弊社が支援しているクライアントでの検証結果についてご紹介します。今回は、Web広告における獲得単価改善に向けた検証について解説します。主にリマーケティング広告(追跡型広告)を用いた仮説の立案と実証を行いました。リマーケティング広告の成果改善に向けた事例もともとクライアント自身でWeb広告を配信をしていましたが、思うような成果が出ず、弊社にご相談をいただきました。前提と課題対象は以下の通りです。業種は不動産関連、マンションと戸建住宅を一般の方へ販売している会社です。コンテンツマーケティングやSNSの運用も行っていますが、Web広告のパフォーマンスがKPI(資料請求・お問い合わせ)に直結するため、Web広告のパフォーマンス改善が急務でした。クライアントはマーケティング施策のひとつとして、顧客の検討をサポートするためにリマーケティング広告(追跡型のディスプレイ広告)を出していました。しかし徐々に獲得単価が高騰していたため弊社にて改善を行いました。業種不動産関連コンバージョン地点資料請求・お問い合わせ対象とする施策リマーケティング広告(追跡型のディスプレイ広告)課題過去にコンバージョン獲得単価が15,000円前後だったものが、27,000円前後まで高騰していた。15,000円まで戻したい。今回は、この課題に対する仮説から実施施策、検証結果までの過程をご紹介します。課題に対する仮説もともとクライアント自身でリマーケティング広告を行っていまいたが、リマーケティング広告配信の対象は「ホームページを訪れたユーザー」のみとなっていました。そのためホームページを確認しながら以下の仮説を立てました。ニーズに合わせた広告配信ができていない対象のホームページを見ると”マンション”や”一戸建て”のように商品別にページが用意されています。このときに「ホームページを訪れたユーザー」という括りで広告配信対象者のリマーケティングリストを作成しても、広告配信の効率が悪くなるのは当然です。なぜなら、ホームページに訪れるユーザーは「住まい探し」という目的は一致しているものの、「マンションを探している人」「戸建てを探している人」など、詳細なニーズは異なるからです。(より細かいニーズに細分化していますが、本記事では割愛します)それらのニーズをまとめて、その方々に広告を配信しても、広告の訴求力は弱いでしょう。ニーズ毎に広告配信対象者(=リマーケティング用のリスト)を分けることで、コンバージョン獲得単価は改善すると考えました。仮説に対して行なった施策上記の仮説をもとに、以下の調整を行いました。1. ニーズ毎のリマーケティングリストを作成するマンションページを見てから離脱したユーザー、一戸建てページを見てから離脱したユーザーなど、それぞれのページを離脱したユーザー毎にリストを作りました。2. ページを離脱した理由を洗い出すそして次に、それぞれのページを離脱した理由を洗い出します。たとえば新築マンションの個別ページから離脱したユーザーは、以下のような離脱理由が考えられます。希望の間取りのマンションがなかった希望の立地にマンションがなかったまだ探し始めたばかりだから離脱する理由は決して1つや2つではないので、なるべく多く洗い出します。洗い出した後に、ページに不足している情報(=顧客が知りたかったのに、載っていなかった情報)があればHP内に掲載するように段取りしました。3. ニーズ毎のリストに対して、離脱理由に合わせた広告を配信各ページから離脱した理由を洗い出し、それぞれの理由に合わせた広告を作成します。そして離脱理由に合わせた広告を作成して、広告を配信しました。施策から得られたデータ上記の改善をおこなった結果、以下のような結果が表れました。獲得単価獲得率改善前26,888円0.57%改善後8,382円1.19%得られたデータを基にした考察あくまで今回のケースでの結果のため、すべてのケースに当てはまるわけではないですが、このような結果となりました。この結果をもとに以下のように考察しました。ニーズを細分化して広告配信を行うことで費用対効果を改善できる獲得単価及び獲得率が大きく改善したのに加えて、広告のクリック率も大きく改善しました。この結果から「住まい探し」というニーズは、さまざまなニーズの集合体であり、ニーズをセグメントせずに広告で狙っても、顧客には響かないとわかりました。リマーケティングリストが機能する最小限までニーズを細分化し、広告配信を行うことで、費用対効果を高めることができそうです。離脱理由に対して抜け漏れなくコンテンツと広告を準備しておくとこと顧客がホームページから離脱したのには理由があるはずです。課題が解決された可能性もありますが、知りたい情報が掲載されておらず離脱した可能性もあります。そういった理由を洗い出し、解決した人には次のステップを、知りたい情報が掲載されておらず離脱した人には、コンテンツを追加して広告で再度お知らせすることで、広告の効果を改善することができます。離脱理由の洗い出しには、以下の方法などがあるため、取得したデータや状況に合わせて適宜探し続ける必要がありますね。カスタマージャーニーマップを見ながら仮説を立てる個別ページ内で不足している情報を探す競合のホームページと見比べてみるさいごに基本的な改善ではありますが、これだけでも広告のパフォーマンスが大きく変わりました。すべてのリマーケティングリストをニーズ毎に分けるのが正しいわけではないのですが、運用者が忙しく、ニーズをひとまとめにしてリマーケティング広告を配信している場合は、少し時間をとってリストを分けるだけでもパフォーマンスが改善するかもしれません。注意:以下の事例は私たちの状況に基づくもので、全てのケースに当てはまるわけではありません。