「過去につながった顧客とのやりとりが全くない」「見込み顧客からの成約率が上がらない」このような悩みを抱えているのであれば、自社の商品・サービスの「顧客管理」を検討するタイミングかもしれません。ユーザーの行動がより複雑になっているいま、顧客管理の重要性はより高まっています。顧客管理を出来ていない、ExcelやGoogle スプレッドシートを使って管理をしている、など企業によって管理状況はさまざまだと思います。本記事では、顧客管理の手段や顧客管理ツールの選び方まで広く解説させていただきます。企業のマーケティングを担当している方はぜひ参考にしてください。顧客管理とは?顧客管理とは、顧客の氏名や連絡先、取引履歴などの顧客に関するあらゆる情報を管理することです。また、それだけにとどまらず顧客との関係をマネジメントし、企業と顧客との間に信頼関係を作り出すことも役割のひとつです。だからこそ、顧客の基本属性などはもちろんの事、「どういったコミュニケーションをとったのか?」「どのような購買履歴や検討期間があったのか」といった様々な行動の履歴も記録管理する必要があります。しかし、顧客の数が増えれば増えるほど、管理する情報は膨大になり人力では管理しきれなくなります。そこで登場したのが、効率的かつ多角的に顧客を管理し、ひとりひとりの顧客像を明らかにするための顧客管理ツールです。ツールに関しては後ほど詳しく解説します。顧客管理をする重要性とはここからは顧客を管理する重要性について解説します。突然ですが、次の質問を考えたときに、どのような答えが思い浮かびますか?あなたの会社の新規顧客にはどんな特徴がありますか?購買に到るまで顧客はどのようなステップや行動をとっていますか?顧客ひとりあたりの平均購入回数は何回くらいですか?すべてを完璧に把握する必要はありません。しかし顧客管理を実践していくと、このような価値ある情報が明確になり、顧客の解像度が高くなります。顧客の解像度が高くなるとどんなメリットがあるのか、3つあげてみます。メリット1. 顧客獲得のコスト削減につながるせっかく獲得した見込み顧客も放置してしまっては機会損失につながります。見込み顧客とコミュニケーションを取ることで、自社をより詳しく知ってもらえたり、商品について興味・関心を持ってもらいやすくなります。そうすることで信頼関係ができあがり、新たな見込み客を増やしていくよりも効率的な顧客獲得につながる可能性があります。メリット2. 顧客満足度を上げてLTV向上につながるサブスクリプションや定期購入を前提としたビジネスにおいても、顧客は全員が同じように満足して続けてくれるとは限りません。たとえば、商品にとても満足していて、新商品に期待している顧客もいれば、解約や乗り換えを考えている顧客もいます。それぞれ顧客の状態が違う中で、新商品情報ばかりのメルマガを送り続けたり、不要な情報を送り続けてしまい満足度を下げる可能性があります。顧客管理で購入履歴やアンケート履歴などを管理することによって、全体のニーズはもちろんの事、傾向の近しいグループ単位、また個人単位でのパーソナライズされたアプローチも可能になります。既存顧客の満足度を上げていく事は中長期的な売上拡大のためには必須です。メリット3. 売上や案件進捗の見通しが立てやすくなる顧客に関する情報を蓄積していくと、顧客の購買行動や傾向も見えるようになります。データを元に購買行動の予測ができるようになり、不要な在庫を抱えてしまうことや、販売における機会損失をぐっと減らせるはずです。顧客のどんな情報を管理するのか顧客管理とは、どんな情報を管理するべきなのか解説します。顧客の個人情報(企業情報)BtoCであれば、氏名、年齢、性別、住所、電話番号、誕生日、メールアドレス、SNSやアプリアカウントを基本として、家族構成や趣味趣向なども充実できるとなお良いでしょう。BtoBであれば、会社名、代表者名、業種、事業内容、電話番号、メールアドレス、資本金、従業員数、上場/非上場、決算月、ホームページURL、担当者情報などを管理します。