季節の変化に伴って気温、天気、景色、イベントなどあらゆるものが四季を通して変わります。同じ商品でも季節によって需要や用途が変化するため、その変化を加味した上で広告戦略を考えることでより効率的な広告配信ができます。また季節による需要の変化は、市場全体の変化や経済的な変化に比べて予測しやすいため、季節に合わせた企画や広告で訴求する内容を含めた中期的な戦略を立てることできます。今回は、季節によって顧客の何が変化し、顧客の変化によって広告媒体をどのように使い分けていくのかを、具体的な施策イメージを交えながら解説します。季節によって変わる、購買意欲や行動に合わせてアプローチ方法を考えよう季節の変化によって気温や天気などが変わりますが、それによって顧客行動にどのような影響があるのかを考えていきたいと思います。購買意欲の変化季節の変化によって購買意欲が変わります。たとえば「熱くなってきたからエアコンを買い替えたい」「寒くなってきたからダウンジャケットが欲しい」など気温の移り変わり伴って購買意欲が変化します。そもそも欲しいと思っていなかったが、気温の変化をきっかけに購買意欲が一気に上ることはよくある事例です。それだけなく、季節の変化によって感情そのものが変化する場合があります。たとえば、秋や冬になると何故か寂しくなる経験はありませんか?人肌が恋しくなったり、家に帰って誰もいないと孤独感を感じたり...。そういった感情の変化から人が多く集まる場所へ行きたくなったり、結婚願望が芽生えたりと、さまざまな感情の変化をもたらします。行動の変化季節の変化は、内面的な変化を生み出すだけでなく行動にも影響を及ぼします。たとえば季節ごとの、行事やイベントによるものです。「お正月の帰省」「春の入社、入学、転勤」「夏の長期休暇」「秋のハロウィン」「冬のクリスマス」など、季節ごとのイベントは人の行動に大きく影響します。また購買行動だけでなく、情報収集方法にも変化が現れます。たとえば服を購入する場合です。少し肌寒くなってきた時期は、Instagramや雑誌などの画像中心の媒体で冬服のイメージを膨らませます。しかし本格的に寒くなったタイミングでは、ZOZOTOWNなどのECサイトや実際の店舗を利用し、商品についてより具体的な情報収集を行います。このように季節の変化をきっかけに実際の行動変化だけでなく、情報収集方法も変わっていく場合があります。マーケティング施策を考える際は、そういった行動の変化、情報収集方法の変化に合わせることも忘れてはいけません。購買意欲と行動の変化を予測して、最適なアプローチを考えることが重要「季節の変化に伴う顧客の変化」に合わせて販売活動やマーケティング施策を行うことを、「ウェザーマーチャンダイジング」と言います。「今日は猛暑日になるから、ビールののぼりを“ビールがキンキンに冷えてます“に変えよう」という、気温や天候に合わせた販促の変更などが、それにあたります。広告戦略においても「季節の変化に伴う顧客変化」を予測して柔軟にアプローチを変えていくことが必要です。そしてもう一つ重要なのが「顧客が想起するよりも一歩早く広告を出す」ということです。「暑い→冷えたビールが欲しい→来店」と理想的な行動変化を期待するのではなく「暑い→ビールが飲みたくなる販促→暑いときに飲む冷えたビールの味を思い出してもらう→来店」というように、販促を通して「顧客の過去の幸福度の高い体験」を思い出しもらう必要があります。顧客の変化を待つのではなく、広告によって想起してもらえるような打ち手(行動を促進するような、変化させるような打ち手)が必要になってきます。季節や時期による変化を確認する方法季節や時期による顧客行動の変化はどのように予測すればよいのでしょうか?変化を捉えるために必要な情報収集方法をご紹介します。今回は主にネットを使った情報収集方法に絞って解説をします。GoogleトレンドGoogleトレンドは、Google社が提供している検索回数の推移をチェックできるツールです。検索回数はユーザーの関心の高さと概ね比例するため、月ごとの検索回数推移を調べることで関心が高まる時期を把握できます。たとえば「エアコン」と入力すると以下のような結果になります。5月下旬から徐々に上がり始めて6月末から7月上旬がピークであることがわかります。GoogleアナリティクスGoogleアナリティクスは、Google社が提供する無料のアクセス解析ツールです。ホームページなど自社のWebサイトを持っている方に限った調査方法になりますが、Googleアナリティクスを使うことで商品の時期的な需要をつかむことができます。月ごとのセッション数、訪問ユーザーの数、コンバージョン数の推移を年間を通してみることで、繁忙期や閑散期がある場合はハッキリとグラフに現れます。ただし、そもそもホームページのアクセス数が少ない、ホームページで発信しているテーマがバラバラという場合は、正しく把握することができないため注意が必要です。TwitterモーメントカレンダーTwitterモーメントカレンダーとは、Twitter社が無料で提供しているイベントカレンダーです。Twitterで話題になりそうなイベントや、前年度話題になったトピックが記載されており、変化の予測をするためには非常に便利なツールです。たとえば6月には「梅雨」に関するツイートが増え「アート」や「ゲーム」など室内で楽しめるトピックに関心が集まることがわかります。このように事前に把握できていれば、イベントやトピックに関連させた広告を予め準備することができます。統計調査サイト政府が運営している統計サイトや、大手企業が提供している統計サイトなども、需要の変化をつかむことに役立ちます。業界全体の繁忙期や閑散期など季節との相関をマクロ視点で調査するには便利なツールです。