日本語では白書を意味する「ホワイトペーパー」。マーケティングにおいては、顧客が抱える課題解決に向けての情報提供をするための資料を意味します。ホワイトペーパーには、リードを獲得するほか、顧客との信頼関係を築く、問い合わせまでのクッションといった役割があります。しかし、無計画に作られたホワイトペーパーでは、役割を十分に果たすことはできません。この記事では、ホワイトペーパーとは何か、サービス資料との違いや具体的な種類を挙げながら解説します。さらにホワイトーパーを活用するときの注意点についても触れていますので、ぜひ参考にしてください。ホワイトペーパーとは?マーケティング用語としてのホワイトペーパーとは、顧客が抱える課題を解決するための情報提供をおこなう資料のことです。ホワイトペーパーは、自社のサービスや製品が顧客の課題解決に寄与することを伝えられるツールとしても利用できます。政府が議会などに出す公式文章も「ホワイトペーパー」といいますが、マーケティングに使われるホワイトペーパーとは異なるものです。ホワイトペーパーの目的と内容どのようなターゲット層に向けてホワイトペーパーを作成するのかにもよりますが、主に以下の2つの内容を伝えること目的です。顧客の課題を解決する方法自社のサービスや製品が顧客の課題解決にどのように役立つのかホワイトペーパーに記載する内容に決まりはなく、しいていうならば「ターゲットと目的に合った内容」が必要です。自社のサービスや製品を知らない潜在的な顧客に向けて「概要を知っていただくための資料」として作るのか、自社のサービスや製品を検討しているような方々に向けて「購買を促すための資料」として作るのかでは、ターゲットや目的も異なることから、当然内容も変わってきます。ホワイトペーパーとサービス資料(営業資料)との違いは?ホワイトペーパーと、製品カタログやサービス資料(営業資料)とは何が違うのでしょうか?製品カタログやサービス資料(営業資料)には、製品やサービスの特徴、メリット、価格などが記載されています。これらの項目は製品の購入を検討している顧客にとっては知りたいことかもしれませんが、それ以外の顧客にとっては関心がない場合がほとんどです。すでにお問い合わせしてくださった方に向けての資料が「製品カタログ」や「サービス資料」である場合が多いです。顧客が知りたいことというよりは「ウチの製品やサービスはこういうものです」という「自社が伝えたいこと」が中心になっています。一方で、ホワイトペーパーに記載することは自社が伝えたいことよりも「顧客の課題・課題解決方法」に重点を置きます。自社が提供している製品やサービスが課題解決に貢献できるということを記載する場合もありますが、製品やサービス情報がメインにはなりません。もちろんマーケティングの方法によって例外はありますが、大まかに「お問い合わせ前の方に向けた資料がホワイトペーパー」、「お問い合わせされた方に向けた資料が製品カタログやサービス資料(営業資料)」と覚えておくと良いでしょう。ホワイトペーパーはどのように提供する?ホワイトペーパーを顧客に提供する方法としては、次のようなものがあります。ホームページからダウンロードできるようにするメールで配信リスティング広告やディスプレイ広告で配信プレスリリースとして配信外部メディアで配信SNSなどで配付なお、ホワイトペーパーのダウンロード時には、顧客に会社名や部署名、メールアドレスなどを入力してもらうのが一般的です。ホワイトペーパーの種類ホワイトペーパーの種類にはさまざまな形式があります。基本的にはテキスト資料として提供されますが、最近ではマンガ形式のものも見られます。今回はどのようなホワイトペーパーの種類があるのか、例を3つ紹介します。例1. 調査資料政府や業界の団体から発表されているレポート、アンケート結果などの実態調査を要約して記載するホワイトペーパーです。自社で調査やアンケート等を実施する場合、情報としての価値が高ければプレスリリースとして配信したり、SEO記事の制作などにも利用して独自性のあるコンテンツ作りに役立てたりすることも可能です。例2. ノウハウ資料自社サービスや製品に関連する事柄についてのノウハウをまとめたものを記載するホワイトペーパーです。サービスを提供する領域で独自のノウハウがあれば、見込み顧客から信頼を得られる可能性があります。依頼する側としては「専門性のある会社」「ノウハウや知識が豊富にある会社」を探しているため、公開できる範囲でノウハウを掲載するのは非常に効果的です。例3. 導入事例自社サービスや製品を導入したことによって課題が解決された事例を紹介するホワイトペーパーです。導入前にはどのような課題があったのか、サービスや製品を導入したことでどのように解決したのかといった事柄を記載します。実際にサービスや製品を利用した顧客の生の声や体験談は、購入検討中の顧客にとって役立つ情報となります。