企業の認知度やマーケティングの効果を測る指標のひとつに「指名検索」というものがあります。指名検索が増えることは、興味をもってに企業名や商品名を調べてもらっている状態なので、マーケティングによる費用対効果も上がりやすくなります。弊社がご支援させていただいている住宅会社・工務店の方々においても、指名検索を増やす取り組みを行なってきました。今回は指名検索を増やすために、実際に行った施策や指名検索が増えて起こった変化について解説します。情報保護の観点から、業種業態および詳細なデータは伏せさせていただきますが、指名検索強化をしたい方にとって、施策のアイデアになれば幸いです指名検索とは?指名検索とは、検索エンジンで企業名や店舗名あるいは商品・サービス名といった固有名詞をキーワードとして使う検索のことです。たとえば車を探す場合、「ファミリカー」や「燃費の良い車」などで検索することは、指名検索ではありません。一方、「トヨタ」という企業名を含むキーワードや「プリウス」といった商品名をキーワードに含む場合は、指名検索となります。また単体のキーワードだけじゃなく、2語以上かけ合わせたキーワードも指名検索として扱います。下の画像はGoogleの検索窓で「トヨタ」と入力した場合のサジェストの一覧です。これらのサジェストキーワードも含めて指名検索と言います。また指名検索はSNS内での検索など、検索エンジン以外でも行われます。指名検索が増えて起きた2つの変化指名検索が増えるとどのようなことが起こるのでしょうか。弊社がご支援しているクライアントの事例をもとに、指名検索が増えたあとにみられた変化についてご紹介します。1. 指名検索によるコンバージョン割合が増えたため全体の獲得単価が下がった指名検索(屋号・商品名)経由のコンバージョン割合が増えたため、全体の獲得単価が下がりました。指名検索したユーザーは、すでに企業あるいは商品に興味をもったうえで、ホームページに訪れるためお問い合わせや資料請求をする確率が高い傾向にあります。そのため、指名検索による1件当たりの顧客獲得単価は比較的低く抑えることができ、指名検索によるコンバージョンの割合が増えることによって、全体の獲得単価が大きく下がりました。2. ホームページへの流入数が1年で約2倍になった指名検索が増えたことにより、ホームページへの流入数が1年で約2倍になりました。これは単に、指名検索による流入数が増えたというわけではありません。指名検索を増やす施策を行ったことで、着実に指名検索が増え、それに伴い他への影響もあり指名検索以外の流入数が増加したと予想しています。指名検索以外の流入数が増加した理由として、以下のような変化をアクセス解析ツールにて確認しています。ブランドの信頼度が上がったことで、被リンクが増えた認知度が上がったことでユーザー間(家族など)のURL共有回数が増えた指名検索が増えたことで、E-E-A-T(※)の観点からもSEOに良い影響があり、他記事の順位が上がった(※)E-E-A-Tとは、「Experience(経験)」「Expertise(専門性)」「Authoritativeness(権威性)」「Trustworthiness(信頼性)」の略で、Googleの検索品質評価ガイドラインで定義されてるウェブサイトの評価基準のことです。引用:General Guidelinesこれらは、100%指名検索が増えた影響によるものとは言い切れませんが、指名検索が増えたことは間違いなく影響しているはずです。指名検索を増やすために行った5つの施策ここからは、指名検索を増やすことを狙って行った施策についてご紹介します。1. 商品名の変更まずは住宅会社の方が掲げていた商品名を、英語表記からカタカタに変更していただきました。クライアントの商品は英語表記であったため、読みづらく、検索しづらいものでした。今回はその点をアドバイスさせていただき、読みやすさ、覚えやすさ、検索しやすさを考慮してカタカナに変更しています。ただし、英語だった商品名がカタカナになるとイメージが一気に変わるので注意が必要でした。画像引用:トヨタマーク - トヨタ自動車 企業サイト参考までにトヨタ自動車を並べてみましたが、英語表記とカタカナ表記では見た目から感じる印象が大きく変わります。この事例からもわかりますが、カタカナにすることでスタイリッシュな印象から、若干、ポップな印象に変わってしまうことが多いです。