「他社がブログを始めて、どうやら仕事が増えているらしい...」そんな話を耳にすると、うちもブログを始めたらどうかな?と可能性を探ってしまいたくなるのが経営者の性(さが)ですよね。専門家にスグ相談できればいいですが、気軽に相談できる知り合いがいない...専門会社にお問い合わせしていたら時間がかかる...そんな方に向けて、私たちからお伝えできることがあるんじゃないか?と急いで筆を取りました。結論からお伝すると、私の体感値ではありますが、製造業の会社がブログを始めたとしても90%は失敗します。いや、もっとあるかもしれません。それだけ難しいものですが、難易度が高くても、それをクリアできれば差別化につながります。事実、ブログを始めたことで仕事が増えた企業は世の中に多数いらっしゃいます。また弊社がご支援しているクライアントも、ブログを始めたことでWebサイトのアクセス数は約20倍になりました(もちろんお問い合わせ数も大幅増加)。失敗しないためのポイントは、知っておくべき情報を事前に抑え、始めるタイミングや進め方を間違えないことです。抑えるべき情報さえ抑えておければ、悪くない結果にできる可能性は高まります。お伝えしたいポイントは山ほどあるのですが、オープンなブログでは書けない部分もあるので、特にこれは!というものをピックアップして、なるべく詳細に解説します。ブログを始めるべき状況を見極める製造業の会社がブログを始めるといい状況とは、ターゲット顧客となる人々が読んでいるブログがインターネット上にない場合、または読んでいるブログはあるものの、そこに広告出稿できない(したくない)場合です。企業のブログもオウンドメディアも、ターゲットとなる方々を集めるために作りますよね。それはつまり、ターゲットとなる方々を集めることで、自社の商品を有利にアピールすることができるからです。ただ製造業の中でも商材によっては、それらのためのブログやオウンドメディアが存在しない場合があります。そんな時はブログを検討してもいいでしょう。また自社が狙っているターゲット顧客を集めているブログがあったとしても、そのブログ内に広告出稿(記事広告・広告枠への広告配信など)ができない場合もあります。また広告出稿はできるものの、競合他社が運営するメディアであったり、自社のブランドイメージと大きく異なるメディアの場合は広告出稿を避けるべきです。このような条件に当てはまる場合、あなたの会社でブログやオウンドメディアを始める価値があります。逆にすでにブログが存在したり、そのブログが自社と競合せず、且つ記事広告の掲載や広告枠への広告配信が可能な場合は、自社でブログを始める必要はなく、記事広告や広告枠への広告配信を検討すべきです。そちらの方が短期的な成果を目指す分には、早くて正確ですから。製造業を営む会社がブログを始める前に、知っておいてほしい6つのこと順番に解説していきます。成果出るまでに、早くとも半年以上かかる1記事の効果は低くても、集まれば大きな効果を発揮するブログが貢献するものは「お問い合わせ」や「資料請求」だけではないBtoBの特性を理解して運営することで、成功率は大きく変わるブログとビークルはセットで始めようまずはご自身で。難しそうであれば専門家に相談を成果出るまでに、早くとも半年以上かかるブログは始めてから効果が出るまでに、早くて半年、長いと数年かかることがあります。大半は途中で心が折れ、プロジェクトは頓挫します。そのためまずは、ブログで成果を出すには長い期間が必要になることを理解した上で、スタートしなければなりません。今すぐに売上を立てたい。お問い合わせを来月末までにに〇〇件獲得したい。そのような短期目標の達成を目指す場合は、ブログは間違いなく向いていません。他の施策を検討しましょう。引用:オウンドメディアで成果を感じるまでにかかった期間は、半数近くが「1年以上」と回答。 - ferret One実際にferret Oneの調査では、オウンドメディアで成果を感じるまでに、70%近くが1年以上かかった、と回答しています。プロの手を借りて時間を短縮することはできますが、それだとしても長い時間がかかることを事前に理解しておきましょう。1記事の効果は低くても、集まれば大きな効果を発揮するブログは成果が出るまでに時間がかかります。それは1つのブログ単体で、高い効果を出すことが難しいからです。ですが1記事だけでは効果が低くても、時間をかけてブログを増やすことで、大きな効果を実感できるようになります。下のグラフは、ブログを運営したときの累積のコンバージョン数(≒お問い合わせ数)と累積費用、CPA(≒お問い合わせ獲得単価)の推移です。累積費用はほぼ、ブログを制作する費用と捉えていいはずですので、このグラフからも、ブログ本数が増えていくとでCPAは大きく下がっていくことがわかります。引用:オウンドメディアの累積コンバージョンと費用、CPA推移の例 - WACULプレスリリース(2019年1月15日配信)ブログが貢献するものは「お問い合わせ」や「資料請求」だけではない上記の話は、「お問い合わせ」や「資料請求」だけを成果と見たときです。ブログが成果として生み出すものはそれ以外にもあります。たとえば以下のようなものです。顧客理解の強化社内情報やノウハウの共有社員の言語化力の強化採用への貢献営業効率の改善Web広告のランディングページとしての活用SNSやメルマガなどの小規模コンテンツへの活用ブログによる「お問い合わせ」や「資料請求」の増加を急いでおらず、こういった成果も求めているのであれば、ブログは有効な手段のひとつとなります。たとえば短期的にはWeb広告のランディングページや小規模コンテンツとしてブログを活用して採算を合わせ、中長期ではお問合せの獲得やノウハウの共有などを目的として費用対効果を合わせていくのが良いでしょう。※余談. そしてここまで多くの指標に貢献するとなると(さらに測りにくい指標も多い)、経営者はブログの評価方法に悩むことになるでしょう。