集客や採用の中でよく使われるインタビュー記事。私たちは、マーケティングにおけるインタビュー記事の役割は大きくまとめると、以下の4つだと考えています。見込み顧客の「不安の解消」サービスや組織を「具体的にイメージさせる効果」稟議を通すための「説明資料」「人材の獲得」への貢献役割が明確になっている記事となっていない記事では、パフォーマンスが大きく変わります。闇雲に書いた記事ではなく、事前に役割を明確にし、それに合わせたインタビュー内容、記事構成にすることでより良いインタビュー記事となるでしょう。見込み顧客の「不安の解消」顧客が仕事を依頼する前には、さまざまな悩みや不安があるものです。こうした不安を解消するために、インタビュー記事が有効であることがあります。たとえば、ある製造業者が自社工場に導入する機械を作りたいと考え、機械製造が得意な企業に発注を検討している場合を考えます。このとき、製造業者の担当者は、ホームページを閲覧し、他社と比較した上で、信頼できると納得した企業に問い合わせをします。しかし、この前に担当者は不安を抱えています。たとえば、以下のようなものです。私たちとの相性(担当者の相性、企業文化の相性、業務の進め方の相性など)は大丈夫だろうか?変な会社だったらどうしよう...。私たちの業界への知見やノウハウはあるのかな?商品ページは良いことが書いてあるけど...使った人の声が聞きたいなあ。いくら詳しいサービス紹介ページや製品紹介ページを用意しても、そこで解消できる顧客の不安は、さまざまな不安のほんの一部。インタビュー記事はそれぞれの不安の解消に貢献するように準備しなくてはなりません。インタビュー記事を作成する際の3ステップ顧客の不安はさまざまです。たとえば、相性、実績、担当者、費用、クオリティなど。一つの記事で全ての不安を解消することはできないので、まずは一つの記事で一つの不安を解消することを目指しましょう。私は、以下のプロセスで進めることをお勧めします。顧客の不安を仮説立てる(またはヒアリングして洗い出す)。それぞれの不安を解消した、自社での事例を探す。その不安の解消をテーマにしたインタビュー記事を作成する。たとえば、機械製造が得意なB社のマーケティング担当者として、「顧客の不安」を調査したところ、以下の4つを見つけました。私たちとの相性は大丈夫だろうか?変な会社だったらどうしよう...。私たちの業界への知見やノウハウはあるのかな?商品ページは良いことが書いてあるけど...使った人の声が聞きたいなあ。これらの不安を解消するために、以下のような事例を探し、インタビュー記事を作成しましょう。1.「私たちとの相性は大丈夫だろうか?」という不安に対して、既存クライアントから相性の良い会社と合わなさそうな会社を語ってもらう記事を作成しましょう。2.「変な会社だったらどうしよう...。」という不安に対しては、社会的信用力のある会社との取り組み事例や、誠実な対応が評価された事例を記事にしましょう。3.「私たちの業界への知見やノウハウはあるのかな?」という不安に対しては、業界毎の成功事例を記事にしましょう。4.「商品ページは良いことが書いてあるけど...使った人の声が聞きたいなあ。」という不安に対しては、売上の変化や、生産性の変化、業務効率の変化などファクト(事実)となるデータをもとにした事例や、実際に使用した方の動画インタビューを作成しましょう。ポイントは、ターゲットとなる企業の担当者が読んだときに「あ、これは我が社の悩みと一緒だ!しかもそれが、この会社で解決されているぞ!」となるかどうか、です。そのためにも「検討中の顧客は、どんな不安を抱えているのかを仮説を立てる」という最初のステップが、インタビュー記事作成においては非常に大切になってきます。サービスや組織を「具体的にイメージさせる効果」インタビュー記事は、客観的な視点からサービスや組織を見るきっかけとなります。そしてその視点を得ることによって、抽象的なサービス(や組織)を具体的に理解できるという効果があります。世の中のサービスは「Aを使ってBを解決する」という分かりやすいものばかりではありません。サービス紹介ページを見ても「何を使って、何を解決してくれるの?」と、いまいち理解できないものも多いはず。そういった抽象的なサービスや商品を、より具体的に伝えるときにインタビュー記事は役立ちます。また自社の従業員に転職理由や入社秘話などを語ってもらうインタビュー記事は、求職者にとっても役立ちます。応募先の会社の情報を探す際には、募集要項だけでは限界があります。そのため、従業員のインタビュー記事を読むことで、会社の雰囲気や働き方、社風などを知ることができます。このような情報は、採用活動において応募者にとって非常に重要であり、採用活動の成功につながるポイントとなります。見込み顧客が聞きたいことを、代わりに聞くサービスのイメージを具体的に伝えるためには、見込み顧客が抱える疑問や関心事を代弁して聞き、それらを元にインタビュー記事を作成することが重要です。ただし、インタビュアーが自分が知りたいことばかりを質問してしまうと、読者にとってつまらない記事になってしまいます。そこで、インタビュアーは「見込み顧客が聞きたいことを、自分が代わりに質問する」というスタンスでインタビューを進めると良いでしょう。