そのため、クライアントのこれまでのブランドイメージを崩さぬように、商品名及び商品ロゴを変える必要があります。クライアントの商品名をカタカナに変更していただく際にも、その点に注意して、以前のイメージが崩れないようにしました。2. 商品名に興味を持ってもらうためにバナー広告を掲載Google広告やFacebook広告など、画像を中心とした広告は商品のターゲットとなる方の課題・悩みに触れた訴求が良く使われます。そうすることで「自分事」に捉えてもらいやすく、広告の反応が良いことが多いからです。またディスプレイ広告は検索広告と比較するとクリック単価が安価であることが多いため、同じ予算でも多くの人にみてもらいやすいです。クライアントの広告でも同様の考えを元に広告を運用していました。限られた広告予算の中で、商品を知らない多くの方に「この商品は私の悩みが解決されるかもしれない」と広告を見てもらいHPに誘導することで、お問い合わせや資料請求につなげることを狙っていました。しかし今回のディスプレイ広告では「商品名」に触れてもらうことを意識しました。具体的には、クリエイティブに商品名を大きく掲載して、その他の情報はほとんど入れないようにしました。ここからはあくまで仮説ですが...そういった広告にしたことで見込み顧客達の中で「あの会社はなんだろう?」「最近、{商品名}ってよく聞くな」「家を建てるなら{商品名}が有名だよね」となり、気になった方だけが商品名を検索(指名検索)してくれていそうです。実際にお問い合わせをしてくださった方にヒアリングをすると、「広告でクライアントの商品名をよく見ていたので、有名なのかと思って一度見に来ました」という方も多かったです。3. 商品名を忘れられないためにバナー広告を配信ターゲットの課題や悩みに向けた広告は、「商品を知らない初めての方」と「商品を知っているが購入に至っていない方」の両方に効きます。しかし商品名のみを掲載した広告は、多くの場合「商品を知っているが購入に至っていない方」に向けたものです。すでに別の施策で「商品を知らない初めての方」にリーチできている場合、CPA(顧客獲得単価)を悪化させる大きな原因は、見込み顧客に忘れられること、です。今回は商品を知ってくださった方に向けて定期的に商品名を掲載した広告を出すことで、忘れられることを防ぎ、指名検索の増加につなげました。4. キャンペーンやイベントを実施するキャンペーンやイベントの実施も指名検索の増加に影響がありました。開催のタイミングを逃すまいと、指名検索をしてくださり、ホームページ内でキャンペーンページを確認する。そんな動きをされる方が多かったです。顧客にとって有益なイベントあれば、興味をもってもらえる可能性がグッと上がるので、それに伴い企業や商品にも興味を持ってもらうことができます。5. 地域に特化したコンテンツを発信する工務店や住宅会社のような地域に根付いている企業の場合、商圏の中での認知度を上げていく必要があります。商圏内の方が調べるような情報を発信することで、おのずと地域内の認知度向上、および指名検索の増加につながります。具体的には以下の方法で発信をしました。Instagramで地域の情報を発信ブログで地域に関する情報(検索流入の増加を狙った記事)を発信商圏内に広告(記事コンテンツをランディングページとする)を配信する見込み顧客の方々に向けて、常に「検索エンジンで調べたら、いつも〇〇会社の記事がヒットする」「Instagramで調べたら、いつも〇〇会社の投稿がヒットする」といった状況を作ることで、自社の認知を上げていき、指名検索を増やすことにつながりました。まとめ今回、指名検索を増やすための施策や変化についてご紹介しましたが、どの施策も1ヶ月や2ヶ月だけ行ったわけではなく年単位で改善しながら取り組みを行なっています。また今回の施策を通じて指名検索を大きく増やすことができましたが、その要因は弊社がご支援したマーケティング施策だけでなく、クライアントが取り組んでいるその他の活動(営業、展示場、チラシ・DMの配布など)があってこその結果です。また指名検索を増やすことは非常に魅力的ですが、決して簡単なことではなく地道な努力の積み重ねも必要になります。これから指名検索を増やす取り組みを行う際は、どうか短期間で諦めず、長い目で実行していくことをオススメします。