有料で公開している統計データもありますが、政府運営のサイトでは、ほぼ全て無料公開しているので活用してみると良いでしょう。調査ツールをまとめた記事を公開していますので、気になる方は以下の記事も合わせてご覧ください。関連記事:【マーケティング活動のお供に】私たちがよくお世話になっている「オススメ市場調査サイト18選具体的な施策のイメージ(タイヤ交換)では、具体的にどのようにして季節に合わせた媒体を選んでいくのか「タイヤ交換」を例に解説します。タイヤ交換は冬にスタッドレスタイヤへの交換、春先にノーマルタイヤへ交換があり繁忙期は年に2回あります。Googleトレンドで「タイヤ交換」と入力すると、検索需要の傾向として11月下旬から12月上旬が一番大きく跳ね上がり、次いで3月下旬から4月初旬に需要が上がることがわかります。このように関心が高まっていく時期を把握することができたら、関心が上る前、上がり途中、ピーク時それぞれのタイミングに合わせて広告媒体や訴求内容を考えます。少し肌寒くなり始める時期少し肌寒くなり始める時期では、まだタイヤ交換の意識は高まっていないでしょう。意識が高まってない状態では、検索や来店など具体的な行動に現れる可能性は低いため、広告主側から必要性を思い出してもらう必要があります。また、どのようなシーンでタイヤが必要になるのか、どのような人にタイヤ交換が必要になるのかを考えることで広告戦略のヒントになります。Instagram広告にて一足先にタイヤ交換が必要になる人へアプローチスキーやスノーボードを行う場合、山岳地帯へ行く必要があります。標高が高い地域は都市部よりも早く雪が降るため、一足先にタイヤ交換が必要になります。冬の本格シーズンが来る前の段階ではInstagram広告を配信するのも良いでしょう。上記の画像は、Googleトレンドで「スキー」と入力したデータになります。スキーやスノーボードを考え始めるのは本格的な積雪シーズンよりも少し早く、10月あたりから検索ボリュームが増えていることがわかります。Instagram広告のインタレストターゲティングは、ユーザーが持つ興味関心をもとにターゲットを絞ることができます。下の画像のように「スポーツ・アウトドア」→「スキー(スキー・スノーボード)」に興味を持っている方に配信設定ができます。このようにして、うまくターゲティングと広告画像を組み合わせて「スキーへ行くためにはタイヤ交換が必要」ということを早めに思い出してもらうことでリードに繋がるかもしれません。Instagram広告について詳しく知りたい方は以下のブログも合わせてご覧ください。関連記事:Facebook広告とは?特徴や成果を出すためのポイントについて徹底解説 Twitter広告キーワードターゲティングで特定のユーザーへアプローチTwitterの特性としてリアルタイムな情報をキャッチアップできるという側面があります。Twitter広告には年齢や性別などを特定するターゲティング以外に、ユーザーのツイート内容や検索クエリを特定して配信するターゲティングもあります。「タイヤ交換」「スキー」「雪」などのキーワードを設定することで、Twitter内で指定した語句を検索している、もしくは指定した語句を含むツイートした人に対してアプローチ出来ます。タイヤ交換をする前の人は、どのようなツイートや検索をするのか考えながらアプローチしましょう。緊急度が上がってくる時期タイヤ交換が実際に必要になってくる時期は、年末年始の里帰りやレジャーでしょう。12月に入ると急ぎで交換をする人が現れるため、検索ボリュームが一気に跳ね上がります。検索連動型広告世の中の方々の必要性が高まれば、必然的に検索する方も増えてきます。そのタイミングではGoogle、Yahoo!の検索連動型広告に広告配することで、関心がかなり高まっているユーザーにアプローチできます。「タイヤ交換」「タイヤ 比較」など情報収集を目的としているようなキーワードよりも「タイヤ交換 持ち込み」「タイヤ交換 ◯◯市」「タイヤ交換 即日」に出すことが良いでしょう。具体的に検討している状態だからこそ現れるようなキーワードへ優先的に配信します。その際に使用するランディングページは、メリットを明確にし伝わりやすくしておくことで、そのままお問い合わせに繋がる可能性が上がります。キーワードの選び方については詳しく知りたい方は、以下の記事を合わせてご覧ください。関連記事:【キーワード選びでお困りの方へ】リスティング広告で欠かせない、キーワード選びで大切なことリマーケティング広告すでに交換することは決まっているけど「タイヤが決まっていない」「交換できる日程が決まっていない」「交換する会社が決まっていない」など見込みが高く検討中のユーザーに対してはリマーケティング広告が有効でしょう。リマーケティング広告は、自身のWebサイトに訪れたものの購入せずに離れてしまったユーザーに対しても広告配信ができます。そのため「交換することは決まっているが、いつどこでするか決まっていない」という購買意欲が高いユーザーへアプローチできます。まとめ季節の変化に合わせた広告媒体の選び方について解説しました。冬はInstagramが良い、春はTwitterが良いというお話ではなく、あくまで顧客の意識や行動分析に基づいて選ぶ必要があります。また、ターゲティングを絞りすぎることで配信ボリュームが極端に小さくなり、機会損失に繋がる可能性があるため、ボリュームを確認しておくことが大切です。ずっと検索連動型広告だけ出しているが成果が上がらない」「他媒体を試してみたいけど、どのような基準で選ぶのかわからない」という方は、季節の変化によって顧客の気持ちや行動がどのように変わるのかを見極めた上で、媒体を決めていただくことが良いと思います。