらくなります。80文字以上の文章となりそうな場合は、2つの文章に分割したほうが理解しやすくなります。1つの文章に記載する情報は1つに絞る「一文一義」を心がけましょう。文章の構成全体に気を配る文章内の冗長表現に注意するのに加え、文章全体の構成にも気を配りましょう。執筆後に読み返してみると、同じ説明を何度も繰り返していたり、読者が知っている情報を長々と書いていることがあります。冗長表現を避けるには結論から先に書くようにしましょう。おすすめの書き方は「PREP法」と呼ばれるもので、次の順序で文章を展開します。結論(Point)理由(Reason)具体例(Example)結論(Point)一文一義とPREP法を組み合わせることで、冗長表現の少ない簡潔で分かりやすい文章が書けるでしょう。難しい専門用語の多用は避ける専門用語の多用は、読者の読む意欲を低下させてしまいます。特にマーケティング用語やビジネス用語は難しいと感じる人が多く、かといって説明を付け加えると文章の本質ではない部分が長くなり結果的に冗長表現になってしまいます。専門用語はできるだけ別の言葉に置き換えるようにしましょう。冗長表現の削りすぎにも注意冗長表現があまりにも少ないと、簡素すぎて味気ない文章になってしまいます。コンテンツの方向性によっては、冗長表現を入れることでターゲットに響きやすくなるため、多少であれば活用するのも一つの手です。特に女性向けの記事は優しい表現になるため、冗長表現の適度な利用がおすすめです。さいごに書き進めている最中では中々気づけない冗長表現ですが、執筆後に自ら読み直すか、または添削してもらうことで回避できます。文章を書いたままで終わるのではなく、時間をおいて全文を2回から3回ほど読み直してみると、長すぎる箇所や同じ表現が続いている箇所などに気づけます。また他の人に添削してもらうと自分の癖が分かり、その後の執筆に役立てられるでしょう。読者に伝えたい意図を正確に書き示し、読者がストレスなく読めるように文章の添削を忘れずに行えるとよいですね。関連記事:「こそあど言葉」とは?指示語の正しい種類と用法をマスターしよう