TikTokの登場やYouTube ショートの登場をきっかけに、縦型のショート動画を視聴する機会が増えました。そして、それに合わせてフルスクリーンで見れる縦型動画広告を見る機会もずいぶん増えたと思います。以前から動画広告は、YouTubeやInstagramなどでたびたび見かけていましたが、いずれも横型の動画広告が中心でした。しかしフルスクリーンでの動画視聴が当たり前になってきた現在では、縦型動画広告の重要性が増しており、大手企業をはじめフルスクリーン用の縦型動画広告を配信する企業も増えています。本記事では縦型動画広告とはそもそもどんな広告なのか、縦型動画広告を配信できる主要媒体の特徴について解説します。縦型動画広告とは?縦型動画広告とは、スマートフォンを縦にした状態の画面にフィットした動画広告です。YouTube ショートやTikTokを見ていると、フルスクリーンで再生される広告用の動画で、ショート動画の流行に合わせて登場した広告です。縦型動画広告は「9:16」の縦横比が一般的なサイズで、「16:9」の縦横比である横型の動画と比べると、スマートフォンに適した広告形式といえます。画像引用元:第5回 スマートフォンの動画視聴実態 - モバーシャル株式会社またモバーシャル株式会社が行った「スマートフォンの動画視聴実態調査」によると、スマートフォンを使用している20代のうち、およそ4割が縦向きのみでWeb動画を視聴しているという結果になっています。縦型動画は、若年層に多く見られている動画フォーマットであり、さらにその中でも3割近くは縦型向きのみの動画を視聴しているため、縦型動画および縦型動画広告はこれからのマーケティングでも重要な位置付けといえるでしょう。縦型動画広告の3つのメリット縦型動画広告ならではの3つのメリットについて解説します。メリット1. 没入感のある広告が作れる没入感とは、他のことが気にならなくなるほど意識を集中している感覚です。動画広告は構成や動画のクオリティによって、没入感を上げることができ、広告に集中してもらうことができます。ショート動画で”なぜか手を止めて見てしまい、気づいたら1分間夢中で視聴していた”なんて経験はありませんか?縦型動画の場合、スマートフォン画面のほとんどがその動画で埋め尽くされ、他の情報が遮断されているため、他の動画フォーマットと比べると没入感が強くなる傾向があります。スキップされがちな広告も、面白く興味を引く動画として届けることができれば、集中して最後まで視聴してもらえる可能性が上がりますね。メリット2. 短い時間で多くの情報を伝えられるまずは短い時間で多くの情報を伝えられるというメリットがあります。映像にすることで、臨場感、雰囲気、効果音など静止画では伝えられない情報を伝えることができ、商品の情報を1つでも多く届けたい広告主にとっては嬉しい広告フォーマットです。またアメリカの調査会社のForrester Research社のJames L. McQuivey博士によると「1分間の映像には、文字情報に換算して180万文字分の情報量がある」と研究の結果からわかったそうです。参考:「Is 1 Minute of Video Really Worth 1.8 Million Words?」Bold Content Videoメリット3. 興味がない人の目にも止まりやすい縦型動画広告は、商品に対してまだ興味をもっていない人に対しても見てもらいやすいという特性があります。つまり認知を広げるための施策としては非常に適したフォーマットといえるでしょう。縦型動画広告は、広告以外の動画に挟まれて出てくるため、興味をまだ持っていないユーザーにもスクロールしていると必ず広告に触れることになります。興味を惹くような掴みを動画広告として届けることができれば、そのまま続きを見てもらえます。また昨今では、通常の動画コンテンツに似せた広告動画にすることで、広告感を減らしてスキップされないようにする手法も取り入れられています。縦型動画広告が配信できる媒体は?縦型動画広告は、さまざまな媒体で配信することができます。TikTokやinstagramなどショート動画が見れる媒体には、ほとんど広告配信ができるといってもいいでしょう。ここからは媒体別の特徴について解説します。Google 広告(YouTube ショート)画像引用元:日本版 YouTube 公式ブログYouTube ショートは、2021年7月にリリースされた短編動画を作成して投稿できる機能です。ショート動画が投稿できるようになったの2021年ですが、既存のアクティブユーザーが多かった影響もあり、YouTube ショートのアクティブユーザーは2022年10月時点で15億人を超えています。参考:登録者 10 万人以上のチャンネル数は前年比 30% 増で 7,700 超、コネクテッドテレビや YouTube ショートなどシーンが広がる - Think with GoogleYouTubeはさまざまなフォーマットで動画広告を配信できますが、YouTube ショートは次のフォーマットにて配信が可能です。