Web広告では、「新規登録数が増えた」「1人あたりの獲得単価が下がった」といった数字を見ると、順調に成果が出ているように感じます。もちろん、どちらも大切な数字ですが、登録後まで見てみると、広告管理画面だけでは分からない課題が見えてくることがあります。
今回は、無料会員登録が順調に増えていたオンライン学習サービスで、登録後のユーザー行動をもとに検索キーワードを見直した結果、有料会員数が約1.8倍に増加した事例をご紹介します。
一見すると順調だった広告で、なぜあえて無料登録につながっていたキーワードを止めたのか。その経緯もあわせてご紹介します。
注意:以下の事例は私たちの状況に基づくもので、全てのケースに当てはまるわけではありません。
英語オンライン学習サービスの概要
今回ご紹介するのは、講師とのマンツーマンレッスンとAIによる学習サポートを提供する、月額制のオンライン学習サービスです。無料会員になると30分の体験レッスンを受けられ、継続する場合は有料会員へ移行します。

施策前の状況
支援を始めた当初、利用者を増やすために、入口となる無料会員登録数の増加を目的に広告を配信していました。無料会員は4月の約280人から7月には530人まで増加し、獲得単価も約1,800円から約1,000円まで改善しました。
無料会員数は増え、獲得単価も下がっている。数字だけを見れば、広告はうまく機能しているように見えますが、登録後の動きまで並べてみると、無料登録の伸び方に対して、その先の体験レッスンや有料会員は同じようには伸びていませんでした。
有料会員数1.8倍を実現した広告改善事例
施策前に見えていた課題
7月の無料会員は530人。一方その内訳は、体験レッスン利用者は38人、有料会員は16人で、有料会員になった割合は約3%です。無料登録は増えている一方で、その後の体験レッスン利用や有料会員への移行には十分につながっていない状態でした。
課題は登録数そのものではなく、登録後の利用につながるユーザーを十分に集められていないことではないかと考え、どんな人が広告から登録しているのかを見るために注目したのが、検索キーワードでした。
課題に対する仮説
広告の検索キーワードを見ていくと、当時、多くの無料登録につながっていたのが、「英語力 診断」「英語 レベルチェック」といったキーワードです。

「自分のレベルだけ確認したい」という人は無料登録で止まりやすく、「オンライン英会話」などで検索する人はその先の利用まで進みやすい傾向がありました。同じ「英語学習に興味がある人」でも、検索する目的によって、その後の行動は変わるのではないか。そんな仮説から、配信するキーワードを見直していきました。
仮説に対して行った施策
これまで多くの無料登録を獲得していた「診断」「チェック」など、自分のレベルを知りたい人が検索しやすいキーワードを配信対象から外しました。
当然、除外すれば登録数は減り、獲得単価も上がります。数字だけを見れば、むしろ悪化です。それでも今回優先したのは、登録数を増やすことではなく、その先の体験レッスンや有料会員につながる人を増やすこと。

「登録してくれる人」を増やすのではなく、「実際に使ってくれる可能性が高い人」を集める方向へ切り替えた結果、「オンライン英会話」「オンラインレッスン」など、具体的なサービスを探すユーザーからの流入が増えていきました。
施策から得られた結果
支援開始前から施策改善後までの変化は、以下のとおりです。
| アルテナ支援前 | 支援後(キーワード見直し前) | キーワード 見直し後 | |
| 無料会員数 | 280人 | 530人 | 337人 |
| 無料会員1人あたりの獲得単価 | 約1,800円 | 約1,000円 | 約1,600円 |
| 体験レッスン利用者 | 15人 | 38人 | 58人 |
| 体験レッスン利用率 | 約5.4% | 約7.2% | 約17.2% |
| 有料会員数 | 7人 | 16人 | 29人 |
| 有料会員への移行率 | 約2.5% | 約3.0% | 約8.6% |
| 有料会員1人あたりの獲得単価 | 約72,000円 | 約33,100円 | 約18,600円 |
入口となる無料会員数やCPAだけを見ると、数字は悪化しています。
一方で、その先の体験レッスン利用や有料会員への移行は大きく改善しました。有料会員数は16人から29人へ増加し、有料会員1人あたりの獲得単価も約44%改善しています。
得られた結果を基にした考察
あくまで今回の検証結果ですが、見えてきたのは、数字が伸びているかだけではなく、「何の数字を伸ばしているのか」が重要だということです。

無料会員登録は順調に増えていましたが、増やしたいのは登録数そのものではなく、その先に進む人です。さらに検索キーワードまで見ると、「自分の英語力を知りたい人」と「実際に学び始めたい人」では、検索する目的にも違いがありました。
数字が伸びること自体は良いことですが、その数字を伸ばすことが、本当に目指す成果につながるのか。そこまで考えることで、今回のように、途中の数字をあえて下げるという選択肢も出てきます。
さいごに
アルテナでは、広告管理画面に出ている数字だけでなく、その数字がなぜ生まれ、その先でユーザーがどう動いているのかまで見ることを大切にしています。
数字が良いから伸ばす、悪いから下げる、だけではなく、「本当に伸ばすべき数字は何か」を考える。今回の事例でも、無料登録数だけを見ていたら、成果につながっていたキーワードをそのまま伸ばし続けていたかもしれません。表に出ている数字だけでなく、その裏側まで見てみること。それが、最終的な成果につながる改善を考えるうえで大切だと感じています。
今回の事例が、Web広告の成果を見直す際の参考になれば幸いです。