そうすることで、読者の興味を引きつけるような具体的なインタビュー記事を作成することができるはずです。稟議を通すための「説明資料」インタビュー記事は、稟議を通すための「説明資料」として活用されることがあります。たとえば、自社サービスを検討している顧客企業内で、サービスを利用するにあたって担当者Aが上長Bに対して稟議を通す必要がある場合です。この時、担当者Aは自社の課題や要望、目標などをもとに、適切な依頼先を選定します。その際、担当者Aがインタビュー記事を見つけ、その中で類似の事例があった場合、それが自社の課題や求める成果と一致していれば、その依頼先を選定する上での根拠として活用できます。その後、担当者Aは上長Bに対して、依頼先を選定した理由やその依頼先が自社にどのような価値をもたらすかを説明します。この際に、担当者Aがインタビュー記事を活用することで、自社の課題や目標と一致する具体的な事例を示すことができ、上長Bに納得してもらいやすくなります。依頼先選定に必要な視点とポイントまた、上長Bは最終的な決定権を持っています。しかし、担当者Aが依頼先を選定する上で重視するポイントと、上長Bが決定する際に重視するポイントは異なる場合があります。たとえば担当者Aが気にするポイントとしては、以下のようなものが考えられます。提供している商品やサービスが、自社の課題や要望、目標に合致しているか依頼先の信頼性や実績、人材との相性コミュニケーションややりとりのしやすさ提案内容が、予算やスケジュールに合致しているか一方、上長Bが気にするポイントとしては、以下のようなものが考えられます。依頼先の商品やサービスのコストパフォーマンス依頼先の商品やサービスが、自社の戦略や目標とフィットしているか契約内容や納期などの条件が、自社の予算やスケジュールに合致しているか自社の法的な要件や基準に合致しているか依頼先の商品やサービスが、自社の顧客ニーズに合致しているかただし、こうしたポイントは、業種や企業規模、業務内容によって異なります。しかし担当者Aと上長Bは、自社の状況に応じて、それぞれの視点から適切なポイントを考慮して選定しなければならないため、それぞれの意思決定に貢献するような要素をインタビュー記事の中に記載しなくてはなりません。「人材の獲得」への貢献インタビュー記事は、ターゲットとなる見込み顧客だけでなく、同業他社も見ていることがあります。自社のサイトに掲載された面白いインタビュー記事/素晴らしいインタビュー記事は、同業他社にも参考にされています。他社の優秀な人材が、自社のインタビュー記事を勉強のために読むようになるかもしれません。そして、より高いレベルで働きたいという気持ちが芽生えた時、常に参考にしている自社が、転職先として真っ先に浮かぶ可能性があるでしょう。つまり、魅力的で参考になるインタビュー記事を作成することは、より優秀な人材を自社に引きつける手段となるのです。お客様インタビュー記事が「転職の意思決定」に貢献する。たとえば、Aさんは自分のスキルやキャリアアップのために転職を検討しているとします。彼は転職先として候補となる企業を探している中で、従業員の声が掲載されているインタビュー記事を発見します。その記事を読んで、実際に働いている社員の声を聞くことができ、企業の雰囲気や文化、福利厚生などについて具体的にイメージすることができます。そして、自分が転職先として選ぶかどうかを判断する上で、参考にすることがあるはずです。一方、Bさんは、同業他社のインタビュー記事を参考にして勉強していたとします。ある時彼女に、「もっとレベルの高い環境で働きたいな」という気持ちが芽生えたとします。そこで、いつも参考にしていた会社のウェブサイトを訪れ、その企業の従業員インタビュー記事を読みます。その記事を通して、彼女は自分が望むような高いレベルの環境にいる人たちの声を聞くことができ、転職のきっかけとなることがあります。このようにお客様インタビューも、採用活動のアシストとなることがあるのです。集客ばかりに目がいきがちなお客様インタビュー記事ですが、採用にも貢献することを知っておいて損はないでしょう。まとめインタビュー記事を作成する際には、よく見る「顧客の売上〇%UP!!」といった内容にする必要はありません。成果を紹介することは大切ですが、それだけにとらわれず、多様な切り口でインタビュー記事を作成することが重要です。なぜなら、1つの切り口だけで記事を作成しても、リーチする人数は限られているからです。より幅広い読者層を惹きつけるためには、多様なテーマで記事を提供することが必要です。切り口を変えてインタビュー記事を作成することで、自社のサービスを知る機会を増やし、多くの人々に興味を持ってもらうことができます。それにより、顧客獲得や認知度の向上、人材獲得、業界内の影響力の向上につながるでしょう。こちらのクライアントは、私たちとインタビュー記事を制作して、インバウンドマーケティングの1施策として活用しました。それだけの影響ではないですが、ご支援から約1年で、資料請求数が約3倍、売上は2倍以上に増加しました。インタビュー記事をご検討中の方は、ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。関連記事:「ニッチ商品でも、知恵を絞ればマーケティングで成果を出せる」予想外の提案から始まり、売上が2倍以上に伸びた取り組み