すべての企業が必ず「人」の問題にぶつかります。例外はありません。そしてそれは、知識労働であるほど重要度の高い問題に。誰がやっても同じではなく、人によってアウトプットが変わってくる仕事だからこそ、「誰がやるのか」が非常に重要であり、そこから目を背けていては成長はない、と私たちは考えます。ほんの小さな価値観や思考方法の相違は、あとあと大きな問題となって組織崩壊のきっかけとなりかねません。「経営とは問題を未然に防ぐこと、そのための仕組みや仕掛けを作ること」という先人のアドバイスを思い出し、違和感を感じ始めた今こそ動き始めなければならないタイミングと感じています。さて、「人」の問題において、真っ先に解消すべきは「私たちはどうありたいのか?」「私たちはどんな人物を目指すべきなのか?」という疑問を明確にすること。まずは組織に属する自分達がどうありたいのかを明確にできなれば、どんな人を採用したいのかを明確にすることはできません。より良いサービスを提供できるよう、私たちはこんな人でありたい(そうなれるよう努力しよう)という最低限の指針を8つに分けて作成しました。例によって冗長な文章ですが、補足とともに解説します。何からでも学べる、プロフェッショナルな人であれ私たちの仕事は、クライアントの将来を大きく左右する可能性があります。自分の意思決定一つでクライアントの事業が伸びることも、危機に瀕することも。だからこそ私たちは常にさまざまな事象から学び、力をつけ、より良いサービスが提供できるよう努力しなければなりません。学び続けることは、この仕事に従事する者に与えられた責務と考えています。常に学び続けるために、さまざまな経験に投資することを推奨しています。仕事、本、スクール、購買、旅、出会い、趣味、家族、恋愛、金融取引、健康など、自分のボキャブラリーを増やすための投資を積極的に行いましょう。最も費用対効果の高い投資は「自己投資」です。自分のリソース(時間、お金、知識など)を使い、新しい経験に変換しましょう。積極的な自己投資が、あなたを成長させ、よりユニークな存在にし、クライアントにとっても社会にとってもかけがえのない存在(=エキスパート)にしてくれるはずです。困難に立ち向かうことを楽しめる、前向きな人であれ最低1日8時間、人生の中で少なくない時間を仕事に捧げているなら、ただ辛い時間ではなく充実した時間にしたいと私たちは考えます。充実している方が自身の成長も早く、成長が早ければ提供できるサービスもより良いものにできるからです。「好きこそものの上手なれ」という言葉があります。スポーツでも勉強でも仕事でも、つまらなさそうにしている人は、それを楽しんでいる人に勝てません。そして、クライアントもつまらなさそうに仕事をしている、しけた顔の人に仕事を依頼したくはないはずです。仕事は簡単で楽なことばかりではありませんが、困難や課題を解くことを楽しめるように「前向きな思考」を身につけましょう。悲観的にならず、自暴自棄にならず、建設的な解決方法を探すことを心がけましょう。そしてそのプロセスを楽しめる前向きな人を目指しましょう。常により良い方法を探すことができる、謙虚な人であれ「今より上手くできないか?」「今より速くできないか?」「今より高い精度でできないか?」「今より楽しくできないか?」「今よりスマートにできないか?」私たちは常に目の前の方法を疑い、「今より良い方法はないか?」を考えられる人でありたいと思っています。今がベストだと慢心してはいけません。常により良い方法を探せる謙虚な人を目指しましょう。すべての投資は「複利」となって効いてきます。上手ければ上手いほど、速ければ速いほど、日を追うごとに雪だるま式にそのリターンは増えていきます。逆に、下手であれば下手なほど、遅ければ遅いほど、負の複利効果が効きます。「今より良い方法はないか?」を考えられる謙虚な姿勢が、正の複利効果を生み出す源泉となることを忘れてはいけません。自分と仲間に厳しくできる、優しい人であれ必要な指摘を、適切な表現とタイミングで伝えることができる人は、優しい人です。それができない人は、相手が損をし続けることを黙って見ていることができる薄情な人間か、適切に伝えることができないボキャブラリーのない人間でしょう。嫌いな人やどうでもいい人に対して指摘をする必要はもちろんありません。家族に対して、一緒に働く仕事仲間に対して、友達に対して、大切な人に対しては優しさが必要だと私たちは考えます。長くwin-winな関係を維持するには、双方がその優しさを持つべきでしょう。また私たちは「人は誰しも、間違いを犯す生き物」だと思っています。だからこそ常に指摘を素直に受け入れ、指摘してくれた人に感謝できる人間でありたいですし、アルテナで働くメンバーはそうあるべきだと考えます。「愛情」の反対は「無関心」というように、興味のない人間にわざわざエネルギーを使って指摘してくれる人などいません。指摘を受ける側もそれを知っている必要があると考えます。世界有数のヘッジファンドのブリッジウォーター・アソシエイツを創業したレイ・ダリオは著書「PRINCIPLES 人生と仕事の原則 」で以下のように語っています。卓越した存在になろうと思ったら、妥協できないことは妥協してはならない。なのに、妥協する人は多い。気まずい思いをしたくないからだ。それは後ろ向きだし、逆効果を招く。