コミュニケーション情報ここでいうコミュニケーション情報とは、顧客と接点を持った履歴を指します。顧客との連絡履歴、商談状況、問い合わせ日時、アンケート結果など。画像引用元:顧客管理ツールを使ったコミュニケーション情報管理の例 - HubSpot for WordPressイベント来場や訪問など、接点をもつ機会が複数あれば、接点をもつカテゴリで分類する事で効率の良いアクションが明確になります。契約・購買情報購入日、購入金額、購入数、購入商品、支払い方法を基本として、サブスクリプションサービスであれば契約更新日や解約日、Web集客であれば集客媒体などを管理するのもおすすめです。これらの情報をもとに、LTV向上のためには、どのようなアクションが最適なのか検討することができます。顧客管理にはどんな方法があるのかいざ顧客管理実践へ!となったものの、どんな手段があって、どれが自社に合うのかは迷いどころです。「お金をかけずに導入したい」「お金をかけてもより質の高い管理をしたい」「人的な管理に限界がきていて、ツール導入を検討したい」「ipadやスマホなどで現場でもアクセスしやすいようにしたい」などニーズに合わせて選定のポイントをご紹介します。アナログでの管理名刺や顧客台帳での管理や、Excelやスプレッドシートなどの表計算ソフトでの管理方法です。アナログでの管理はツールに支払うコストは大幅に削減できるので「お金をかけずに導入したい」という企業におすすめです。ただし、ヒューマンエラーによって正しい情報を得ることができないリスクがあったり、更新頻度が社内人材のリソース次第となってしまう課題もあります。近年の顧客管理に求められる高度な処理や分析は難しいため、"活用"という視点では顧客管理システムツールに劣ります。自社開発システムでの管理クラウドのシステムツールが充実してきた昨今なので自社開発をする企業は多くはないですが、自社開発には「自社の要件を全て実現できる」「顧客のニーズの変化に合わせてシステムを変更できる」などのメリットがあります。すでに顧客管理をされていて「お金をかけてもより質の高い管理をしたい」と考えている企業で、既存のシステムツールでは対応できない独自指標や活用方法を検討している企業におすすめです。CRMツールを使うCRMツールとは後述詳しく解説しますが、顧客管理システムです。基本的には軽微な管理保守で運用ができるため、「人的な管理に限界がきていて、ツール導入を検討したい」という企業や、これから顧客管理を始める企業にもおすすめです。また、様々なデバイスでの閲覧が可能なツールもありますので「ipadやスマホなどで現場でもアクセスしやすいようにしたい」という方にもおすすめです。顧客管理システム(CRM)とは?まずCRMとは「Customer Relationship Management」の略称で、顧客関係管理という意味です。つまり顧客の個人情報やコミュニケーション履歴などあらゆる情報を一元管理するツールです。画像引用元:HubSpotCRMツールを導入するメリットここからはCRMツールを導入するメリットについて解説します。業務効率の向上やそれに伴うコスト削減が可能CRMツールを導入することで、業務全体の効率が上がり、その分の人件費や管理コストの削減につながります。顧客の膨大な情報をアナログな方法で管理する場合を想像してみます。Excelでデータベースを作って、関数を組んだりMicrosoft Access(※)を活用して、表で見える化して、社内で共有して…。顧客が多ければ管理すること自体に時間がかかってしまいます。※Microsoft Accessとは...Microsoft社が提供するデータベース管理のソフトウェアです。データベース ソフトウェア - MicrosoftCRMツールを導入する事で、アナログな作業を減らすことができるため、人件費の削減につながり、さらには重要なマーケティング業務にリソースをあてられるようになります。顧客の分析や施策立案に時間をかけられるCRMツールを導入することで、顧客の分析や施策立案に時間をかけられるようになります。