スキップ可能なインストリーム広告スキップ不可のインストリーム広告バンパー広告アウトストリーム広告画像引用元:動画広告フォーマットの概要 - Google 広告 ヘルプ主にYouTube ショートの動画と動画の間に配信がされます。初期には手作り感満載の動画広告が多かったですが、いまでは非常に美しい映像で作成された動画広告も増えていますね。TikTok広告TikTokは2021年の段階で月間アクティブユーザー数は世界で10億人を突破し、2023年現在ではさらに増えています。縦型動画を視聴する媒体としては最も勢いがある媒体といえます。ユーザー層は、10代の62.4%、20代の46.5%と若者が中心の媒体ですが、視聴者層は年代関係なく幅広く利用されています。参考:令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書TikTok広告は媒体資料でも言われている通り「TikTokの広告は楽しんで⾒られている」という点が特徴といえます。クスッと笑ってしまうような面白い広告やティックトッカーが普段投稿しているコンテンツに溶け込むような広告が多いのも特徴です。画像引用元:Media Guide 2023 Q3|TikTok for BusinessLINE 広告(LINE VOOM)LINE VOOMは、主にショート動画を投稿したり閲覧できる機能です。もともとは「タイムライン」というテキストで近況をシェアする機能でしたが、2021年秋にリニューアルされ「LINE VOOM」となりました。月間ユーザー数9,500万人(2023年3月末時点)と多くのユーザーが利用するLINEアプリ内にある機能です。LINE 広告で縦型動画を配信すると、LINE VOOM のほか LINE NEWS やパートナー枠にも表示されます。参考:LINEのユーザーはどんな人? - LINEキャンパス関連記事:LINE VOOMとは?LINE公式アカウントから投稿する方法や機能について解説Meta 広告(instagramリール、ストーリーズ)Meta広告の管理画面から広告配信の設定をすることで、Instagramのリールとストーリーズに縦型動画広告を配信することができます。Instagramのリールだけでなく、ストーリーズにも縦型動画広告が配信できるため、配信面での検証ができるようになります。いずれもフルスクリーンで配信することができ、一般的には15秒~60秒間までの長さで作成されます。最近では、Amazonと提携してよりショッピングしやすい媒体になっており、今後ますますinstagramで広告配信することの重要性が増してくるかもしれません。関連記事:Instagramリールとは?作り方・投稿方法から活用メリット、3つのコツまで解説縦型動画広告の作成ポイント縦型動画が流行っているからといって、むやみに縦型動画を作って広告配信をしても効果は出ません。ここからは作成時に意識すべき3つのポイントについて解説します。ポイント1. 冒頭でつかみとなるフレーズを入れる動画広告は、冒頭でつかみとなるフレーズをいれることが重要です。とくに縦型動画広告はどんどんスクロールして進んでいくような配信面なので、よりスキップされやすい広告です。そのため、冒頭の一瞬で手を止めてもらえるような掴みとなるフレーズをいれることで、視聴時間を伸ばすことに繋がります。たとえば、冒頭に「みなさん!知っていますか?」などのフレーズで注意を引いたり、動画のメインとなる部分を冒頭に持ってくるなど、最初の数秒に力をいれることで視聴時間が伸び成果に繋がりやすくなります。ポイント2. テキストを入れて興味を惹く動画だからといって、音や動きなどですべて伝わるわけではありません。音無しで動画を見ているユーザーもいますし、状況によっては上手く聞き取れない可能性もあります。上の写真のようにナレーションと合わせてテキストを入れることによって、認識できる情報量が増えて、潜在的に興味を持っているユーザーに届くようになります。テキストとBGMだけの動画広告でも十分効果はあります。ポイント3. セーフティゾーンを意識する縦型動画広告を配信する場合、各配信面のセーフティーゾーンを意識する必要があります。セーフティゾーンとは、動画内のテキストがクリエイティブにおいて広告のボタンなどと被らないようにするためのエリアを指します。画像引用元:ストーリーズとリールの広告のテキストオーバーレイとセーフゾーンについて- meta ビジネスヘルプセンター商品の重要な箇所や伝えたい情報は、見切れずに必ず表示される場所にテキストを置きましょう。また媒体によってこのセーフティゾーンが異なるため、適宜確認することを推奨します。まとめSNSやSNS広告にこれから力をいれていく場合、縦型動画および縦型動画広告の存在は無視できない存在となっています。しかし、ただやみくもに動画フォーマットへ変えただけでは、当然成果には繋がりません。各企業の研究や基礎的なポイントをしっかり抑えて、なおかつ配信しながらチューニングすることで成果に繋がる動画へと昇華します。今回の記事が縦型動画広告配信の参考になりましたら幸いです。