気が楽になることを成功より優先することは、誰にとっても悪い結果になる。(中略)相手を気に掛ければ掛けるほど、互いに厳しくなれると学んだ。お互いに厳しければ厳しいほど、良い成績が上がり、分け合う報酬も多くなる。これは自己強化のサイクルだ。「 PRINCIPLES 人生と仕事の原則 」 - レイ・ダリオ指摘は相手のためにするものでもあるが、いつか自分に返ってくるという意味で、自分のためのものでもあります。レイ・ダリオの言う通り、自分を強化するためにも相手に厳しくなる必要があります。気まずさに萎縮してはいけません。真に優しい人を目指しましょう。自己貢献と他者貢献を両立することができる、対等な人であれ「犠牲」の上に「貢献」は成り立たないと私たちは考えます。誰かが我慢しないといけない構造は継続困難であり、「ビジネスとは継続性だ」という真理から考えても、誰も損しない構造が必要ではないでしょうか。家族、友人、恋愛でも同様に、二者間のどちらかが犠牲になっている関係は継続しません。双方が幸せで継続するのを望む状態でないと継続しないのと同じように、仕事でもその関係を目指すべきです。「Win-Winの関係」「近江商人の三方よし」よろしく、お互いに「対等な利」のある状況を作れるよう努力しましょう。それが本当の意味で、継続できる良好で対等な関係です。「人」が僕たちの商品だからこそ、誠実な人であれ私たちの仕事は「物」を売っているわけではありません。「人」が私たちの商品です。クライアントは私たちという「人」を信頼して仕事を任せてくれているからこそ、その信頼を裏切るようなことはあってはなりません。不正や隠蔽は当然NGです。些細な嘘やごまかしも、気が付いたら積み重なって取り返しの付かない規模になっているかもしれないので、常に注意が必要です。「雑な仕事」「利己的な提案」「生産性のない会議」などの、チーム(クライアントと我々でひとつのチーム)の生産性を悪化させるような行為も誠実でないと言えるでしょう。最初からそれらを0にできなくても、見つけたら減らせるように行動しましょう。再発しないためのルールや仕組みを作り、誠実な仕事ができる環境を自分たちで整えられる人を目指しましょう。背中を預けてもらえる、自律した人であれ「自律した人」とはどんな人を指すのでしょうか?また「自律」とはどういう意味でしょうか?「自律」についてデジタル大辞泉で調べてみると、以下の検索結果がヒットします。じ‐りつ【自律】他からの支配・制約などを受けずに、自分自身で立てた規範に従って行動すること。デジタル大辞泉弊社では「自律した人」に関して、以下のような人物を連想します。自分の軸(価値観・判断基準・ルール・規範)を持ち、それに従って行動できる人人には人の軸があると理解し、他人のそれを尊重できる人軸とは異なる行動をした自分を見つけた時に、正しく自己否定することができる人自分の軸だけでなく、他人の軸も理解し、補完し合うことができる人他者に貢献したいと言いながら利己的な判断しかできない状態や、自分の軸が無くその場しのぎの振る舞いしかできない状態、自分と同じ判断や価値観しか認めれない状態は、自律している状態とは言い難いです。この仕事は一人ではできません。クライアント、会社のメンバー、外部パートナーの手助けを借りながら、なんとか実行していくものです。一人ひとりが自らの仕事を全うするのに必死な中で、自律していない人がいれば、スムーズに仕事が回ることはないでしょう。「ここは君に任せたよ」そう言ってもらうためにも、自分の軸を持ち、自律した人であることが私たちには求められます。物事の本質を見抜ける、慧眼を備えた人であれ私たちの仕事は、片っ端から施策を試すことでも、事業に貢献しない施策をなし崩しに続けることでもありません。事業成長につながる正しいレバー(施策やその組み合わせ)を見つけ、そのレバーをピンポイント且つ全力で引き、最低限のリソースで事業に最大限貢献することです。事業成長につながるレバーは、効果抜群のものから効果が少ないものまで無限にあります。逆に、事業にかけれるリソース(人材、時間、予算など)は例外なく有限です。それらから、最も効果的な「レバー」と「リソース」の組み合わせを選択し、スムーズに実行し、パフォーマンスを最大化させなければいけません。リソースは有限とわかっていれば、片っ端から施策を試すことは愚かだとわかります。事業に貢献することが仕事だとわかっていれば、事業成長につながらない施策を続けることに価値がないこともわかるはずです。最も効果的な「レバー」と「リソース」の組み合わせを見抜ける慧眼を備えた人だけが、真のクライアントの参謀となり得る。私たちはそんな人物を目指したいと考えています。完璧な人間などいないですし、既存のメンバーもこの8つを満たせていない可能性だって大いにあります。しかし、一人ひとりが自律した組織を作るには、こういった「方針・目標・規範」が必要だと感じました。それがないと人は簡単に易きに流れてしまいます。逆に方針があれば、それに近づこうと努力するでしょう。難しいと思っていた仕事も、必死に何度もこなすうちに、当たり前にできるようになるように、日々の努力が当たり前の基準を少しずつ高くしてくれるはずです。その日々の小さなレベルアップが将来のグレートカンパニーを作る礎となることを忘れてはいけません。