セグメントごとの売上グラフの作成、売上の予測、商品の分析など、ツールの機能は多岐にわたります。また、DMやLINEのリストを作成し、プロモーションや顧客サポートまで出来るツールもあります。必要なデータや分析はツール側が行ってくれるので、マーケティング担当者は「顧客満足度の向上」に向けて知恵と時間を集中させることができます。CRMツールを選ぶ6つのポイントCRMツールを選ぶ際のポイントをまとめます。以下の項目に沿って料金や機能を確認しながら検討を進めましょう。料金は費用対効果を確認しながら検討する機能は自社の状況に合わせる社内のメンバーが使えるか確認する事業の内容に合わせて導入する導入数や口コミを確認するサポート体制を確認する1.料金は費用対効果を確認しながら検討する有料のCRMツールを導入する場合、費用対効果を確認しながら検討しましょう。厳密にコストに対するリターンを計算することは難しいですが、以下の観点を意識してイメージすると良いでしょう。従業員ひとりあたりの生産性は向上するかコストに見合った売上向上につながるか導入後のアクションで売上向上につながるかたとえば、顧客管理を人力でおこなっていて営業も含めて、まとめる作業に膨大な時間がかかっている等の問題が起こっている場合は、導入後の生産性向上につながります。2.機能は自社の状況に合わせるシステム導入を検討していると、ついつい「この機能あったら使うかも」と追加してしまいオーバースペックになります。システム導入の目的を明確にして、自社の課題を解決できるシステムを選びましょう。自社の顧客管理に必須の機能があるか、逆にオーバースペックではないか自社で使用中の他ツールとの連携が可能かトライアル期間があれば実際に触ってみて機能を確認するデータベース機能、プロモーション機能、顧客サポートの機能の3つの要素に切り分けて機能を確認してみましょう。どの機能が充実していた方が自社には合っているのか確かめながら選定していくことが良いです。3.社内のメンバーが使えるか確認する社内のメンバーが使いこなせるのかどうかという点も重要です。実際に使うメンバーが使いこなせない場合、導入しても社内で浸透しませんし、導入コストが無駄になってしまいます。トライアル期間があれば、実際に触ってみて使い心地を確認してみるのがおすすめです。自分だけではなく他のメンバーにも触ってもらって活用できそうかどうか、実際の操作をして確かめてみると良いでしょう。4.事業の内容に合わせて導入する事業の内容や規模に合わせてシステムを選ぶことをオススメします。たとえば、クリニックや店舗の場合にはPOSデータ(※)との連携やオフラインプロモーションに強いツール。D2Cの場合は、WebツールやWebプロモーションとの連携ができるCRMツールなど事業内容や扱う商材に合わせて導入する機能を確かめましょう。※POSデータ...POSレジで取得できる顧客の消費行動のデータ5.導入数や口コミを確認するCRMツールを選ぶ際に重視したい1つが導入数や口コミです。導入数が多いという事は、それだけ企業が選ぶ理由やメリットが多い可能性があります。すでに広まっているツールはアップデートなどサポート体制も充実している可能性が高いです。また、口コミなども検討材料のひとつとして確認することで、導入前の失敗を避けることにもつながります。6.サポート体制を確認する初めてCRMツールを導入する場合は、導入までのハードルはもちろんですが、定着・活用するフェーズでのハードルもあります。だれも活用できないシステムとならないためにも、できるだけサポート体制が手厚いものを選ぶのがおすすめです。導入から定着・活用フェーズを超えて、導入の結果が出るまでサポートしてくれるというシステム会社もあるので、サポート範囲も選定基準の1つとすると良いでしょう。まとめ顧客管理は、改めて顧客を理解することに立ち返る重要な機会であり、効率的に顧客との「関係」をマネジメントしていくための手段です。顧客を管理する事で、商品開発や販売戦略の成功確度を高め、効率的なマーケティングにつながると考えます。今後、顧客管理に取り組む方の参考になれば幸いです。