ホワイトペーパーの役割やメリットホワイトペーパーには、リードの獲得、顧客の検討補助、信頼構築などの役割やメリットがあります。役割やメリットを理解することで、ホワイトペーパーが単なる配布資料となることを避けることができます。リードの獲得サービス資料(営業資料)の場合、顧客が複数のサービスや商品と比較検討するフェーズであれば求められますが、情報収集の段階では求められないことがほとんどです。対してホワイトペーパーは、顧客にとって興味のある内容であれば、情報収集の段階でも求められる可能性があります。具体的なサービスや商品へのニーズがはっきりとしていない段階であっても、タイトル次第では目にとまりやすく、顧客との接点を持つきっかけとしての役割があります。顧客の検討補助ホワイトペーパーの内容によっては、顧客の検討を促す役割を果たします。また、ホワイトペーパーがダウンロードされるときに入手できる顧客の情報(メールアドレスなど)も役立ちます。興味の度合いに合わせた情報提供を継続的に行って接点をもち、メルマガ購読やセミナー参加を誘うなど別のコミュニケーション機会へと繋げられるのもメリットといえます。顧客との信頼構築ホワイトペーパーの内容が良いものであれば、少なくとも悪い印象にはなりません。(逆に内容がイマイチだったり薄かったりすると、印象を悪くしてしまう可能性があります)顧客にとって役立つ情報を提供し続けることで「この会社にお願いすれば課題が解決できそう」といった信頼を少しずつ積み重ねることができます。顧客に良いイメージをもってもらい、信頼を貯蓄しておくことで、他社と比較検討されるときに有利になります。問い合わせまでのクッションホームページなどからいきなり問い合わせをするのは、顧客にとって心理的な負荷が高いのです。ホワイトペーパーをダウンロードしてもらうというワンクッションをおいたり、内容を通して自社への信頼感をもってもらったりすることで、心理的な負荷を和らげ、その後の問い合わせをしやすくする役割もあります。セミナーやブログ記事の資料として活用ホワイトペーパーに記載した内容は、独自の情報として別のコンテンツを作成するときにも使えるメリットがあります。ホワイトペーパーに載せた調査結果、図表などはセミナー資料やサービス資料、SEO記事の素材として活用すると、効率のよい良質なコンテンツづくりに役立つはずです。ホワイトペーパーをつくるときの注意点ホワイトペーパーは、顧客の検討補助や信頼構築にも役立つものですが、内容自体が顧客に嫌悪感を抱かせるものであれば逆効果になることもあります。また、無計画に作成・配布しても問い合わせ増加や売上アップなどの成果は得られません。ここからは、ホワイトペーパーをつくるときの注意点を解説します。押し売りのような内容にしない自社製品やサービスのアピールが前面に出すぎると、押し売り感が出てしまい、顧客が離れる原因にもなりえます。ホワイトペーパーの作成では、顧客の課題解決に役立つ内容を軸にすることが大切です。「自社ではこういったサービスは、課題〇〇の解決を行います」「自社の製品で顧客の課題△△を解消しました」くらいのニュアンスで控えめにするのが望ましいでしょう。無計画にホワイトペーパーをつくらないターゲット、配布方法、ホワイトペーパーの概要(何を主張したいのか)など計画を練ってから作成するようにしましょう。無計画のまま作成しても顧客にささらない可能性があります。興味関心を持たれなかったり、誰も見ないところにホワイトペーパーを設置しても、せっかく時間をかけて作成したホワイトペーパーが無駄になってしまう可能性があります。また、ダウンロードされたとしても、中身が顧客にとって役に立たないと判断されれば信頼を落としてしまいかねません。いきなり作成にとりかかるのではなく、目的や内容や配布方法を練って作成・配布していくことが重要です。ホワイトペーパー提供後の仕組み作りを忘れない「顧客にホワイトペーパーを提供して終わり」では、成果は得られません。ホワイトペーパーで接点を持った顧客に対して後日コミュニケーションを取るなど、顧客を次のフェーズへと促すためのアクションをこちらから起こすことが大事です。また、ホワイトペーパーごとに成果(商談化率、成約率など)を分析しておくことで、次のホワイトペーパーづくりや営業活動に活かすことができます。まとめ顧客にとって魅力的な内容のホワイトペーパーは、リードを獲得し、その後の営業のきっかけを掴むものとして活用できます。ただし、ターゲットや目的を明確にしないまま作成したり、自社のアピールを前面に出した広告のような内容であったりすると、ダウンロードされないばかりか、顧客が離れることにもなりかねません。ホワイトペーパーは誰のためのものなのか、何のために作成するものなのかを考えてから作成し、配布後にどのようなアプローチをするのかも計画しておくようにしましょう。関連ページ:「ホワイトペーパー」一覧