コンテンツSEOとは、ユーザーの検索ニーズに応える記事を継続的に作成・公開し、検索エンジンからの流入を増やす施策です。検索結果の上位表示を獲得できれば、継続的な流入が見込めます。
だけど、ブログ記事を書いても書いても、成果につながっている実感がない。多くの方が感じたことがある課題ではないでしょうか。
コンテンツSEOは、一般的に成果が出るまで時間がかかると言われます。しかし、ひたすら記事を書けば成果が出るというものでもなく、どのような記事を書くかという設計も重要です。
今回は、既存記事は24本あったものの、サイトへの流入が伸び悩んでいた状態からコンテンツSEOに取り組み、約4か月でサイト全体のオーガニック流入が約70倍になった、建設業のクライアントの事例をご紹介します。
実はこの成果は、クライアントとの取り組みの中で、当初「書かない」と判断したキーワードを狙ったことがきっかけで生まれたものでした。
注意:以下の事例は私たちの状況に基づくもので、全てのケースに当てはまるわけではありません。
クライアントの一次情報を活かした記事制作で、オーガニック流入が約70倍に増加した事例
クライアントからは、「問い合わせを増やすため、Webでの集客に取り組みたい」というご相談をいただいていました。そのため、サイト改修・メルマガ・広告運用なども含め、包括的に支援を行っており、中長期的な集客の土台をつくる施策として、コンテンツSEOに取り組むことになりました。まずは前提と課題について解説します。
前提と課題
クライアントは、工場・倉庫のオーナーをメインターゲットとする、地域密着型の専門工事会社です。もともとはクライアント自身でブログ記事を作成されていました。支援開始前の時点で既に24記事が公開されていましたが、サイトへの流入は伸び悩んでいました。
| 業種 | 建設業 |
| コンバージョン地点 | お問い合わせ・資料請求・電話 |
| 対象とする施策 | コンテンツSEO |
| 課題 | オーガニック流入の増加 |
既存の記事を改めて確認してみると、テーマは事業領域に沿って幅広く用意されている一方、検索からの流入につながる記事がほとんどない状態でした。
記事タイトルから想定されるキーワードで上位表示されているものもありましたが、そのキーワードは検索ボリュームがほぼ0のもの。一方、ある程度の検索需要があるキーワードになると、上位には入れていませんでした。
今回は、この課題に対する仮説から施策、検証結果までの過程をご紹介します。
課題に対する仮説
この課題に対して、以下2つの要因が考えられるのではないかと考えました。
仮説①:検索需要のあるキーワードを狙えていないのではないか
上位表示されている記事は、検索ボリュームがほぼ0のキーワードばかりでした。検索する人がいないキーワードで上位表示されても、その記事をクリックする人はいません。
サイトへの流入数を増やすためには、ある程度の検索需要があるキーワードを狙う必要がありました。

仮説②:記事の内容が一般的で、他のサイトと差がついていないのではないか
検索ボリュームが0のキーワードでは上位表示されるが、ある程度の検索ボリュームがあるキーワードになると表示されない。つまり、競合がいない領域でしか勝てていない状態です。
上位を獲得できていない記事を確認すると、全体的に一般的な内容に終始していて、他サイトと大きく内容が変わらないものが多い印象でした。
内容が同じであれば、既に評価を得ているサイトの方が高い評価を受けやすくなります。まだ評価が高くないクライアントのサイトが、上位表示を獲得することは簡単ではありませんでした。

キーワードの設計と、クライアントがもつ一次情報を取り入れたコンテンツが重要なのでは
これらの要因を踏まえ、サイトへの流入数を増やすためには、「どのキーワードを狙うのか」という設計と、「他の記事と差別化できる内容」の2点が必要だと考えました。

特に最近は、生成AIが普及して、Web上にある情報を調べるだけならAIに聞けば済むようになりつつあります。既存の情報を集めて再編しただけの記事は、どんどん読まれなくなっていくのではないか。あくまで私たちの考えですが、支援を始めた時点ではそのように考えていました。
一方で、クライアントは日々の商談や現場で、Web上には出てこない情報を持っています。実際に受けている相談、施工の現場でわかること、お客様の反応。それを記事に入れられれば、他では読めない記事になる。検索してサイトを訪れたユーザーにとっても、ずっと役に立つ内容になるはずです。ユーザーにとって有益な記事になれば、SEO的にも評価をされやすくなるのではと考えました。
仮説に対して行った施策
上記の仮説をもとに、記事制作を4つの工程で進めることにしました。
工程1:キーワード調査と優先順位づけ
クライアントの主力商材に関わる領域でキーワードを洗い出し、以下の3点で優先順位をつけていきました。
- 検索ボリューム:一定の検索需要があるか
- 競合性:上位表示を狙える余地があるか
- 見込み顧客につながるか:検索している人が、クライアントのターゲットと重なるか
単に、検索ボリュームが大きければいいというものではありません。検索ボリュームが大きいキーワードは、それだけ競合も多くなります。内容を充実させれば上位表示を狙える可能性があるかを確認しながらキーワードを選定していました。
また、そのキーワードを検索している人が見込み顧客でなければ、たとえ上位を取れても問い合わせにはつながりません。一定の検索ボリュームがあっても、BtoCの需要が大きいキーワードは狙わないなど、上記の3点のバランスを見ながら、書く順番を決めていきました。
工程2:検索意図と競合記事の調査、構成案の作成
対策するキーワードを決めたら、関連語句や、実際にそのキーワードで検索したときに上位表示されている記事をひとつずつ確認していきました。
このキーワードで検索している人は何を知りたがっているのか。競合記事は、どんな人に向けて、何を書いているのか。これらの情報から、検索している人が知りたがっている情報を整理し、構成案に落とし込んでいきました。