そのため最近では、ブログの”短期的な成果は出にくいものの、長期的にはさまざまな効果を生み出す。そしてデメリットはほぼない。”という特性から、あえて評価指標を設けずに運営するブログやオウンドメディアも増えています。BtoBの特性を理解して運営することで、成功率は大きく変わる製造業のようないわゆるBtoB事業とBtoC事業では、ターゲットの特性が異なります。もし製造業の会社がブログを始める場合は、それらを踏まえてブログを書いていく必要があります。BtoBとBtoCの事業では一般的にこのような違いがあります。BtoBBtoC対象法人個人検討期間長期短期購買単価高額(数十万円〜)少額(〜数万円)意思決定者複数人一人事前情報多い少ない製造業では複数人の意思決定者に向けてブログを書かなくてはいけません。たとえば経営者、営業責任者、経理責任者、導入した機器を使用する従業員の方に向けて、といった具合です。しかし多くの製造業では、導入した機器を使用する従業員の方に向けてのみブログを用意していたりします。それでは決裁権を持つ経営者や営業責任者に「この商品を買おう」と思ってもらうことはできません。こういったBtoCとは異なる特性を理解した上でブログを運営していくことで、成功率を高めることができます。ブログとビークルはセットで始めよう製造業がブログで成果を出すためには、ブログを制作するだけでは足りません。ブログをターゲットに届ける方法まで考える必要があります。過去、人々の情報収集手段の大半は「検索する」だったので、ブログを公開して検索にヒットするようにしておけば、成果を出すことができました。しかし今は情報収集手段が多様化(SNS、メルマガ、口コミ、本・雑誌、YouTube、ラジオ・Podcastなど)しています。それと同時に、ブログなどの情報発信に力を入れる企業も増えているため、ターゲットにブログを届ける難易度は年々上がっています。つまり、ブログを公開するだけではターゲットまで届かない、といった現象が起こりやすくなっています。出典:「我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計結果(2019年11月分) - 総務省(2020)そんな時にはまず、ターゲットが何を使って情報収集しているのか、事前に調べておく必要があります。それも上述の通り、経営者、営業責任者、経理責任者、導入した機器を使用する従業員の方それぞれで調べる必要があります。彼・彼女らが普段使っている情報収集手段を調査し、ブログを届けるためのビークル(※)も用意しなくてはなりません。メルマガ、SNS、YouTubeなどをビークルとして活用し、ブログ運営と合わせて始めることが、早く成果を上げるコツです。※ビークル...ブログをターゲットに届ける媒体のこと。情報を載せる「乗り物」や「媒介物」の意味。(参照:媒体ビークルとは - ブランド戦略通信)まずはご自身で。難しそうであれば専門家に相談を製造業のブログでは、何を書くか、書いたブログをターゲットにどのように読者に届けるか、などの初期設計が非常に重要です。ターゲットに興味を持っていただける内容でなければ、いくらブログを書いたところで無駄になってしまいます。またブログを書いても検索エンジンにindex(※)されていなければ、いくら検索してもブログを見つけることはできません。そしてブログを掲載するWebサイト側の準備やそれを届けるための伝達手段の準備、そしてもちろん記事制作フローの改善や、記事数が増えてこれば記事のリライトも時には必要です。※index...検索エンジンのデータベースに、自身のWebページの情報が登録されること。この辺りはご自身で調べることもできますが、専門的な知識やノウハウも必要になってくる部分です。まずはじめにご自身でブログ運営を始めてみて、難しそうであれば早めに専門家に相談することが、ブログでの成功確率をグッと上げることになるでしょう。専門家の中には、コンサルタントとして関わってくれる方(企業)もあれば、ライターのような記事執筆を代行してくれる方(企業)、その両方を支援してくれる方(企業)がいらっしゃいます。ご自身の希望に沿った専門家を見つけましょう。※補足. 尚、一度ご自身でブログを運営した経験があれば、支援会社への依頼は格段にスムーズになりますので、スケジュールに余裕があれば、一度自社で運用してみることをおすすめします。その方が、自社運用の経験がない場合に比べて、成功率は間違いなく高くなります。まとめ最後に改めてポイントをおさらいします。成果出るまでに、早くとも半年以上かかる1記事の効果は低くても、集まれば大きな効果を発揮するブログが貢献するものは「お問い合わせ」や「資料請求」だけではないBtoBの特性を理解して運営することで、成功率は大きく変わるブログとビークルはセットで始めようまずはご自身で。難しそうであれば専門家に相談をブログで成果が出るまでの道のりは険しいですが、上手くいけば非常に大きな差別化につながる施策です。この記事を見つけてくださった製造業の方々が、ブログに取り組み(ビークルも)、大怪我を回避しつつ、求める成果が出たら嬉しいです。事例. 株式会社ライフテック様(建材メーカー)株式会社ライフテックさまは、工場や倉庫の屋根に使用する建材を扱うメーカーです。当初は、ご予算や採用の課題もあり、なるべく予算をかけずリードを獲得し、少数精鋭の営業人材で受注につなげること(アウトバウンドではなく、インバウンドマーケティングでのリード獲得)を目指しました。弊社とのインバウンドマーケティングの取り組みの最初に、顧客の悩みや行動の仮説を洗い出し、それに沿ったコンテンツ作り、コンテンツ伝達手段を考えました。その結果、1年で売上は約2倍に成長、お問い合わせ数も約3倍となりました。お客様インタビュー:「ニッチ商品でも、知恵を絞ればマーケティングで成果を出せる」予想外の提案から始まり、売上が2倍以上に伸びた取り組み