工程3:構成案をもとにクライアントへヒアリング
今回の支援で、いちばん大事にした工程です。
記事を完成させてから確認してもらうのではなく、構成案の段階でクライアントに現場の話を伺う時間を設けていました。「この部分、実際の現場ではどうですか」「こういう相談を受けることありますか」と具体的に尋ねながら、クライアントが持っている情報を聞き出していきます。

普段から、マーケティングの進め方についてお客様と会話することはありますが、特定のテーマを掘り下げた状態で話をするからこそ、マーケティング全体の話をしているときには出てこなかった、具体的な現場の話を聞くことができました。私自身、この工程はお客様のことをより深く知れるので、非常に面白い部分です。
工程4:ヒアリング内容を反映し、構成を修正して執筆・公開
クライアントから伺った話をもとに構成を修正して、執筆します。
ヒアリングを経て、当初の構成案にはなかった内容を増やしたり、具体的な事例を追加できたりすることも多くありました。クライアントの独自情報が入った記事になるよう、意識して執筆していました。
書かないつもりだったキーワードで、記事を作ることにした
4つの工程に沿って記事制作を進める中で、一度は書かないと判断したキーワードがありました。結果的に、このキーワードを狙った記事を書いたことが今回の成果に大きくつながっています。
そのキーワードは一定の検索ボリュームがありましたが、検索結果の上位には一般消費者向けの記事が並んでいました。クライアントのターゲットは工場・倉庫のオーナーなので、このキーワードは見込み顧客につながらないと判断し、候補から外していました。
ところが、別の打ち合わせの際に何気なくこの話をしたところ、クライアントから思わぬ話を聞いたのです。
「実はその相談、意外とよく受けるんですよね」
クライアントによると、工場・倉庫のオーナーからもこのキーワードに関する相談を受けることが多くあるとのこと。ツールや検索結果など、Webで確認できる情報だけでは現場のことまではよく見えないと痛感した出来事でした。

改めて検索結果の上位に並ぶ記事を確認すると、他のキーワードでよく競合する他社も、まだこのキーワードに対する記事は書いていません。ターゲットからの需要はあるのに、BtoB向けの記事がなく、競合も手をつけていない。それなら、上位表示を狙える可能性があると判断し、記事の作成を進めました。
この記事は、ヒアリングで伺った現場の話と施工事例を反映させたうえで公開しています。
施策から得られた結果
上記の施策を行った結果、一度は書かないと判断したキーワードを狙った記事が、公開から約3週間後に検索結果で1位を獲得しました。
当該記事からの流入が増加しただけでなく、同時期に制作した他の記事についても、検索順位と表示回数の上昇が見られました。
その結果、サイト全体のオーガニック流入数は、最も流入が増加した月で、支援開始前から約70倍に増加しています。

クライアントの商材は需要が高まりやすい時期に入っていたため、季節性の後押しも受けた結果です。ただし、昨年の同時期と比較しても約40倍に増加しているため、季節要因だけではなく改善の効果があったと考えています。
また、昨年の同時期はオーガニック経由でのコンバージョンは発生していませんでしたが、支援開始後の同時期には3件のコンバージョン(お問い合わせ・資料請求・電話番号タップ 各1件)がオーガニック経由で発生していました。
得られた結果を基にした考察
あくまで今回の検証における結果です。すべてのケースに当てはまるわけではないですが、当該検証の結果を受けて、以下のように考察しました。
現場の声に触れることで、Web上では見えないニーズが見える
今回、検索結果で1位を獲得したキーワードは、ツールの数値と検索結果だけを見ていたら書くことはなかったキーワードだと思います。クライアントとコミュニケーションを取り、現場の話を聞く機会を作っていたからこそ、ニーズがあることに気づくことができました。
Webで集められる情報だけに終始せず、「お客様はどんな悩みを抱えているのか」「何を知りたいと思っているのか」など、現場の声を集めて反映することが、施策の精度を高めることにつながるのだと思います。
クライアントの一次情報を含めることで、記事に独自性が生まれる
Web上の情報を調べて再編するだけでは、どうしても他のサイトと似た内容になってしまいます。一方で、実際に受けている相談や、施工の現場でわかることは、クライアントしか持っていない情報です。
それらを記事に含めることで、他では知り得ない情報になり、ユーザーにとっても有益な記事になります。一般的な解説だけで終わらせないことが、これからのコンテンツ制作ではより重要になっていくと考えています。
さいごに
記事を書いてもサイトへの流入につながらないとき、やみくもに記事を増やし続けるのではなく、どのキーワードから狙うべきかという設計から見直してみるとよいでしょう。
その設計においても、現場の一次情報を反映させることの重要性を、今回の事例を通して改めて実感しました。キーワードや構成設計のノウハウと、クライアントが持つ一次情報。その両方が揃ってはじめて、検索している人に届く、価値のある記事になるのだと思います。
コンテンツSEOに取り組んでいる方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
注意:以上の事例は私たちの状況に基づくもので、全てのケースに当てはまるわけではありません。